坂本龍一氏と森下礼(私):どこか似ている?
当時私は東京大学3年目(留年1回)の学生でした。この時期に漏れず、私も進路・その他で悩んでいました。ただ当面は、理科系から文科系に文転、漫画を書き、演劇をやり、フランス文学を研究するのだと決めていました。
そんな時、某劇団がなにかの音楽をBGMにして、CMをやっていました。妙に心惹かれる音楽・・・私は大学生協に行き、あるアルバムを手にしました。「このアルバムにはあの曲が入っているはず」と確信して。実際B面の一曲目でした。そのアルバムは「ソリッド・ステイト・サバイバー」、曲は「ビハインド・ザ・マスク」。聞くと、この曲はYMOのメンバーの坂本龍一氏と高橋ユキヒロ氏の合作だということでした。
:ビハインド・ザ・マスク (クリックどうぞ)
これが坂本氏とのファースト・コンタクト!・・・と言いたいところですが、もっと以前、私は彼に出会っていました。それはサーカスの「アメリカン・フィーリング」。この乗りの良い曲は坂本氏の編曲で、その年のレコード大賞・編曲賞を受賞したそうです。レコードが擦り切れるほど聴きました。
「ビハインド・ザ・マスク」の場合、最初に曲全体、ついでキツイ内容の歌詞にも惹かれました。この歌詞(英語)を和訳しましたね。当ブログで公開したのですが、はてな当局からは訳詩でも著作権に触れるかも知れない、という意見がついたため、泣く泣く削除したことがあります。JASRACが厳しいのです。彼のもう一つの名曲「ザットネス・アンド・ゼアネス」(「B-2unit」に収録)も同じようにせざるを得ませんでした。
ザットネス・アンド・ゼアネス (クリックどうぞ)
坂本氏の子供の頃のインタヴューが残っていました。某雑誌の記事で、彼は「だれを尊敬する?」と訊かれ、「自分を尊敬する」と答え、「将来なんの仕事に就く?」とも訊かれ、「職業には就かない」と答えたそうな。我が身に照らし合わせると、とても一般庶民には及びもつかない精神的自由を満喫していたのが判ります。
私はその彼に似ているという評を受けたことがあります。馴染みの、ローリング・ストーンズが似合う飲み屋で、「このアルバムを掛けて!」と持ち込んだ坂本氏の「音楽図鑑」のうち、「セルフ・ポートレイト」という曲を聴き、ある小父さんが「この曲は坂本クンが若い頃作った曲たちに似ている」と言ったのですね。それと共に、「君は坂本クンに似ている。こんど会ったとき、その頃のアルバムを君に上げよう」と言っていましたが、小父さん、忘れてしまい、貰いそびれてしまいました。
セルフ・ポートレイト(クリックどうぞ)
音の質というものは、どこかで通じることがあるようです。私は坂本さんやYMOとは確かに出合い、それとは独立に大貫妙子さんも気に入って「アバンチュール」というアルバムを入手しましたが、あとでこのアルバムの編曲は多く坂本氏が手がけていたことが解りました。坂本氏と大貫さんは、私生活上でもおつき合いがあったこともその後で知りました。
さて、坂本氏と音楽以外でも共通する感性があると思い至ったことがあります。それはNHK出版の「エンデの遺言 根源からお金を問うこと」(河邑厚徳+グループ現代)という本に二人ともインスピレーションを受けたこと。私は私なりに通貨制度を考案し、坂本氏は河邑さんと組んで続編を出しました。よく似た感性・・・ここが私と坂本氏の共通点なのでしょう。
今日のひと言:「ビハインド・ザ・マスク」は、私にとってかけがえのない歌です。この曲一曲で、私は文転せずに、理科系に進む覚悟が決まったのです。その間、色々悩みましたが。そんな話をあるミュージシャンに話したところ、「そんな風に音楽を聴くなんて信じられない」と言っていました。
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今日の一品
@ザクロ酒
ザクロの実をホワイトリカーに漬けてかれこれ10年。風味ある酒になっていました。その深紅さが美しい。
(2018.12.02)
@ハンペンの挟み焼き
ハンペンは変幻自在、どうとでも調理できますが今回は2枚のハンペンに、オレガノ(生、乾燥両方)、コチュジャン、塩を塗り、挟んでオーブントースターに掛けました。180度、8分。あとで念のため、2分ほどレンジでチン。餅のような風味でした。
(2018.12.03)
@アロエ酒漬け込み
アロエは、もと「苦い」という意味で、ススキノキ科の植物です(以前はユリ科に分類されていました)。これまでこのアロエを果実酒にしたことはなかったので、苗をもらって栽培していた株を芯きりをする積りで切って漬けてみました。乱切りしたアロエ、砂糖適量と35%のホワイトリカー。ヒタヒタになるよりちょっと多い量。半年ほど漬けて飲めるようになります。(通常、葉や花を漬けた場合は、1週間で具材を引きあげるのですが、アロエについてはそのまま置いておこうと思っています。)
(2018.12.04)
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今日の三句
畑打ちて
農夫の手のさま
堂に入る
(2018.12.02)
寄り沿いて
カラスエンドウ
春を待つ
(2018.12.02)
テッペンの
葉だけ残して
木の葉散る
これは、カジノキ林の冬の顔です。
(2018.12.02)