虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

その道の先達の女性との恋:私の恋愛遍歴の1エピソード

その道の先達の女性との恋:私の恋愛遍歴の1エピソード(散文詩

私は、都市的生活に嫌気が差し、某グループが群馬県の山奥で展開していた、都市と田舎をつなぐ活動に従事していました。植林したてで、弱い杉の苗を保護するのが任務でした。でも、私には私なりの活動がありました。畑作の勉強、炭焼き、紙漉きなど。なかでも紙漉き(かみすき)は、この地にコウゾ(紙の原料)が多く生えているのに注目し、山暮らしを始める際の私個人のプロジェクトとしていたものです。


ところが、いざ紙漉きに関する資料を探してみると、これが「ない」のですね。さすが、この田舎町の図書館は・・・いや、そんな規模の施設もない町の図書室では、そうそう見つかるものではありません。でも、ついに資料を発見しました。簡単ではありましたが、「新聞紙でつくる葉書の作り方」の2、3枚のものでした。


早速私はこの資料を使い、「紙漉き」を始めました。お世辞にも美しい出来ではない葉書でした。その頃です、グループの訪問でやってきた女性・・・私にはとくに初対面の感動はありませんでしたが、彼女は、とても重要な情報をもたらしてくれました。一つに、彼女は「例の資料」を書いた方のスタッフとして働いたことがあること。これは偶然でしょうか?私はもちろん、彼女から見ても、これは必然、といった感慨を持ったことだと思います。その際、彼女は現役の紙漉き屋さんの連絡先を2、3件紹介してもくれました。


実際に埼玉県小川町(隣の東秩父村と並んで、ユネスコ世界文化遺産に登録された「細川紙」の産地)の紙漉き屋さんを訪ねて、紙漉きの道具、漉き方を学んで、以後の紙漉き作業の指針とすることも出来ました。さらに、次に彼女が山に来た時、彼女がゴーストライターとして執筆した『とっておきのハーブ』という本を贈呈してくれたので、私は即座に『災害を見切る』という私家版のパンフレットをお返しに差し上げました。


この紙漉きの情報にせよ、ハーブの情報にせよ、いずれもそれまで知らなかった分野のことであり、私にとって先達と言ってよい方でした。特にハーブにはいまでも馴染んでいます。彼女が私に「恋心」を抱いていたことは一目瞭然でした。私もそれに気付き、彼女を憎からず思うようになりました。


その後私は、あることで、グループと不協和音が出てきて、孤立する事態になったことがあります。その際、彼女は、知り合いの年恰好の離れた男性と一緒に私を励ましに山を訪れてくれたことがあります。この男性はどんな人かは解りませんでしたが。


3人で山歩きをしました。途中彼が私と彼女の前を歩いていたとき、私と彼女は並んで歩くチャンスがありました。これは「手を握る」絶好の機会でした。そのことに気付きながらも、私は手を伸ばして手をつなぐことはありませんでした。彼女から手を握ってくることは、この場合出来なかったと思います。ここでアタックするのは、男の側からすべきであったからです。彼女は失望したことでしょう。


その後、私は山を降りる事態に陥り、しばらく彼女と疎遠になりましたが、彼女は新進の書家として、注目される存在になっていました。その個展に見物に行きました。彼女は「道」というテーマでカレンダーも作っていましたが、見物後、気付いたこととして、私が「道の哲学者」・老子をメイン・テーマにした例の冊子『災害を見切る』を、彼女はよく読んでいたのですね。


でも、結局私と彼女が結ばれることはありませんでした。私にとって彼女は「先達」、教えを仰ぐことは当然だったですが、それは恋愛感情としては未成熟なものだったのかも知れません。恋愛感情というより、お互いに師弟愛を持っていたのかも知れませんね。「恋人」と「異性間の師弟愛」、微妙ではありますが、この2つの愛は別物と言っても良いのかも。



今日のひと言:ネズミ年の年賀状、彼女は面白い賀状を送ってくれました。いわく「窮鼠開眼」。「窮鼠猫を噛む」という成語をちょっと捻ったものですね。ピンチに追い込まれてこそ、活路が見出せる・・・なるほど、と唸ったものです。



「私の恋愛遍歴」についての過去ログです

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140514#1399996755
  :ある恋の一生〜魔の時間のずれ(散文詩

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140524#1400877802
  :恋の二股掛けはNG!! (散文詩

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140602#1401703459
  :恋は思いがけなくやってくる(散文詩) (1)

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140608#1402169451
  :恋は思いがけなくやってくる(散文詩) (2)



とっておきのハーブ―手づくりで楽しむ香り草

とっておきのハーブ―手づくりで楽しむ香り草

李陵・山月記・弟子・名人伝 (角川文庫)

李陵・山月記・弟子・名人伝 (角川文庫)

散文詩・詩的散文

散文詩・詩的散文




今日の一品


金時草入り味噌汁


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ほとんどシーズンを終えた金時草(きんじそう)、味噌汁の具にしました。いくらか汁が赤くなりました。

 (2018.12.14)



@春菊入り味噌汁、卵焼き


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庭の春菊が育ってきたので、味噌汁の具、卵焼きの具にしました。味噌汁は春菊の風味が良かったです。

 (2018.12.15)



@ラム肉のカレー・キーウイ入り


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今回のカレーは、角切りラム肉と、味に変化を付けるためのキーウイを使いました。ルーは大辛のもの。ラム肉は少々臭いますがさほど気にはならず、キーウイは面白い風味を醸します。これを出来上がりの1分ほど前に加えます。

 (2018.12.16)





今日の詩


@睡眠


睡眠、それは
母の子宮に帰ること。


寝床に入り、次第に
体が暖まっていくこと。


私は実感する、睡眠は
一夜一夜に営まれる
再生の儀式だということ。


それは毎朝寝覚めて=誕生すること。
起きればそこに
戦いの舞台が待っている。


(2018.12.18  0.40AM)






今日の三句


霜振りて
化粧したるや
野草たち


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この写真では、オオイヌノフグリが大部分です。

 (2018.12.15)




氷張る
道の真ん中
割りて行く


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道は未舗装です。

 (2018.12.15)




真白にぞ
河原靄(もや)立つ
朝ぼらけ


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真冬の川の情景。「朝ぼらけ」とは明け方の時刻。

 (2018.12.16)