虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

林光さんと大河ドラマの主題歌:坂本龍一さんに匹敵する才能

私がNHK大河ドラマの主題歌について振り返ってみるに、これらの曲を作曲した人たちはレベルが高い人が多いように思えます。その当時当時の才能をかき集めて、曲作りに励ませていた観が
あります。なかでも林光さんの手になる主題歌は特に優れているものだと思います。


そこで、林光(はやし・ひかる)さんが作った3曲のうち、昭和48年(1973年)の「国盗り物語」と昭和52年(1977年)の「花神」を取り上げようと思います。



国盗り物語」の主題歌のこの曲は、大きく2つの曲想からなり、第一主題は戦国時代の厳しい生き抜き方を表象するようで、背筋がぞくっとしてしまいます。第二主題はその厳しいなかでの一瞬の平安な心を歌ったかのように聴こえます。第二主題が終わったあと、第一主題が再現されそうになったところで、曲は終わります。



こちらは「花神」の主題歌。(以前取り上げたことがありますが)ちょうど長州の、倒幕に力のあった吉田松陰高杉晋作大村益次郎と、指導者が変わっていく過程を生き生きと肯定的に捉えているのが良いです。明るい曲。




以上、二曲とも、林光さんの才能の巨大さを物語るものだと思います。現在で言えば、坂本龍一さんと匹敵すると思うのです。


さて、ここで林光さんの紹介をwikiから引いてくると、以下のようになります。


1931年10月22日、東京府出身。フルート奏者林リリ子は従姉。父は慶応義塾大学医学部卒業の医師で、ベルリン留学ののち、日本大学医学部教授を務めていた。尾高尚忠とはベルリン留学中に知り合い、帰国後も親しく交流していた。


10歳の頃より父の親友である尾高尚忠に師事し、少年ながらも室内楽作品、管弦楽作品など大人顔負けの作品を多く作曲した。尾高の死後は池内友次郎に師事した。また、慶應義塾高等学校在学当時、同校で教鞭を執っていた遠山一行の授業を受けたことを終生誇りにしていた。東京藝術大学作曲科に入学し、作曲を池内友次郎、ピアノを田村宏、安川加寿子に師事する。在学中、学外作品発表を巡る学校側の対応や体質に疑問を抱き、中退した。


作品では、合唱組曲原爆小景」が特に有名である。また日本語によるオペラの可能性を求めて、多くのオペラを書き、オペラシアターこんにゃく座の座付き音楽監督、作曲家を務めた。


1953年には外山雄三間宮芳生らと共に「山羊の会」を旗揚げした。このほか、宮沢賢治の音楽作品を広める活動も行った。


映画音楽も多数手がけているが、中でも新藤兼人監督作品は、1959年の『第五福竜丸』から遺作『一枚のハガキ』まで、そのほとんどで音楽を担当した。


著作に『日本オペラの夢』(岩波書店)、『林光音楽の学校』(一ッ橋書房)他。「ソング」と呼ぶ小規模な歌曲作品には労働運動や平和運動に関係したものも多い。また、日本教職員組合の教育研究全国集会音楽分科会の助言者(講師)を長く務めた。


2度の尾高賞(1955年、1996年)、第30回サントリー音楽賞(1998年)など受賞多数。1996年に紫綬褒章を受章している。


2012年1月5日、東京都内の病院で死去した。2011年9月下旬に自宅前で転倒して頭を打ち、入院、療養していた。80歳没。


以上、見てきたように、林光さんはクラシックを中心に、ドラマのテーマソング、映画音楽(「裸の島」など)と、夥しく、多彩な活動をなさっていました。彼が東京藝術大学の学校のありかたに疑問を抱いたというあたりは、のちの学園闘争を彷彿させる部分があるように思います。最後に、林光さんのクラシック・・・ピアノソナタを持ってきましょう。「ピアノソナタ・第一楽章」です。



今日のひと言:林光さんは「原爆小景」として「水ヲ下サイ」とか、山河燃ゆ1984年、NHK大河ドラマ真田太平記(1985年―1986年、NHK新大型時代劇)など、活動の全貌が解らないほど、きわめて活動範囲が広い方でした。冥福をお祈りします。




私の戦後音楽史―楽士の席から (平凡社ライブラリー)

私の戦後音楽史―楽士の席から (平凡社ライブラリー)

林光:追悼コンサート「夢へ・・・・・・」

林光:追悼コンサート「夢へ・・・・・・」




今日の料理


@シロザの房の佃煮







シロザ、この時期最後の収穫として、房の種ごと、佃煮を作りました。摘んできた房から硬い枝を分離し、醤油、昆布だし、甜菜糖、カツオ節で味付け。カツオ節は最後に入れました。これはシロザの持つシュウ酸をマスクするため。その分、日持ちはしないかも知れません。珍味です。

 (2014.11.06)



@セロリ、シイタケ、ソーセージのグラタン風





弟作。あんがい癖が強いセロリを美味しく食べようと工夫。使ったのは、日清製粉グループの「マカロニたっぷりグラタンセット(ホワイトソース用)」。耐熱皿を持っていないので、オーブントースターは使えずフライパンで調理しました。それでグラタン風としました。なかなかイケます。

 (2014.11.07)



@セロリの浅漬け





弟作。グラタンで使ったセロリを少々残して置き、「エバラ浅漬けの素」に漬けました。これもグッド。

 (2014.11.07)




今日の詩


@宇宙


犬のタエコには
内なる小宇宙がある
彼女は力いっぱい
外なる大宇宙と
対峙しているのだ
・・・と、
散歩をさせながら
思った。

 (2014.11.07)




今日の二句


黒光り
ヤブランの実の
艶姿(あですがた)






庭のヤブランの実が、ここで書いたように妖艶に輝いています。

 (2014.11.06)



朝ぼらけ
月は西にて
日は東


この句は与謝蕪村の名句「菜の花や月は東に日は西に」の本歌取りです。朝早く(朝ぼらけ)タエコの散歩をした際、満月が沈み、太陽が昇ろうとしていました。蕪村の句とは月と太陽が入れ替わっています。なお、アニメ「巨人の星」では、主人公の星飛雄馬が薄幸の恋人・日高美奈の死を乗り越えるとき、沈む月、昇る太陽を見て、恋の痛手を解消していました。

 (2014.11.08)