私の初期詩集:筆ペンによる絵画的な詩
私がいつごろから詩を書くようになったかは、はっきり覚えていません。もっとも古い記憶では、東大マンガクラブに在籍していたころ描いたマンガの挿入詩として、ソネット(4・4・3・3の14行詩)のようなものを書いたことでしょうか。それまでもフランス詩に馴染み、ボードレール、ランボー、ヴァレリーなどの作品には熟読することで親しんでいましたが、書いたのはそのソネットもどきが嚆矢だったと思います。「もどき」というのは、その詩が(3・3・4・4の変則14行詩)だったからです。
その後、大学の専門が決まり、市民運動家として水問題をはじめとする環境問題に関する講座に参加し、POPとして、ビラの文面を書くことによって、簡潔で解り易い文面を書く訓練も行い、それはその運動を行うことがなくなっても、詩を書くという営為については有効だったと思います。また、総ページ数314ページの卒業論文では、細部にわたって入念ながらも、全体のダイナミズムに目をやる訓練をしたとも言え、これも詩作に資するものがあったと思います。
大学を出た後、一種の塾で中学生に国語を教え、いろいろな教材、特に詩について研鑽したり、またそれに平行して自然食を扱う八百屋でアルバイトして、水問題に関する機関紙への連載を受け持ったり、偉大な詩人(サカキ・ナナオ氏)、凄腕の鍼灸師・・・などなどと知り合い、「自然に」詩を書くような習慣が生れた、とも言えます。この時点からですね、私が自分にも詩人としての資質があるのかも、と思ったのは。
さて、ここで手元に残った3編の詩を挙げます。私の詩は、概ね短く、読んであっけないと思われる嫌いがありますが、それは活字にすれば、嫌が上にも気付かされます。初めに挙げる詩は以下の通りですが、
これを活字にすると「君は、僕に、肩を寄せて来たネ。いっしょに飲もーよ。」
という短い記述になります。これは、元の原稿のほうが良いかも。B5の紙に、筆ペンで書き綴った(書き殴った)詩。文字情報というより、書、あるいは絵画というのが相応しい詩。あと2編も元原稿と、活字を挙げてみましょう。
「さらば。東京カス大学。俺は、お前を見すてる。ああ、わすれもの。」
「皆んな囚人なんだよ。――ああ、満員電車。」
筆という筆記具には、なにやら神が宿る、というか、変幻自在性があると思います。その道具を使って短く、的確な詩表現が出来たら、それは愉しいことかも知れません。
また、追加として、書いた当初の詩に推敲を加え、最近オイルパステルで清書した詩を載せます。(詩自体は、当時には既に清書した形になっていました。)
@荒金くんへ
火は移る。
君は君、僕は僕。
僕はうさぎだ。
君は熊だ。
ガスはカスだ。
野原でかけっこ
しよーぜ。森下
私が鍼灸師の彼に、水について教えたことのお返しとして、彼は火=炭のことを教えてくれました。出会いの嬉しさに感動した記憶なのです。ガスという言葉は、炭との対比として取り上げています。
今日のひと言:ここで詠んでいたような短い詩、これは自由律俳句に極めて近いものでしたが、のちにそのような詩を網羅した詩集を自費出版し、詩人としての存在証明を行いました。かれこれ30年前くらいのことです。(詩集自体は、活字で綴られ、筆ペンを使ったのではありません。もし使っていたら、縮小してもページ数が多くなりすぎ、足が出たことでしょう。)

- 作者:大岡 信
- 発売日: 1977/06/10
- メディア: 新書

- 作者:尾崎 放哉
- 発売日: 2008/02/06
- メディア: 文庫

- 作者:種田 山頭火
- 発売日: 1996/12/01
- メディア: 文庫

- 作者:ウィリアム シェイクスピア
- 発売日: 2007/03/09
- メディア: 文庫
今日の一品
@トマトとトンブリのサラダ
湯に通し、皮を剥いたトマトを一口大に切り、トンブリと合わせ、マヨネーズ+摺りごま+ポン酢のソースを絡めました。(弟のアイディア)
(2020.06.15)
@麩(ふ)のない料理は負け料理
北島三郎の「歩」のもじり。(命名:弟)ヤマサ昆布だしを薄め、麩に吸わせ、山椒を振ってレンジでチン。案外美味しい。
(2020.06.16)
@アルファルファと旨煮シイタケのサラダ
アルファルファ(モヤシ)と、味付けシイタケを合わせ、青じそドレッシングで味付け。
すこしアルファルファの癖ある風味が変わります。
(2020.06.18)
今日の七句
城壁に
へばりつくなり
領主さま
トノサマガエルが用水路で休んでいました。
(2020.06.14)
今こそぞ
全容見せる
芭蕉かな
この草、すなわちバナナが完全に展開しました。
(2020.06.14)
速きかな
アカメガシワの
落花なり
目にも留まらぬ速さで、花が落ちていきました。
(2020.06.15)
凛とした
空気を行くや
朝散歩
赤城山も凛としています。
(2020.06.16)
時を得て
海に変わりぬ
さざなみや
水田の風景。
(2020.06.16)
鬼アザミ
近づき見れば
典雅なり
アーティチョークの開花。膨らんだガクは茹でて食用。
(2020.06.17)
郷愁の
想いを誘う
ミニスイカ
私は、子どものころから、もっとも好きな果物はスイカでした。
(2020.06.17)