ヘウレーカ:呆けたアルキメデス(by岩明均:いわあき・ひとし)
(堂々全五回に渡る新旧マンガ特集その1)
時は、ローマとカルタゴが地中海の覇権を争っていた「第2次ポエニ戦争」のころ、シチリア島の東部をしめる都市国家「シラクサ」でも、どちらの陣営に組みするのか、揉めて(もめて)いました。
スパルタから流れて来た青年「ダミッポス」(実在の人物)は、ローマ人の女性・クラウディア(この女性は作者による架空)と恋仲になりますが、シラクサがカルタゴに組みしたので、敵として遇され、クラウディアは命を落とします。
この2人は、マンガ「ヘウレーカ」の狂言回しとして活躍するのだと思います。
では、主役は誰かというと、それは古代最大の科学者・数学者・技術者と呼び声が高い「アルキメデス:BC287−BC212」でしょう。「ヘウレーカ」という言葉は彼が「浮力の原理」を入浴中に発見し、「ヘウレーカ!ヘウレーカ!」と叫んで裸で街中を走った故事によります。この言葉の表記は多様で、「エウレカ」「ユリイカ」という表記もあります。
最初はローマのために、各種武器を作ったアルキメデスですが、その武器が侵攻してくるローマを次々に仕留めるのを、悲しい眼差しで見つめます。その兵器はクレーンとか投石機械ですが、投石兵器の威力がすさまじく、石に当たったローマ兵の体にすっぽり穴が空いちゃって、即死してしまうのがスゴイです。(ただ、この記述が実際にあったのか、岩明氏の創作なのかはわかりません。ただ、投石兵器をアルキメデスが作ったのは事実のようです。)彼が悲しむのは、原爆を作った科学者たちと、心情的に似ていると思います。
このマンガでは、アルキメデスは科学に関する意識以外はなんにつけても呆けちゃっていて、日常会話にもどこか不自然さがあります。
彼の最期は、いかにも彼らしいものでした。ローマの一兵卒が、アルキメデスが地面上に描いた円に関する考察を踏みつけたのに対し、罵倒して、(訳がわからぬ)ローマ兵に虐殺されるのです。いかにも、アルキメデスが理系バカといった感じで、GOODですね。
今日のひと言:岩明均氏は「寄生獣」で有名な漫画家ですね。かなりグロイ作品を描くようですが、私はほとんど未読です。いつか。いや明日からでも読んでみましょうかね。「ヘウレーカ:2002.12.24初版」(白泉社JETS COMICS)より1巻出されています。)「ヘウレーカ」で作者は、戦争の本当の姿を描きたかったのかも知れません。
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