ギャラクシー銀座・・・長尾謙一郎の世界　 - 虚虚実実――ウルトラバイバル

　　　　　　　
　私は、ネットカフェの手土産として、ビッグコミック・スピリッツ(小学館)を貰ってきました。どれどれ、どんな作品が掲載されているか、なにげなく見ていたら、極上のマンガがありました。その作品は「ギャラクシー銀座」。なんだか「ギャラクシー＝銀河」のもじりのようです。銀河→銀座。うん、もじりだ。作者は長尾謙一郎。このペンネームは、上杉謙信（＝長尾影虎）をもじっているようです。上杉謙信→長尾謙信→長尾謙一郎。うん、これももじりだ。なんだか、もじりが多いですね。

　その作品は２００７年４９号に掲載されていました。粗筋を書くと
１）主人公「コニー」（デブでドブス）はファッション雑誌に載っている「エビちゃん（蛯原友里ちゃん）」の美しさに嫉妬する
２）夜中に自転車を駆り「森」に出かける
３）森にすむ魑魅魍魎（ちみもうりょう）に語りかける
４）突然「原発反対」「火事」の字幕が出る
５）意味もなくプードルが登場する（友人として）
６）そのプードルを離れたところから遠隔操作で（念力で）爆発させる
７）完（「愛ゆえに・・・」と編集部からの説明）

うーーん、読んでみないことにはその面白さは伝わらないかもしれません。何故「森」・何故「原発反対」何故「プードル」・・・すべては謎です。でも、このありえぬ展開にはわくわくしちゃいます。
いわゆる「不条理マンガ」の類型に入るのでしょうが、批評するのは難しいですねえ。作品ごとに舞台設定もかわります。
まあ、このマンガの場合は、「より美人になりたいという女性の思い」を代弁しているのでしょうね。最大公約数的な観点からすればね。

「不条理マンガ」の代表選手・中川いさみについては以下の過去ログに書いていますが
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20061105
中川いさみより批評するのが難しいマンガですね。ただ、これほど不条理なマンガが描けるということは、読み手にとってはいいでしょうが、作家のサイドでは、血のにじむような創作活動がなされていることでしょう。メンタル・ヘルスは大丈夫なのか、人ごとながら気になりますね。

Wikipediaによると、
長尾謙一郎（ながおけんいちろう、男性、1972年12月27日 - ）は、愛知県出身の漫画家。
大阪芸術大学芸術学部放送学科卒業。代表作に『ビバ！思春期』、『おしゃれ手帖』など。死語や下ネタを多用し、些細なことで一喜一憂し展開していくいわゆるばかばかしい作品が特徴。
そのような作風は漫☆画太郎と比較される。つげ義春作品のような哲学的な題材を扱うこともある。

今日のひと言：ギャグマンガわけても不条理マンガの作家の作者生命は短いものです。「太く短く」というのがギャグマンガ家たちの行きかたなのでしょう。「ギャラクシー銀座」の単行本が楽しみです。「おしゃれ手帖」（週刊ヤングサンデー連載）について言えば、初めは性に対して消極的な女子高校生が主役でしたが、途中から、この「ギャラクシー銀座」を彷彿させる作品になっていました。

過去ログで取り上げたマンガ、アニメ関係ブログ：