虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

エキノコックス:北からキタキツネと共に来た怖い寄生虫

私が「エキノコックス」という寄生虫を知ったのが、いつのころだったか、不明確ですが、かれこれ10数年前、埼玉県行田市で、エキノコックスを持つ犬が発見されたという情報を耳にし、「ああ、あの病魔がついに目と鼻の先まできたか!」、と戦慄しました。私の住む群馬県太田市とは至近距離にあるのですから。・・・もっとも、その犬はエキノコックスの本場、北海道から連れてきた犬だったとのことで、エキノコックスの面的な広がりはなかろう、とされました。


エキノコックス」はネズミ、キツネ、イヌなどを宿主とし、キツネやイヌがネズミを食べて感染したり、これらの動物の糞を口にしたりして感染します。感染すると、人体の各部に寄生を始めます。脳、眼球、脊髄、・・・特に肝臓が標的とされます。エキノコックスには「単包条虫」「多包条虫」の二種類がありますが、いずれも本体が袋に包まれています。肝臓に巣くって、栄養を横取りし、排泄物を押し付けます。また、袋が破れたら、発散される液体で宿主がショック死する(アナフィラキシー)こともあるようです。さらに、この寄生が頂点に達すると、肝臓は、肝硬変、さらには肝臓がんと見極めが付きにくい症状を呈して、死に至るというのだから、恐ろしいです。特に「多包条虫」が。



エキノコックスの生活環(wiki


この寄生虫、おもに2つのルートで北海道およびその周辺に上陸しました。ひとつは礼文島。カムチャツカ方面から、毛皮用のキツネを導入するとともに上陸。もう一つは千島列島から流氷に乗って道東、特に根室方面に多く集りました。そして、その経緯から北海道固有の病気かと思いきや、本州でも患者が報告されています。


それは何故か?・・・一説に「青函トンネル」を通路として、北海道のキツネ(キタキツネ)が本州にやってきたという説明があります。だとしたら、文明の利器たる鉄道も、一方で人類に惨禍をもたらすことになりますね。便利さのために、健康障害を受けるという事態です。人間の知性の限界を思います。


Wiki では、以下のように説明されています。(補足の意味も兼ね、引用します。)


エキノコックス症(エキノコックスしょう)とは、寄生虫の1種エキノコックスによって人体に引き起こされる感染症の1つである。包虫症(ほうちゅうしょう)などとも呼ばれる。


発生原因となるエキノコックスとは、扁形動物門条虫綱真性条虫亜綱円葉目テニア科エキノコックス属に属する生物の総称である。区分すると、単包条虫 Echinococcus granulosus による単包性エキノコックス症と多包条虫 Echinococcus multilocularis による多包性エキノコックス症がある。単包性エキノコックス症は牧羊地帯に好発し、日本においては輸入感染症として認知されている。


原因は、キタキツネやイヌ・ネコ・タヌキ等の糞に混入したエキノコックスの卵胞を、水分や食料などの摂取行為を介して、ヒトが経口感染する事によって発生するとされる、人獣共通感染症である。卵胞は、それを摂取したヒトの体内で幼虫となり、おもに肝臓に寄生して発育・増殖し、深刻な肝機能障害を引き起こすことが知られている。肝臓癌と誤診され外科手術時にエキノコックス症と判明することもある。

症状

無症状の潜伏期間が長くは成人で10年から20年、小児で5年以上かかるといわれている。

患者の98%が、肝臓に病巣を形成される。感染初期の嚢胞が小さい内は無症状だが、やがて肝臓腫大を惹き起こして右上部の腹痛、胆管を閉塞して黄疸を呈して皮膚の激しい痒み、腹水をもたらす事もある。次に侵され易いのは肺で、咳、血痰、胸痛、発熱などの結核類似症状を引き起こす。


そのほかにも、脳、骨、心臓などに寄生して重篤な症状をもたらす事がある。また、嚢胞が体内で破れ、包虫が散布されて転移を来たす事もしばしばある。内容物が漏出するとアナフィラキシーショックとなる。本虫の引き起こす症状は、大型の条虫よりも重篤である。



今日のひと言:先にも触れたとおり、人為とその反動は、人間が地球上に存在するあいだは無くならないでしょうね。なお、今回のブログは「エキノコックス その正体と対策  増補版」(山下次郎、神谷正男:北海道大学図書刊行会)も参考にしました。



増補版 エキノコックス―その正体と対策 (北大選書 14)

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アーバンテック SUPER DELIOS(スーパー デリオス) 携帯浄水器

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わたしたちの体は寄生虫を欲している (ポピュラーサイエンス)

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絵でわかる寄生虫の世界 (KS絵でわかるシリーズ)

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今日の一品


@鮟鱇+牡蠣鍋



この冬、奇跡的に入手できた青森産の鮟鱇(アンコウ)と広島産の牡蠣(カキ)を中心に、具沢山の鍋を作りました。写真に入っているのは、アンコウ、カキ、ホタテ、シラタキ、春菊、ゴボウです。ゴボウは試験的に入れたのですが、他の食材に押され気味でした。

 (2017.01.26)



@ウド2品


弟作。ウコギ科のウドは捨てるところがなく、皮はキンピラ、本体はナマスにできます。今日のナマスは、醤油+梅サワー漬けで味付けしました。

 (2017.01.28)



@鶏ムネ肉のマリネ


我が家の定番料理。茹でた肉を、「特製」タレに漬けます。タレは醤油+梅サワー漬けで、何回も漬け込むものなので、たまに酢を足します。

 (2017.01.28)





今日の詩(3編)


@アクセス数


拙ブログはこれまで約900エントリー行い、
累計ほぼ360万ページビュー、170万カウンターだった
そこで割り算をして1ブログあたりの読者数を計算すると


360万÷900≒4000(ページビュー)
170万÷900≒1900(カウンター)


――だった。多いか、少ないか。
・・・案外多い気がする。


特に拙ブログはテーマごとの話題なので
グーグルの検索では、案外上位に来る。
まあ、それくらいの力を拙ブログは持っている
と思って良かろう。

 (2017.01.28)




@筋が良い・・・筋子(スジコ)。

 (2017.01.27)



@食券乱用


おお、オヤジギャグ。
 
 (2017.01.29)




今日の一句


陽光に
ざわめき揺れる
葦の花



冬の日、枯れた葦の花に目が留まり、その美しさに見ほれました。葦は本来「あし」と読む植物ですが、「悪し」に通じるので「よし」(良し)と読み替えるのが普通です。

 (2017.01.25)