『男が働かない。いいじゃないか!』:「男性学」の産声(うぶごえ)
社会学の一つに「女性学」という分野があることは、社会学者なら既知のことでしょうが、それに対応するものとして、「男性学」というのがあるのは、2年前の夏に東京新聞の特集「あの人に迫る」で知りました。(2017.07.29号)田中俊之(:大正大学心理社会学部准教授) へのインタビュー記事によってです。なお、カッコ内の本は「講談社+α新書」です。
問題の起点は「なぜ、男は学校卒業と同時に、企業で働き続け、定年までフルタイムで勤め続けなければならないか」という疑問です。でも、実際のところ、この疑問を抱かずに仕事を続ける男性が多いのでしょうね。「男性学」は、男性ゆえに抱える悩みや葛藤を対象にします。
女性と対比して解り易い行動を挙げれば、悩みを一人で抱え込むことが多い男性に比べ、女性は仲間でおしゃべりをしてストレス解消が図れるという手段というセーフティー・ネットをもつ点が大きく違います。この差は、自殺者の数にも大きく関与すると田中氏は言っています。(ただ、もちろん、別の要因も考えられます。もともと、生物学的に、雄は雌より、脆い生き物なのです。人間でも出生時には男は女より生まれる率が高く、ただ自然と減少し、成人(適齢期)の時は1:1になり、老人になると女のほうがより多く生存します。)
仕事の話に戻って、記事から引用します。
以前、対談した女性コラムニストの方が「女性は結婚や妊娠、出産と、仕事を続けるのにハードルがあるから働く理由を考えているけど、男性には「なんでこの人、会社にいるの?」という意味の分からない人が少なくない」話していたのが印象的でした。
田中氏は、このような意識のままに40年も仕事を続けることは大変不幸だと断じます。この欄の名称は「一度立ち止まり働く理由考えて」というもので、働く男性へのメッセージが込められているようです。まあ、この状況は、夫婦の片割れの妻にとっても、同じように不幸なことでもあるのでしょう。
では対応策は・・・「多様性(ダイバーシティー)」。行政の男女共同参画のキャッチフレーズにありがちなトップダウン式の考え方として「男も女も、仕事も家庭も」がありますが、これを多様性という概念で見直すことが主眼となるようです。
異なる働き方、生き方をする人とどう折り合うか。女性の就業率が上がり、結婚や出産後も仕事を続ける人が増えている現状を把握し、そこに適合するにはどうしたらいいかという発想に転じること。互いを理解するための対話の場を確保していくことが大切です。
職場にフルタイム就労でない男性がもっといていいし、育児や介護で一時的に仕事量を減らせるように、個人のステージで多様な働き方を認めていくべきだと思います。
今日のひと言:男性ならこうすべき、こうすべからず、女性もこうすべき、こうすべからず、と言った規範について考えなおすべきだとの主張がこの男性学にはあると思います。育児や家事の分担を、夫婦で取り決め、回りにどう思われようとも、男性が育児・家事を専業にしても良いことだと言うことですね。これは、男性学の趣旨とも合わせ、現代の「実存主義」であるといえると思います。
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今日の一品
@煮含めガンモドキ
弟作。我が家では、毎夕飯事、大豆製品とそれに類するものを一品としますが、今回はガンモドキをコンソメで煮含めにしました。ガンモドキの調理法としては、我が家ではドライなまま、塩や香辛料で味付けするやり方と、煮含めるやり方の2種類あります。
(2019.05.07)
@フキのオレガノ風味
いつものフキの煮もの、今回はオレガノを入れて香り付けしてみました。今季は、山椒、チャービル、オレガノと3種類試しました。どれも風味が良く、美味しかったです。
(2019.05.07)
@本場下仁田産さしみこんにゃく
夕飯のお供、酒の肴として美味しいものですが、群馬県下仁田町(しもにたまち:こんにゃくの日本最大の市場がある)の地元の人が言うには、「東京の奴らが買うさしみこんにゃくには、こんにゃく粉がちょっとしか使われていない、スカスカだ。俺ら地元では粉をたっぷり使ってブリブリのこんにゃくを食べる」と言っていました。つまりさしみこんにゃくを喜んで買う東京の連中はバカだと言わんばかりの感じでしたね。
(2019.05.08)
@マトウダイのみりん漬け
タイとつきますが、スズキ目(タイ、イサキなどの美味しい魚の宝庫)の魚類ではなく、むしろタラ目に近いマトウダイ目の魚だそうです。(wikipedia)味は脂身が多く、しっとりしていて美味です。エンガワの部分も食べられたのはおどろき。
(2019.05.10)
今日の四句
咲きそめし
定家葛(テイカカズラ)の
鬼の花
白くて可憐な花はジャスミンに似た芳香を放ちますが、キョウチクトウ科の毒草です。伝承として、式子内親王に恋した藤原定家が、死後この植物になり、内親王の墓に絡みついたそうです。
(2019.05.08)
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大根の
花の白さや
春の「雪」
(2019.05.09)
いち早く
水張る田んぼ
ツバメ舞う
ツバメ自体は撮影できませんでした。動きが速くて。
(2019.05.10)
白妙の
ツボミ並べし
ピラカンサ
(2019.05.11)