「ねじ式」:私が描いたマンガ(その2):『白鯨』と中原中也による霊感
「ねじ式」:私が描いたマンガ(その2):『白鯨』と中原中也による霊感
このマンガは、私がマンガクラブに在籍していた1年余りで描いた4編のマンガの第3作目です。(1979年秋・作)この作品は、落語でいう三題噺(さんだいばなし)に則り、「ネジ、クジラ、宇宙船」の3つの項目をマンガのなかでも話題にすることが条件で、あとは自由であるとされて応募したものです。下敷きはメルヴィルの「白鯨:はくげい」です。エイハブ船長が、片足にされた復讐にと、巨大なクジラを狙う、という設定とパラレル(並行的)になっています。ではどうぞ。
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このマンガを描いた当時、私は自分の「他者の痛みを感じられない鈍感さ」が嫌になり、自分を痛めつける自虐的な意味でこのマンガを描きました。そこで作品の冒頭に載せた詩は、同じような痛みを感じていた中原中也の作品でした。これは、当時の私には大問題なのでした。今となっては、自分の鈍感さを重々思い知っているので、この時期ほど悩むことはありません。
話の終わりに出てくる「10」とは、フランス語で「神」を意味する“Dieu”(デュー)のもじりです。
今日の一言:なお、「ねじ式」というマンガは既に存在していて、不条理マンガの先駆けたる「つげ義春」さんの作品です。数十年前の作品ですが、独特な作話展開で、いまなお読む価値があります。生意気にも、この作品とタメを張ろうと思ったのです。
また、中原中也の「例の詩」は、以下の過去ログで取り上げています。
iirei.hatenablog.com
(『詩への架橋』:詩の鑑賞者としての大岡信〜『折々のうた』の原点)
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今日の一品
@白モツ炒めスープセロリ風
白モツを圧力鍋で定常状態にして10分茹で、十分冷めた後余分な脂を除き、フライパンにゴマ油を敷いて炒め、エバラ焼肉のタレを加えさらに炒め、仕上げに細かく切ったスープセロリを加え、火を通して降ろします。強い香り同志が打ち消しあい絶妙の味に。
(2019.03.26)
@ガイアーン
弟作。東南アジアの料理らしいです。弟が買ってきたガイアーンの素で、鶏むね肉を炒めました。オイスターソース、ナンプラー、トウガラシが配合されていました。味は案外クセなく食べられます。
(2019.03.28)
今日の詩
@木の芽時
春も酣(たけなわ)、
木々の芽も伸びてきた。
こちらは五加皮(うこぎ)、
あちらは山椒(さんしょう)。
特に山椒の新芽を木の芽というが
この時期に気がふれる人が多いので、
「木の芽時」という呼称が用いられる。
新しい生命の息吹を誤って受取る人も多い。
五加皮
山椒
(2019.03.28)
今日の一首
あぜ道に
土を盛りつつ
薬撒く
しかし野草は
絶えずあるらむ
(2019.03.26)
今日の二句
このボード
性悪説(しょうあくせつ)の
しるしかな
古代中国の哲学者:荀子(じゅんし)は、人間の本質は「悪」だと喝破し、だからこそ教育が必要だとしました。
(2019.03.27)
枯れ木をば
集め紅蓮の
炎(ほむら)立つ
(2019.03.30)