虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

冷酷な法〜諸子百家の一つ・法家の問題点(商鞅の悲哀)

以下の言葉と解説は、諸橋轍次(もろはしてつじ)さんの大著『中国古典名言事典』(講談社)の、法家(ほうか)の代表格の韓非(かんぴ)の主著『韓非子』の一節です。


官を侵すの害は、寒きよりも甚(はなは)だし。    (二柄)


職掌を越えて、ほかの領域にまで手を出すことは、ひじょうの寒さよりも、その害が大きい。


 韓の昭侯が酒に酔って眠っていた。このとき、冠の係りである典冠の役人が、寒いだろうと思って昭侯に衣類をかけた。目をさました昭侯は、一時はそれを喜んだが、やがて、典衣のなすべきことを典冠がしたと知って、右のように考え、職を全うしなかった典衣、職権を犯した典冠の双方を罰したという。

 403P−404P


「法は誰にでも平等に適用される」と言って、聞こえはいいのですが、こんなお話もあります。秦の重臣(もちろん法家):商鞅(しょうおう)が罪を得て、逃亡先の旅館で宿を乞うたところ、「商鞅さまが決めた法があるので、手形がなければ宿泊させることは出来ません」という驚くべき現実が商鞅を襲ったのです。


法家の思想の源である韓非(280BC?−233BC)の思想についてwikiから(韓非)

功利的な人間観
韓非の人間観は原理上は孔子と共通の観点を取っているが、厳密には荀子性悪説に近い。
人が少なかった頃は闘争はなかったという一種の自然状態仮説を提示し、外的環境と物的状況の変化が人間性に影響を与えるという議論を展開する。韓非によれば、物資が多くて人が少なければ人々は平和的で、逆に物資が少なくて人が多いと闘争的になる。韓非が生きた時代のような、人が増えた闘争的な社会では、平和的な環境にあった法や罰は意味が無く、時代に合わせて法も罰も変えなければいけない。ただ罰の軽重だけを見て、罰が少なければ慈愛であるといい、罰が厳しければ残酷だという人がいるが、罰は世間の動向に合わせるものであるから、この批判は当たらないという。

秦の始皇帝に感銘を与えた韓非、皇帝に仕えることなく一生を終えましたが、残った商鞅李斯(りし)、およびトップの始皇帝は誰もが冷酷で、人民を苦しませる法を実施したのですね。特に李斯は策謀家で、韓非の才能を妬み、殺害しています。もっとも、李斯は自らも乗った策謀で身を滅ぼします。


あまりに苛烈な法体系を人民に押付けた秦が滅んだあと、漢の劉邦は「法は三章のみ」と言って人民の喝采を浴びたのです。でも、法と言えば、現代日本では「共謀罪」など、為政者にとってのみ有利な法整備が安倍内閣のもとで行われたのは、周知の事実です。むしろ秦のような地獄の国家に日本は向かっているのでしょう。法が細かな行為でさえ厳しく取り締まるのは、どんな時代、どんな国でも人民が泣く社会です。



今日のひと言:司馬遷の『史記』「老子韓非子列伝第三」および「李斯伝」に韓非の事跡が書かれているそうですが(WIKI)、司馬遷は、韓非を老子に比肩させているようですね。




韓非子 (第1冊) (岩波文庫)

韓非子 (第1冊) (岩波文庫)

韓 非 (講談社学術文庫)

韓 非 (講談社学術文庫)

諸子百家―儒家・墨家・道家・法家・兵家 (中公新書)

諸子百家―儒家・墨家・道家・法家・兵家 (中公新書)




今日の一品



@豚薄切り肉のセージ風



肉類にはそれに合ったハーブが設定されていて、牛肉、ラム肉にはローズマリー、豚肉にはセージというのが通り相場です。今回はその言い伝えに従い、オリーブオイルで豚肉を炒め、塩、セージを入れて一丁上がり。豚肉は、肉類の中で最も栄養価が高いと思われます。

 (2017.10.08)



@ハンペンとエリンギの炒め物



弟作(元のアイディアは私)。ハンペンにチーズ、干しエビを乗せてレンジでチン。そしてフライパンでナンプラーを使いエリンギを合わせて炒めました。(チンするのは、ハンペン・チーズ・干しエビをくっつけるため。)白い仕上がりを保障するため、色の薄いナンプラーを使ったのです。

 (2017.10.09)



@ハヤトウリの浅漬け



以下のページからアイディアを拝借しました:

https://cookpad.com/recipe/4226918


切りそろえたハヤトウリを、山椒・唐辛子を混ぜた「エバラ浅漬けの素」に漬けて、6時間後くらいで液を捨て、完成。柔らかくて食べやすいハヤトウリです。

 (2017.10.10)



@ラム肉のガラムマサラ



弟作。ガラムマサラは大体カレーのことです。手持ちの香辛料を組合せて、いわゆるカレールウを使わずに作りました。ガラムマサラを作る場合、必須なのはショウガ、クミン、ターメリック、ニンニク、唐辛子(カイエンペパー)、クローブです。

 (2017.10.11)



@カキフライ弁当



カキフライが5個入って460円なりの弁当。美味。

 (2017.10.12)





今日の一句


目にも見よ
アメジストセージ
艶姿



このセージは、薬用サルビアセージ)のような薬効はありません。観賞用です。それは良いのか、悪いのか。薬用サルビアの花も美しいですが。

 (2017.10.12)