虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

乾歌(個体)と坤歌(液体):ほとんど全ての楽曲を選り分ける(随想録―37)

乾歌(個体)と坤歌(液体):ほとんど全ての楽曲を選り分ける(随想録―37)



易経(えききょう:中国の占術書&哲学書)に関連して、「乾坤一擲」(けんこんいってき)という言葉があります。乾(けん)は、男・父・大空を意味し、坤(こん)は女・母・大地を意味していて、乾坤一擲は、世界・天地すべてを投げうって行う大勝負という意味になります。この乾・坤2つで、おおくの楽曲が分類できると思いますので、以下考察してみます。




まず、乾歌は、絶対的に「個人:固い個体のような」歌です。「そんな歌があるのか?」と思われるなら、それは普通の反応です。こんな歌はどうでしょう?「♪ヴィデオを観ているお前、お前だよ!お前は、これから屠殺される牛に過ぎないんだよ」この一節は、イギリスのニューウエイヴ・バンド「Killing Joke:キツイ冗談」の「Requiem:鎮魂歌」から引いてきました。ここには、思いやりも愛情も、一切ありません。ヴィデオに興じる人を、激しく罵倒しているのです。


https://youtu.be/U7WPI4TJImo

Requiem


ヴィデオに興じ続けるのは、ほんの一例でしょうが、一つのことばかりずっとやっているのは、その人を馬鹿に変えてしまいます。その点を衝き、個として自立しろよ、と手荒いメッセージを発しているのです。このような歌は、さほど多くないとは言え、存在します。


もう1例挙げると、中森明菜の「Desire」なんかも、乾歌だと言えるでしょう。恋人といても、決して満たされない、と歌う個人の歌ですから。


https://youtu.be/_u_1KJaCe_g

Desire


一方、坤歌は、二つの存在が、その関係性において、「溶け合う」という意味内容の歌、つまりラブ・ソングのことを指します。その意味で液体の歌としました。この種の歌は、世にある歌の大部分を占めます。日本の歌では、松田聖子岩崎宏美、近くは「あいみょん」などもこのカテゴリーに入るでしょう。


ちなみに、過去USBメモリーに収録した歌を、以上の分類のように、乾坤25曲くらいづつ、集めてみました。たとえば乾歌なら、「Thatness and Thereness:坂本龍一」「ジャイアントロボ:むかしの実写版TVドラマ」「Will:アニメ封神演義主題歌:米倉千尋」「国盗り物語NHK大河ドラマ」「純情きらりNHK朝ドラ、宮崎あおい主演」などで、坤歌としては「Chopstick:NiziU」「honey:ラルクアンシエル」「マリーゴールドあいみょん
「春の予感~I’ve been mellow:尾崎亜美」「コッペリアバレエ音楽」などを集めました。


PS:固体、液体といえば気体ですが、これについては、なかなか例が挙がりませんが、モーツァルトなんか、それに入る気がします。哀しいけれど、軽やか。交響曲第40番などがそれにあたる曲です。


https://youtu.be/3F3ERItcRWM

交響曲第40番第1楽章


 (2022.07.26)


iirei.hatenablog.com






今日の詩


@言葉の力を私は信じる


タンブラー(tumblr.)は
ブログとSNSの中間のようなメディアだ。
自分が描いたか、人が描いたかを問わず、
見事な画像を張り付ける者は多い。


それだけではinstagramだが、
文字による詩を書き続ける者も多い。
私は、というと、写真もイラストも上げるが、
正直、タンブラーの人の技術には追いつけない。


ただ一つ、私が頼りとするのは、
リプライ(コメント)だ。
私は、大いに気に入ったブログには
リプライを入れる。


なるべく気の利いた文章(ないし語句)を
送ることにしている。
意外なことに、タンブラーをやる人の多くは
「好き」マークを付けるだけで、帰っていく。


リプライを付けるのが苦手な人が多い。私がリプライを送って、
私のブログを見に来て、足跡を残す人も増えてきた。
タンブラーを始めて4か月でフォロワーが39人になった。
これって、上出来だと私は考える。

 (2022.08.12)






今日の一首




この黒光りする扉は
いったいどんな世界に
通じるのだろう?


この扉の先に待つのは、
歓喜か絶望か?




 (2022.08.24)







今日の5句


壁伝う
見事なパターン
枯れたツタ




家の持ち主は引っ越しました。

 (2022.07.20)



緑山
やがて赤山
コキアかな



種を膨れさせて、トンブリという食材を作れます。

 (2022.07.23)



ヒルガオ
淫乱女が
そこかしこ




フランス映画で、売春婦の異名がヒルガオでした。

 (2022.07.23)



柿の実の
赤子なりしか
実りつつ




 (2022.07.24)



クサギ
白妙花弁
茶花かな



 (2022.08.19)