虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

プロポーズの言葉あれこれ:『美味しんぼ』・友人の場合

プロポーズの言葉あれこれ:『美味しんぼ』・友人の場合


英語で言うpropose(プロポーズ)の語源は「前に(pro)、置く(pose)」です。概ね男性が愛する女性に対して、「心情を吐露して、女性の反応を待つ」という行為のことです。昨今は女性が男性に行うケースも多いでしょうし(このケースは女性が男性の役割を演じているわけです)、同性愛者でも、男性的なほうが女性的なほうに働きかけて、恋が実るのでしょう。色色な場合を総括して、「働きかける者」と「それを受容する者」の2者がいることで、この共同行為は成り立つわけですね。


これまでなされたプロポーズの類型としては、例えば以下のようなものがあると思います。


@1:「毎朝、君の作った味噌汁が飲みたいんだ。」:これはむかしからの定番プロポーズ。でも現在では朝食に和食という古典的な若い家族は少ないでしょうから、「毎朝、君の淹れたコーヒーが飲みたいんだ」なら、現代的です。


@2:「結婚してくれなかったら、ボクは死ぬ」:男性が女性に甘えているのですね。母性本能をくすぐれた場合は、アリかな。


@3:@2の変形。「君のためなら死ねる」:これは往年の恋愛マンガ『愛と誠』で、主人公の早乙女愛にクラスメートの岩清水某が掛けた言葉。(愛の本命は太賀誠だったので、雑音にしかなりませんでしたが。)


@4:「君は、ボクと結ばれる運命にある」:このような神がかり的な言葉を吐いて、女性の心を射止めたのは、かの麻原彰晃、本名 松本智津夫 です。


@5:「じゃ、結婚すっか」「んだ」:これはマンガ『ドラゴンボール』における孫悟空とチチとの会話。直截的で良いなあ。悟空とチチが幼少期に出合い、チチが「大きくなったらお嫁にもらってくんろ」と言うので悟空「なんだか知らんがもらえるものならもらっておくぞ」と答え、チチは大きくなって再会するのを待ち望んでいたわけですが、悟空は忘れていたのです。チチの怒るまいことか。悟空が言うには「お嫁って、食うものかと思っていたぞ。」そしてあっさり結婚したわけです。(その場は、天下一武闘会。チチも拳法家の娘で、幼少期からかなり強かったのです。ウルトラセブンみたいにアイスラッガーを使って、敵を切り裂くのでした。2人は対戦の途中で結婚へ。)


想像力の希薄な私にはこれくらいの例しか挙げられませんが、ほかに2つのことを挙げてみようと思います。


@6:美味しんぼ:「これからは、過去に決別して、君に結婚、申し込むよ(要約)」
山岡士郎
(しばらく日にちを置いて、山岡が結婚について弱気なことを言うので)「受けるわよ!」(栗田ゆう子)


このやり取り、『美味しんぼ』らしく食に関する薀蓄がらみで成されたものとは必ずしも言えず、複雑な過去を持つ一人の男が、それらを清算して愛する女性との新たな歩みを誓ったものであると言っても良いでしょう。どうも今後、士郎はゆう子の尻に敷かれることを予感させますが、実際そうなります。(プロポーズのエピソードは美味しんぼ:第43巻)ただ、ゆう子は賢明な女性で、士郎の父で陶芸家・美食家の海原雄山の間の険悪な関係の修復に心を砕き、実際、この親子を和解に導きます。彼女は雄山からも、味覚・人格の上でも大いに評価されていたわけです。人間関係の改善という作業は、女性が男性より長けているということでしょうか。士郎は良い嫁をもらったということ。


@7:私の知る夫婦のプロポーズの言葉:「ボクは枠組みになろう、君はそれに絡んで綺麗な花を咲かせてほしい」


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ネジバナ:茎を花が旋回しながら咲く。それを3本、矢のようにくっつけました。(2018年の年賀状に使った絵。)


 この夫婦、夫は凄腕の鍼灸師で、妻は某薬用植物園の職員です。漢方薬をはじめとして、両者とも植物に縁がありました。この場合、彼はあくまで脇役に徹し、彼女の成長・開花をサポートすることを約束して、「心情を吐露」したわけです。もともと、好きあって同棲していたので、プロポーズには、いまさら観がありましたが、それはそれ、プロポーズはしっかり行うというあたり、同棲と結婚との違い、そのへんを勘案して、彼はプロポーズしたのです。彼女が受けたのは言うまでもありません。



今日のひと言:プロポーズの言葉、どんな相手かを知り尽くし、2人の未来を見据えて、適切な言葉を選ぶか、男性役の人物が苦労するものですね。まあ、その2人にもっとも合った言葉を選ぶとするなら、やはり、2人に合った言い回しに落ち着くのでしょう。恋する男性の多くは恋する女性と面と向かい、自分を「ボク、僕」と自称することは多いように思います。実は私もそうでした。「僕」とは「召使」「下僕」を意味する言葉で、男性は女性に使嗾されるのを買って出るということですかね?


ここで気づいたのですが、ここで挙げた7つのエピソード、3つはマンガからでした。私はマンガクラブで漫画を描いたり、漫画の評論をしたりしていたから?ほかのジャンルを知っている人なら、別の例が挙げられるでしょうね。








今日の一品


白モツとマンゴーの和え物


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白モツは圧力鍋で定常状態で10分加熱、一日置いて油で炒め、塩とシナモンでシーズニングし、乾燥マンゴーを水でふやかして、白モツが冷めたところで和えました。

 (2020.11.30)



@セリのお浸し


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セリの群落


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セリのお浸し


庭で群生しているセリを摘んでお浸しにしてみました。もとはスーパーで売っている一束のセリから増やしたのです。

 (2020.11.30)



@スモークレバー乗せプンパニッケル


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私の地域にある、ドイツ仕込みのハム・ソーセージ屋の商品。ここのスモークレバーは柔らかくて美味しく、ドイツ直輸入のライ麦パン数種も入手できるので、併せ食べたわけ。

 (2020.12.02)







今日の四句


コスモスの
花は飛ばされ
揺れにけり


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 (2020.11.28)



耕運機
追って食事の
カラスたち


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耕運機で耕されたばかりの農地には、美味しいエサが多く地表に出てくるのでしょう。

 (2020.11.29)



寒さかな
ダリアガーデン
冬姿


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 (2020.12.03)



今が夏
ヒガンバナの葉
青々と


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 (2020.12.03)








☆☆過去ログから厳選し、英語版のブログを始めました。☆☆

“Diamond cut Diamond--Ultra-Vival”

 https://iirei.hatenadiary.com/


ダイアモンドのほうは、週一回、水曜日か木曜日に更新します。
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