虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

スイートピー(毒草)とヒヨコマメ(食用)の分岐点

スイートピー(毒草)とヒヨコマメ(食用)の分岐点

往年の松田聖子のヒット曲「赤いスイートピー」は彼女を代表する名曲の一つであり、いまでもカラオケでこの曲の存在を知り、練習することで持ち歌とする若い女性も多いと思われますが、このスイートピーというマメ科植物は、かなり強力な毒草であることを知っている人は100人中何人くらいいるでしょう?


今、私は『毒草を食べてみた』(植松黎:うえまつ・れい)(文春新書)を手にしていますが、44種の毒草を取り上げています。その中の「11番:スイートピー」を取り上げることにしました。


この植物の毒成分はアミノプロピオニトリルなど、舌を噛みそうな物質ですが、作用は頚椎まひ。重症になると、膝が曲がらなくなるなどの生活上極めて不都合な障害が残るということです。


一方、アラビアとかアフリカでは必須の栄養源、ヒヨコマメスイートピーと同類だとしたら、どうでしょう?その答えを記すのはちょっと延期しておき、この2つのマメ科植物の素性をwikiから引いてきます。


まずはスイートピー


スイートピー (Sweet pea,学名:Lathyrus odoratus) は、マメ科レンリソウ属の植物。和名では、ジャコウエンドウ(麝香豌豆)やカオリエンドウ(香豌豆)、ジャコウレンリソウ(麝香連理草)などと呼ばれている。
花言葉は「門出・思い出・別離」といわれている。
2月15日、3月15日、3月20日、6月9日の誕生花。
(中略)
イタリアのシシリー島原産の一年草で、日本では主に観賞用として栽培される。弱酸性土壌が適する。直根性で移植を嫌う。ふつう秋蒔きする。
有毒植物であり、成分は同属の種に広く含まれるアミノプロピオニトリル (β-aminopropionitrile) で、豆と莢に多く含まれる。多食すればヒトの場合、神経性ラチリスム (neurolathyrism) と呼ばれる痙性麻痺を引き起こし、歩行などに影響が出ることがある。他の動物では骨性ラチリスムと呼ばれる骨格異常が生じることがある。


次にヒヨコマメ

ガルバンゾスペイン語: Garbanzo)、エジプト豆、チャナ豆などの名でも知られる。
属名 Cicer は「ひよこ豆」を指すローマ時代からのラテン語。種小名 arietinum は「雄羊のような」の意で、豆の形をヒツジの顔面に見立てたもの。
英名 Chickpea は「ひよこみたいな豆の形」による命名であると一般に認識されており、和名の由来ともなっているが、本来は古いフランス語から来た言葉であり、さらにさかのぼれば、この語の前半は属名と同じラテン語: cicer に由来しているひよこ豆」の名は一種の民間語源の産物であると言えよう。

(中略)
中東の「肥沃な三日月地帯」を中心に栽培された。歴史上、最古の記録としてヒヨコマメが登場するのは7500年前、トルコのハジュラルにおいてである。紀元前4000年には地中海一帯に、紀元前2000年にはインドにまで伝播した。特に古代エジプトで栽培が盛んであった。古代ローマにおいてもあらゆる階級に食されるポピュラーな食物であったが、貧困層や農民の食べ物とみなされることもあった。インドではチャナーと呼ばれ、インドの食文化において古今重要な食物となっている。


極めて重要な栄養源です。


ヒヨコマメ


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実は、この「ヒヨコマメ」という名称、レンリソウ属に属する(つまりはスイートピーと同属で、有毒)植物に「ヒヨコマメ」という、食糧になる「ヒヨコマメ」と同名の植物があるからなのでした。食用の植物はヒヨコマメ属であり、毒性を持つレンリソウ属とは別物なのです。だから食用のヒヨコマメを食べても、中毒にはなりません。まさに栗のような美味しい風味です。これが↑の謎掛けの答えです。


『毒草を食べてみた』では牛の餌に、スイートピーが60%も混入していて、食べた牛が多数中毒になり、足腰が立たなくなるお話、アフリカに住む人たちが「他に食べるものがなく」、スイートピーを食べるしか選択肢のない生活を送っているとか・・・



今日のひと言:『毒草を食べてみた』という題名から、中国の偉大な帝王、「神農:しんのう」のように、毒に当たりながらも、薬草を見出していったとは言えないようです。実際、最初の項「ドクウツギ」の有毒な実を食べてみたという記述がある程度で、ほかの毒草については文献を漁った産物かと思いました。・・・看板に偽りあり?



毒草を食べてみた (文春新書)

毒草を食べてみた (文春新書)




今日の一品


@白菜のスープ


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たまたま手元に白菜以外の野菜がなくて、白菜で作ったスープ。コンソメ2個、マイタケを鍋で加熱し、コチュジャンも加えて煮ました。

 (2018.12.21)



@白菜のおじや


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上のスープの残り汁を使っておじや。クコの実、桑の未熟果(白いうちに採取、乾燥したもの、酸っぱい)を加えてご飯を煮ました。

 (2018.12.22)



@自家製パン


ある用で手元にあったイースト、および賞味期限切れの小麦粉(薄力粉)を消費するため、パンを焼いてみました。薄力粉50g、イースト、塩麹ゴマ油、水を混ぜ、楕円形に伸ばして一晩置きました。翌日昼過ぎにはかなり膨れてきましたので、クッキングペーパーに乗せ、オーブントースターで180°、15分焼きました。ゴマ風味で美味しかったです。


捏ねた後


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焼く直前


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焼きあがり



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 (2018.12.23)





今日の詩


@水の声


「水の声、水の声、水の声
まるで川のせせらぎのよう・・・」


私は30歳前後で大病し、入院したが
病室の隣が水洗トイレだったので


このアイテムの音が
極めて近しく感じられたのだ。


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 (2018.12.22)




今日の三句


このくらい
広い農地に
家が建つ


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農地には多様な用途が期待できますが、宅地にすると、「住む」という用途しかありません。それにつけても新築家屋の需要が、人口減少社会でも多いのは馬鹿な話です。親との同居を嫌う核家族が多いのでしょうね。

 (2018.12.22)




野のクワの
全部バッサリ
伐られおり



役に立つ木なのに、現代の人はその価値を知りません。

 (2018.12.23)




火を入れて
黒と黄色の
エクスタシー


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火を放ち、稲の枯れ株を燃やします。焼けたあとはツートンカラーです。

 (2018.12.23)