『空手バカ一代』の超絶バトル:真の実力者の決断とは?
『空手バカ一代』の超絶バトル:真の実力者の決断とは?
この作品は、梶原一騎得意のスポコン物の一つで、作画をする漫画家が途中交代したことで有名です。前半は「つのだじろう」、後半は「影丸譲也」が担当しています。多分、梶原と「つのだ」が喧嘩別れしたのだと思います。
このマンガの主人公は大山倍達(おおやまますたつ)、今となっては鬼籍に入られたけど、実在の空手家です。かれは生涯中国拳法の名人に敗れたことを除き、負けたことはないという触れ込みでした。あだ名はGod Hand(神の手)と言いました。また「マス・オーヤマ」とも呼ばれていました。
そんな彼にまたもや中国拳法の達人が挑戦してきます。先ほどの人は太極拳(北派)の達人でしたが、今度の挑戦者は少林寺拳法(南派)の李青鵬(りせいほう)でした。この人は自信家で、「この世で確実にマス・オーヤマを倒せるのは自分だけだ」と嘯いていました。李は必殺技を持っていたのです。
この二人が対決するのは必然でした。闘技場で合間見えた2人は死闘を展開しますが、いよいよ李があの必殺技を繰り出すときが来ました。・・・フッと李の姿が大山の目の前から消えます。このとき、
大山はジャンプします。もし地上を前後左右に動くなら、かならず残像は残るはずで、「敵は空中」と大山はとっさの判断をしたのです。そして大山の頭突きが李を下から捉え、クリーン・ヒットします。血反吐を吐いて敗れる李・・・李の敗北。
ですが、この技を炸裂させて勝つことに執念を燃やす李は、大山がTV出演していた場に姿を現し、李にウラミをもって襲ってきた大男のプロレスラーに必殺技を仕掛けます。空中高く飛び上がり、敵の背後に回り、頭が下(倒立した体勢で)、足を敵のわきの下に回して羽交い絞めにし、強烈な頭突き、左右の拳を敵の両の腰に打ち込み、同時に計3発の打撃を与え敵に再起不能のダメージをもたらすのです。
称して「三光:さんこう」。「焼く・奪う・殺す」の3つの惨禍を敵に与えるので、こう呼ばれているのです。さて、この「三光」を目の当たりに見せられた大山、人質を取って、どうあっても戦いを要求する李と、「三光」の完璧性に怯えながらも、2度目の対決に臨みます。TV局内で。李は、嵩にかかって攻め立てます。「三光」を防ぐには「壁」を背にして、背後に密着させないのがいいだろうと大山は考え、そうしますが、李はそんなのは無意味だとばかり鋭いキックを次々に浴びせかけます。大山、このままでは、ブロックしている腕が蹴り砕かれると思い、絶体絶命です。
ただ、このシチュエーションで、大山は一つの決断を下します。「壁には、もう一つの使い道があった」・・・
大山は、李に向ってパンチを繰り出し壁から離れます。にんまりして飛び上がる李。次の瞬間、再び李は血反吐を吐いて敗れました。確かに李は必殺技を繰り出したのですが、「三光」がその破壊力を発揮する寸秒のあいだに、大山は李を背中に乗せたまま、壁に李を激突させたのです。
これで両者の決着がつきました。さしもの李も、「三光」がみごとに破られたことを認めたのです。その後、二人は親友になったそうです。
大山の強さはこの2度の勝負で炙りだされます。1度目は、技の正体はわからずとも、冷静な判断を失わなかったこと、それで勝利した。2度目は、とても破れそうもない必殺技を目前にしても、決して勝負を諦めず、的確な発想で血路を見出すその精神的タフさ。対するに、必殺技をわざわざ敵に見せ、その時点で勝ち誇る李は、ちょっと自己顕示欲が強すぎたようですね。ダマテンでこの三光をお見舞いすれば、大山を倒せたでしょうに。大山倍達、確かに真の実力者です。
今日のひと言:『空手バカ一代』は拳法の対決シーンがユニークなマンガでした。『北斗の拳』(武論尊+原哲夫)をはるかにしのぎ、『男組』(雁屋哲+池上遼一)にも勝ったかも知れません。この作品を名前だけパクって作品にしたギャグ漫画『課長バカ一代』(野中英次)も面白かったですね。ああ、「バカ・・・」はどちらも講談社系の雑誌に連載されていました。『空手バカ一代』第22巻(オリジナル版)より。
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今日の一品
@クコの卵とじ
毎年、この時期クコの新芽が出てくとき作る我が家の定番料理。クコはナス科の灌木で、新芽を摘んで水洗い、水で少々薄めた昆布だし(ヤマサ)で茹で、溶き卵を落して固めます。味は「ツクシの卵とじ」に似ています。
(2019.04.19)
@牛バラ肉のナス、トマト炒め
弟作。名前の通りですが香辛料として、ペッパー、ガーリック混合スパイスを入れたそうです。
(2019.04.20)
手頃な大きさのイワシ6尾。半額で買って節約します。頭を残し、全部食べます。私も加齢して、イワシの良さが解ってきたようです。これは焼く前の状態。
(2019.04.21)
@アボカド練りこみパン
週末のお楽しみ、パン作り。今回は「森のバター」アボカドの3分の1くらいを生地に練りこんでみました。粉は最近では強力粉を使っています。パンの断面がいくらか緑になっています。
(2019.04.21)
今日の三句
童(わらべ)見き
川辺のバラを
手折らずに
♪童は見~たり、野中のバ~ラ~(ゲーテ詩、シューベルト曲:野ばら)という歌曲のもじり。
(2019.04.19)
なにげなく
トウダイグサの
伸びにけり
毒草ですが、草姿が美しいのです。遊休農地のヘリに生えていました。
(2019.04.21)
カキ・ブドウ
仲良く並ぶ
早朝に
秋の味覚の2つが仲良く見える風景。
(2019.04.23)