虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「心を打つ怪我」~レトリック=トリックの妙



「心を打つ怪我」~レトリック=トリックの妙

表題の文句は、私が考えたものですが、これは通常「心を打つ」という言葉のあとには肯定的な文言がくるものですが、このフレーズの場合、「怪我:けが」と書くことによって、一瞬混沌(カオス)のような感じが味わえるようになっています。来てはおかしい言葉がくることによるギャップが面白いです。このような言葉は、私の語彙のなかでは数が少ないのですが、あと2つばかり挙げてみます。


「人の嫌がることをする」:これは劇作家の野田秀樹さんが彼の著『この人をほめよ』で展開していたものですが、この場合、寒い冬の朝、道路に水を撒くという行為がそれに当たります。たしかに
こんな行為をされたら、人は嫌がるでしょう。滑り易いこと、この上ない。もちろんこのジョークにはカラクリがあり、英語でいう能動態・受動態を巧妙に置き換えているのです。水撒きの場合、「他人が、されて嫌なことを自分が実行する。」:他人は受動態的(される)という形になります。一方、普通に言う意味では「人が、他人がすることを嫌がることを・自分が率先してする」:本人は能動態的なワケです。


野田秀樹について、wikiより


野田作品の大きな特徴は「言葉遊び」と「リメイク」である。使い古された言葉、古典と呼ばれる作品に新しい命を吹き込み、独創的でスペクタクルな舞台を創造する。俵万智は、彼の作品について「これは古典と呼ばれることになるだろう」と評している。


もう一つ・・・「甘い甘いお話だ・・・虫歯になりそう」と言った表現。これは堀井憲一郎さんがよく使う話法で、話の前半と後半が本来独立な事態なのに、あたかも共通するかのように繋げるレトリックです。

これもwikiより(堀井憲一郎


1984年(昭和59年)から文筆業を始める。週刊文春のコラム『ホリイのずんずん調査』を中心に、奇抜な発想に基づく調査を実施して、その結果をまとめるという独自のエッセイのスタイルを確立した。松任谷由実に倣い、デニーズの盗み聞きを元に歌詞をつくってみたり、スキー場の女性比率を調べたり、吉野家の店舗ごとの牛丼のつゆの量を調べたり、といった独創的な切り口で知られる。万歩計の取説に書いてある「○○歩で東海道横断」という記述を確かめるために、実際に東海道を踏破して万歩計の歩数を調べたが、京都目前の山科付近で「使用者の歩幅に依存する」ことに気づくという失態を犯している。キャッチフレーズは「何でも調べるフリーライター」。


今日のひと言:今回のテーマについて、私の語彙はこれだけですが、多分お茶の水女子大学教授の土屋賢二さんの著作を読めば大量のレトリックが目に出来るはずです。(例えば『土屋の口車』:文藝春秋

ついでにwikiより(土屋賢二

研究の傍らユーモアエッセイを執筆。一見哲学的な深い洞察をしているように見えながら実は論理的に奇妙な文章になっているという、学術論文をパロディ化したような独特の作風。そこからついたあだ名が「笑う哲学者」。趣味はジャズピアノ。ライブで演奏する曲は『ラカンの鏡』『オッカムの髭』など哲学と関係したタイトルになっている。漫画家の柴門ふみお茶の水女子大学での教え子。ときおり著書にイラストを描くいしいひさいちは小学校の後輩で、『ののちゃん』の中に「ツチノコ教頭」として土屋を登場させている。


PS:ただ、土屋さんのエッセイは、読んでいると「飽きます」。まあ、小手先の文章だからです。土屋さんは週刊文春にコラムを連載していましたが、同じころ週刊新潮に連載していた池田晶子さん(故人:慶応大学哲学科卒)の正統的な哲学的思考に惹かれたものです。




この人をほめよ (新潮文庫)

この人をほめよ (新潮文庫)

野田秀樹と高橋留美子―80年代の物語

野田秀樹と高橋留美子―80年代の物語

いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)

いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)

ツチヤの口車 (文春文庫)

ツチヤの口車 (文春文庫)

41歳からの哲学

41歳からの哲学




今日の一品


フキノトウ(蕗の薹)入り味噌汁


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フキノトウ一個収穫できましたので、さっそく刻んでいつもの味噌汁に入れました。一個でも際だつ香り、苦い味。春の息吹ですな。

 (2019.02.12)



@ニラーム


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弟作。ニラとラム肉を炒めました。「ニラ」と「ラム」で「ニラーム」。ニラレバ炒めの応用ですね。味付けはタンドリーチキンの素。

 (2019.02.13)



@モーカの湯葉


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弟作。モーカ(サメ肉)を2時間ヤマサの昆布ダシに浸し、ナツメグを振って湯葉で覆い、フライパンでオリーブオイルを使って炒めました。湯葉は焦げましたが、発想が面白い。味はまずまず。

 (2019.02.13)



イワシのかば焼き


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コープで購入してレンジでチンしただけ。案外脂が乗っていて、ウナギのかば焼きの代替食になりうるか、と思いました。私はウナギが好物ですが、絶滅の危機を脱するまでは食べないことにしています。そんな状況でイワシのかば焼きは優れています。

 (2019.02.15)





今日の一首


白い土
雨が降る度
黒くなる


:水の色とは
黒色なりき


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陰陽五行論的発想。

 (2019.02,17)





今日の三句


梶の木
かすかに萌えり
雨水にて


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 雨水は24節季の一つで春の訪れを実感する時期です。



注:私ははじめはこの時期を「清明」と混同していました。私の不明でした。

 (2019.02.16)



晴れの日に
備え葉の延ぶ
ヒガンバナ


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秋の華麗な花を支える葉を見て。

 (2019.02.16)



冬寒に
咲くや水仙
2、3株


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 (2019.02.17)