虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

スクナヒコナ(南Q太)〜等身大の女の子の恋愛遍歴(マンガ)

以前、記紀神話にでてくるスクナヒコナノカミを取り上げた際、参考文献として挙げたマンガですが、表紙がなかなか魅力的だったので「ネットオフ」で注文し、超格安で入手しました。値段は一冊1000円のところ、一桁は低い値段でした。全4巻です。第一巻の発売年は2003年、株式会社祥伝社の発行です。


スクナヒコナ コミック 全4巻完結セット (Feelコミックス)

スクナヒコナ コミック 全4巻完結セット (Feelコミックス)



主人公の大石紺(おおいし・こん)は静岡県浜松市出身の28歳、女性です。女子大を出てそのまま東京でOLをやっています。・・・この自己紹介を聞いて、「さては男に耐性がないのかな」、と思いましたが、次の展開が見えるようでした。


会社の同僚・バツ一になることを決めた(つまりまだ離婚していない)辺見くんと恋愛関係になるのですが、辺見に「自分が紺ちゃんを守るから、会社を辞めてくれ」と迫られます。それにしたがって会社を辞めた紺でしたが、辺見はリストラされて逆に紺の実家まで出向いてお金の無心をします。「借金返済のため」、200万円を無心するのです。そのとき紺の父はあっさり「いいよ」と答えますが、母は極めて思慮深い人で「入籍だけはしちゃだめよ、貴女が辺見くんの借金を被る必要などないからね」と諭します。


無心をした200万円で自動車を買った辺見に、紺はあきれますが、さらに500万円も無心し、これがあってから、紺も辺見が「お金にルーズで汚い」ことがわかり、辺見とは切れます。こんな「ヒモのような男」とは分かれて当然なわけです。実際、女に金を出させ、好きな自動車道楽にうつつを抜かす男の例を、私は知っています。


次に好きになったのは、賀次くん。優しい男性ですが、バイ(愛の相手として、男性も女性も対象に出来る人:バイセクシャル)でした。紺はどっぷり賀次の魅力に魅惑され、本当の恋に目覚めますが、彼は交通事故で亡くなってしまいます。落ち込む紺。なお、紺の弟・紫(ゆかり)は同性愛者で、賀次を愛していたのですが、まさか姉と対抗して、同じ人を愛するわけにもいかず、過食症で激太りしてしまいます。


そして、紺が現在付き合っているのは、イラストレーターの富尾くん。見た目ダサい人ですが、声が賀次に似ています。紺は、賀次の代用品みたいに富尾を扱うのは、失礼だと考えていますが、富尾はそれでも良いとして、二人は子供を作ります。なかなか出来た男性です。紺も、3人の男性と付き合って、大人になっていくのですね。


サブキャラにも同じように、面白いキャラが登場します。美容師のテツ。耳におおくのピアスをはめている彼は、女だったらだれとでも寝るという乗りの人で、紺にも気がありましたが、寝た女性の一人・・・片岡さんの深情けに泣かされます。同衾を拒んだ彼は、片岡に刃傷沙汰を起され、半死半生の目に会ってしまいます。・・・思い詰めた女は怖い、という感じでした。



今日のひと言:南Q太というペンネーム、てっきり男性かと思っていましたが、実際は女性漫画家なのですね。1992年にマンガ家デビュー。それで、このマンガのタイトルはどうやって決めたかと想像しますに、南さんの出身県が島根県で、彼女の地元の出雲神話に出て来る「スクナコナノカミ」から採ったのではないか、と考えました。話の記述には特に関係はないようです。



http://d.hatena.ne.jp/iirei/20141129#1417233485

:名バイプレイヤー・スクナヒコナノカミ:一寸法師の原型





今日の一品


@メカジキのオーブン焼き・山椒味噌乗せ



弟作。目玉は、焼くときから山椒味噌を乗せておいたこと。ただ、焼くと風味が飛ぶので、食卓でもう一回、山椒味噌を塗って食べました。


山椒味噌:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20160502#1462117568


 (2016.05.08)



@蕗(フキ)のバター炒めシナモン風



ハーブの一種にアンゼリカ(もしくはアンジェリカ)というセリ科の植物があり、砂糖菓子にすることがあるため、私はその代替品として蕗を使おうと思いました。下処理を済ませた蕗をバターで炒め、砂糖、塩を加え水を入れて加熱し、水が飛んだあたりでシナモンを振りました。案外美味しい。もっとも、砂糖菓子にするほどは砂糖は使いませんでしたが。

 (2016.05.09)



@鶏ムネ肉の照り焼き・ローズマリー風味



http://d.hatena.ne.jp/iirei/20160426#1461608082

の、山椒の葉をローズマリーに置き換えたものです。ちょっと重い香りですが、味は良かったです。

 (2016.05.11)





今日の詩(2題)


@黒く恐ろしいもの


タエコ(犬)の散歩
目前に迫った風に揺れ、黒いもの
タエコはそれを恐れ
歩を進めようとしなかった。


でもそれは単なる黒いビニール袋、
タエコにとっては恐ろしく見えたのだろう。


笑うべきことだが
人間もこれに類することを
感じることがあるかも知れない
風車を敵と見たドン・キホーテのように。

 (2016.05.08)



@黒い土


篤農家の彼は
人より半月は早く


土に水を入れ
農作業に入る。


万全にして収穫するのも
半月早い。


今日は水田に水を導き
白く乾いた土が黒くなった。

(2016.05.08)





今日のロシア・フォルマリズム


松山千春出世作「季節の中で」は、よく聴くと、意味不明な歌詞が羅列されている。「♪はばたけ高く」と歌っていることから、これは鳩を飛び立たせようという意味の歌だと納得する。

 (2016.05.09)



↑過去ログで取り上げているこの言葉、
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20081122#1337305032
で書いていますが、要するに「言葉を先入観なく読み、先入観を持って読む人をぎょっとさせる」解読法のことです。