バカボンのパパの残酷さ
「天才バカボン」特集その1
以下は、私と「貝国のまち下田S級サザエ會 スタッフブログ」の會長さんとのコメントのやり取りです。
私:バカボンのパパは41歳?まあ、長男のバカボンが10歳くらいだとすると、年相応ですね。・・・バカボンのパパは、案外残酷だったというのをご存じですか?
會長:iireiさん、こんばんは。バカボンのパパが残酷?ですか、まったく知らないですね。
仏教用語系がちりばめられているような話は聞いたことがありますが、、、残酷さとはどんなことなのでしょうか?
私:パパのもとに、バカ田大学の後輩・町田君が訪ねてきます。町田君は、怒ると「発火」してしまう特異体質です。パパはいろいろな手を使って、町田君を発火させ、燃えつける際、町田君は「先輩さよなら」と別れを告げます。パパはこの「高価」なマッチでタバコを点けて「これでいいのだ」とうそぶく話が特に印象に残っています。(iirei注:町田とは、マッチのもじりですね。これは、今で言うライターのことです、念のため。)
會長:iireiさん、ありがとうございます。そうですか、そのような話があったんですか・・・。
パパのノー天気な天然キャラと「これでいいのだ」という妙な悟りとのギャップが、更に残酷さを助長しているような気がします。
http://d.hatena.ne.jp/s9sazae/20120305 より。
會長さんの最後の一句はバカボンのパパの残酷さを浮き彫りにしているようです。
ところで、このコントの元々の表現はどうだったかと言うと、(弟の蔵書・第17巻の記述によれば、↓のような表現でした。「ワハハハ 世界一 ぜいたくな 火でつけた タバコはうまいのだ!!」となっています。「これでいいのだ」という表現に似ていますが、ちょっと私の記憶違いだったようです。(もっとも、この「これでいいのだ」という表現が「ワハハハ・・・」に混じっていても違和感がないですね。
「マッチは火をつけるもの」という強固な信念に裏づけられて行動するバカボンのパパには、哲学的視点があるように思います。ないし魔王の所業とも思われます。なんにせよ常人ではない。その辺(なんでも「これでいいのだ」とする態度)を以ってバカボンのパパを天才と呼んだのは教育学者・明治大学教授の齋藤孝氏ですが、この点については私も同意します。(ただ、齋藤氏の「天才論」については、私はあまり同意できないですが。下ブログ参照。)
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20061028 齋藤孝の「天才論」に欠けているもの
当代随一のギャグ漫画家・中川いさみ氏は以下のエピソードを面白いとしていました。
バカボン:パパー、ネコを捕まえてきたよ!
パパ:じゃあ、今晩はすき焼きなのだ!!
本当にネコを食べるのか否かは不明ですが、この書き方では「本当にネコを食っちゃうのか」と驚く読者もいたのかも知れないですね。
中川いさみさんについては以下をご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20061105
今日のひと言:同期の漫画家でも、ギャグ漫画の第一人者は赤塚不二夫であろうとは思いますが、より売れたのは藤子不二雄(A,F両名)ですね。ギャグ漫画が「あまりに面白すぎる」と、案外売れないのですね。今回のマッチのお話も、残酷すぎてTVアニメにはならなかったようです。藤子不二雄のようにほんやり笑える作品のほうが一般受けするのですね。
瓜の縞模様に似ているから、イノシシの子供を「ウリボウ」と呼ぶようになったのですが、元祖のスイカに「ウリボウ」と名付けることは、ちょっと逆で笑えます。
(2012.06.10)

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