虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「江戸むらさき特急:ほりのぶゆき」と時代劇


(堂々全五回に渡る新旧マンガ特集その2)



 こんなお話があります。

1)「何者だ!?」と問う悪人ども。「桃から産まれた桃太郎!!」と高橋英樹が答えると・・・「まずい、バカだよ・・・」「まずいよ、ねえ・・・」 (桃太郎侍


2)(役者が替わって不慣れな新・水戸黄門さんは、助さん、格さんに叱責される毎日・・・)そして水戸黄門は「疲れた、旅に出ます」と書置きをして去る  (水戸黄門


3)(お白州で)「桜吹雪の入れ墨を見せようとして」・・・『あ。しまった、見せるのを忘れていた!!』     (遠山の金さん)


4)「てめえら、人間じゃねえ!、たたっ斬ってやる」と叫ぶ「破れ傘刀舟」。
でも、そこにいたのは悪人ではなく、紋付袴を身に着けた可愛い「イヌ・ネコ」たち。
「だめだ、できねえ」この動物たちの飼い主は「信じていたよ」
              (破れ傘刀舟悪人狩り


 以上は、ほりのぶゆきのマンガ「江戸むらさき特急」から、いくつか印象的な4コママンガを拾ってきました。(小学館ビッグコミック・スピリッツに掲載されていました)

手元に第一巻がありますが、コミック化されたのは、1993年ですから、かれこれ16
年前の作品です。


 この作品のユニークな点は、時代劇にどっぷり漬かっていたな、と感じられる反面、時代劇にたいするシニカルなスタンスも感じられる点です。


 一度どっぷり漬かっていたからこそ、またそんな自分を客観視できるからこそ、それら作品群には突っ込みどころが多いことに気付いたのでしょうね。ほりのぶゆきさん。


 時代劇を材料にして、これほど優れた作品が作れたこと自体を私は奇跡のように思います。このマンガを超える時代劇ギャグマンガはいまだに存在していません。


今日のひと言:マンガのテーマはなんでもいいですが、それを美味しく仕立てあげるかどうかが、漫画家の力量にゆだねられているのですね。



一日江戸人 (新潮文庫)

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江戸むらさき特急 1 (ビッグコミックススペシャル)

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