「柔和な現人神」+「猫は誰の物?:三角関係の解消~南泉斬猫の公案」
「柔和な現人神」+「猫は誰の物?:三角関係の解消~南泉斬猫の公案」
@私は天皇制や皇室について中立で、特に崇拝もしないし、否定もしませんが、去る2019年5月3日に、憲法改悪反対集会に7万人集まった(主催者発表)のに対し、同日の新天皇の一般参賀に14万人から集まったことには、さすがに唖然としました。能天気な人たちだな、と。いや、それに留まらず、ヤバいのではないかと。昭和天皇の場合、厳格な現人神(あらひとがみ:人そのものが神である存在)といった感じの君主でしたが、象徴天皇であることをはじめから期待されていた平成天皇は、むしろ柔和な現人神であることを行ってきたのでしょう。その後を引き継いだ新天皇も、平成天皇の路線を引き継ぐようですから、「柔和な現人神」を行っていくでしょう。
親しみやすい「柔和な現人神」、これはまるで赤子のように、親なる天皇にすべてを預け、自分はなにもしない怠惰な態度であるとも言えるでしょう。まるで自分がないかのように、無条件で「柔和な現人神」を崇拝するのです。このあたり、id:SPYBOYさんによれば、自分でものを考えないということになりますし、もし天皇が極端な右翼思想に染まれば、崇拝者の国民もたちまち右翼になってしまいますね。この点、id: narumasa-2929さんのいう象徴天皇制の盲点になるのです。戦前・戦中、また戦後を通じて日本人のメンタリティが「現人神」を必要とするのでしょうね。なんて強固な「趣味」だこと。
https://spyboy.hatenablog.com/entry/2019/05/06/『平成と大正』と映画『麻雀放浪記2020』
https://narumasa-2929.hatenablog.com/entry/2019/05/03/025057
@「南泉斬猫の公案」とは、禅のなぞなぞで、禅僧たちが可愛い猫を連れてきて、その猫は誰の物かと争っていたとき、師の南泉が、その猫を斬殺したというのですね。僧の頭目格の趙州(じょうしゅう)が戻ってきてその出来事を聞くや、履物を頭に乗せて行ったと言い、南泉、「もし、あの場に趙州がいたら、猫を殺さずに済んだものを」と言ったという公案(くあん:なぞなぞ)です。これは解釈が極めて難しく、古来難問とされてきました。
以下は、あるブロガーの方のコメント欄に投稿した1文です。
私も『金閣寺』を読んだ際、この南泉斬猫の公案に引っかかりました。一つの考え方として、千葉県松戸市に伝わる「真間の手児奈」の伝説を持ってきます。この美人な女性は、同時に2人の男性に求愛され、彼女はどちらの愛も、一方に傾くのは不可だったので、受け入れることが出来ず、自分を存続させることができないで、川に身を投げたというのですね。この辺、むろん猫には、そんな心の機序が解るわけないのですが、南泉が猫の立場を手児奈と同一視しての行動だとも思えるのです。真理を巡って、どころか、物(これは人間も含む)を巡って争う二項対立を解消する一つの手続きかと。
http://www.watto.nagoya/entry/2018/02/05/013000 より
この手児奈の件については、私の過去ログでも触れています。
https://iirei.hatenablog.com/entry/20120429/1335696534
:夏目漱石の「こころ」~三角関係の恐ろしさ
私も以前、ある女性をめぐってある卑怯な男と三角関係になりました。私は「こころ」の中での「Kと同じ役回り」でした。でも、私は自殺はせずにその男のプライドをズタズタにしてやりました。もっとも痛手も大きく、その三角関係ののち、数年間はノイローゼ=人間不信の状態からは抜け出られませんでした。(ここでの私とは筆者・森下礼のこと。)三角関係というのは、当事者の男女に激しく・壊滅的な情動を巻き起こす恐ろしいものなのです。
