虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「歴史を学ぶこととは、人を知ることだよ。」徳川家康を例にして(随想録―34)

「歴史を学ぶこととは、人を知ることだよ。」徳川家康を例にして(随想録―34)


若い女性と話していたら「私,歴史は嫌い」と言っていたのを受け、話したのが表題の文言です。普通中高では、日本史にせよ世界史にせよ、授業内容になっていますね。人名を覚えるのが難しいとか、年号を覚えるのが面倒だ、と、特に年号丸暗記の、生徒に与える負担は大きいと思われます。


こんな事態になるのは、歴史上の人物を並列的に、総花的に「軽重の差もなく」取り上げることに原因があると思います。歴史上の人物において、さして重要でない人も、超重要な人も取り上げて、それぞれに年号を付すわけですから、生徒が悲鳴をあげるのも当然だと思います。


私が歴史教科書を作るなら、なんと言っても「徳川家康」について、細密に取り上げるでしょう。「狸オヤジ」と悪くも言われる彼ですが、日本に260年の平和をもたらしたという意味で、日本史はもとより、世界史としても重要人物です。その記述の過程で、織田信長豊臣秀吉武田信玄などを絡めればいいのです。徳川家康こそ、日本史の中で最大の偉人である、と言って差し支えないでしょう。


――その例証。20年ばかり前のNHK大河ドラマ「葵――徳川三代」のなかで、出来の悪い息子:秀忠に、統治の要諦を諭す徳川家康。言うには「統治者は、こころの中に一匹の鬼を飼わねばならぬ」。ユーチューブでこの場面の字幕を見ていたら、大きな字幕は中国語、小さなそれは日本語でした! そう、この大河作品は、中国人に好評だったのです。徳川家康は、中国という、英雄豪傑を多く輩出した国の民にも、なにか参考になる点があったと断言できるのです。一時期、德川家康本が中国でよく売れたと聞きます。


群馬県太田市の寺院:大光院(呑龍さま)は、德川家が庇護した寺院ですが、浄土宗の宗旨です。ズバリ、祭神は徳川家康だと思っています。(表向きには阿弥陀如来でしょうが)私はひと月に1回くらい、片道20分くらいの散歩がてら、参詣します。もちろん、德川家康と会うためです。


★しかみ像




武田信玄に惨敗して、うんちをたれながら敗走した徳川家康、そのみっともない姿を絵師に書き取らせ、以後いつでも携帯していました。自分を戒めるためにです。


iirei.hatenablog.com

    (2022.07.06)


なお、『葵――徳川三代』の脚本を担当したジェームズ三木は、「家康がもしボンクラだったら、あの酷い織田信長豊臣秀吉の下で、とっくにつぶされていただろう。すごく頭の切れる、怜悧な男だったと考えて、脚本を書いた」とか言っていたらしいです。(「機を見るに敏だった」とも。だからこそ長い下積みにも耐えたのでしょう。そのときは忍従を旨としたわけですね。)








今日の詩

@ボクサー



メガネを掛けて戦うボクサーが


いたら、


よっぽど


強いんだろうね。





いくら井上尚弥が強くても、メガネをつけて戦わないでしょう。彼は現在、世界レベルのボクシングの全階級のなかで最強(pound for pound)と呼ばれています。

 (2022・07.27)







今日の6句


ウシガエル
どこで鳴くのか
河原かな




 (2022.07.04)



乗り入れる
すれ違えない
細き道




朝の出勤時、近道とて、自動車がどんどん走り抜けます。

 (2022.07.05)



美味しそう
カリントウなり
犬の糞




 (2022.07.05)



廃屋に
カラスが3羽
憩いけり




 (2022.07.08)



一つづつ
畑から抜いて
この石組み





農業者の執念を感じます。

 (2022.07.08)



紫が
ゴージャスなりや
ヴェールかな





ブライダルヴェール。ツユクサ科で、全草紫。

 (2022.07.09)