なお、女性の側から三角関係を清算する行為として、自ら死を選ぶというお話が万葉集にあります。求愛するどちらの2人も魅力的でどちらにも靡けないので・・・「自分がいなければ争いは起きないだろう」、という気持ちで・・・
真間山の麓にいたという美少女にまつわる伝説が伝わる手児奈霊園。運命にもてあそばれた美しい娘・手児奈(てこな)は真間の入り江に身を投げたと伝えられ、万葉集にも詠われています。
今日のひと言:私の解釈では後半の「履物」の意味はよく解りません。ただ二陣営に分かれて人ほどの価値はなさそうな猫に入れあげる人の頭脳は、履き物に踏みつけられる地面以下だろうよ、という皮肉を感じます。正しいかどうかは解りません。どなたかうまく解釈できる人はいませんか?なお、この公案とよく似た話として、「風・旗論争」があります。動くのが風か旗か、どっちかと僧たちが論争していたのに対し、六祖慧能(ろくそ・えのう)が「心が動いたのだ」と喝破し、一同静粛になったというお話です。(『禅――現代に生きるもの』(紀野和義:NHK選書))
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今日の一品
@すいとん(水団)
戦中・戦後、庶民の腹を満たしたというすいとん。作ってみました。薄力粉50gくらいに片栗粉少々、ぬるま湯で捏ね、10分ほど置きます。鍋に醤油、昆布だし、水をいれ汁を作り、大根、卵、イワシ缶、油揚げを入れ、さきほど作ったすいとんの塊を順次入れ、5分ほど茹でて、最後に三つ葉を散らして火から降ろします。(このレシピは、いろいろネットで紹介されたものから最大公約数のように決めました。ただ、すいとんは、球に近い形より、もっと扁平なものが火が通りやすくて良いと思われました。また、卵、イワシ缶を入れるのは、ちょっとリッチすぎるかな。)
(2019.04.30)
@小イワシの生姜煮
これは、イワシでも、カタクチイワシの子供を煮たものです。このイワシはとっても美味しく、スパゲティに入れて美味しいアンチョビーはこの魚で作ります。山形県天童市の太田食品株式会社の製品です。あるスーパーは、この会社のいくつかの製品を置いていますが、あるとき、この製品だけを置かなくなりました。個人経営規模のスーパーは、ちゃんと置いていました。見る目があるなあ。一番美味しい商品ですから。
(2019.05.03)
@鶏手羽元の照り焼き
弟作。醤油+砂糖のタレに4時間ほど漬け込んだ手羽元を180度、25分オーブントースターで焼きました。これは美味しい。
(2019.05.03)
@苦いチャーハン
普通にチャーハンの素を使うチャーハンですが、違うのはウコギの新芽を刻んで入れたこと。この新芽は相当苦いのです。あと、炒めて盛った仕上げに中華や東南アジアの料理に使われる「ネギ油:ネギオイル」を振ったこと。この新芽をいれることで、卵の黄、カニカマの赤、ウコギの緑が揃って、綺麗なのです。
(2019.05.05)
今日の五句
麦秋(ばくしゅう)の
稔り約して
穂の出でぬ
麦秋は「春」の、麦の収穫期のことで、季節の「秋」とは違います。
(2019.04.30)
ネギの子の
軍隊式に
整列し
なんだかきな臭い今日この頃。整然と植え付けられた子ネギもきな臭い?
(2019.05.01)
山藤の
にっこり笑う
皐月(さつき)かな
写真では白っぽいけど、見た目はもう少しムラサキ色の花でした。
(2019・05.02)
俳聖も
バナナなりしか
芭蕉の木
俳聖=松尾芭蕉。芭蕉とは一般的にバナナを意味します。イメージが違いますね。
(2019.05.04)
鋤き込まれ(すきこまれ)
それでも立てり
ネギ坊主
ネギ坊主はネギの花。鋤き込む:耕して、その範囲を無にすること。
(2019.05.05)