*「コエンザイムQ10」には本当に効果あるの?
コエンザイムQ10のコマーシャルをよく目にします。検索してみると、06年7月1日の情報ですが、グーグルで250万件、ヤフーで338万件のヒットがありました。それに「肌」という言葉を加えて検索してみると、グーグルで133万件、ヤフーで144万件のヒットでした。コエンザイムQ10の話題の半数は「肌」とセットになって語られていることが解ります。
コエンザイムQ10は、かつては「ビタミンQ」とも呼ばれていたそうですが、その言い方は正しくありません。ビタミンは、体の維持に必須ながら、自身の体では生合成されず、外部から摂取しなければならない物質ですが、コエンザイムQ10は、生合成できる物質だからです。
コエンザイムとは「補酵素」と訳し、光合成や呼吸の過程で「電子」の伝達を担う中間物質です。その意味でコエンザイムQ10は確かに「補酵素」です。
これから先の議論が重要ですが、生合成できるコエンザイムQ10は加齢とともに生成量が減ります。このときコエンザイムQ10をサプリメントとして補えば、肌の加齢が抑制される、というのが、コエンザイムQ10を売る側の主張です。さて、コエンザイムQ10が「加齢の結果として減る」のは事実であるとして、コエンザイムQ10を補えば「加齢が押えられる」と言うのは無理がある気がするのです。「逆は必ずしも真ならず」と思えます。
手元にある「コエンザイムQ10で元気アップ」(永田勝太郎:世界文化社)という本によれば、コエンザイムQ10の効能は1、美肌効果 2.ダイエット 3.冷え性・低血圧っを改善 4.自律神経失調症を軽減 5.疲労回復・スポーツ選手の体力向上 6.心機能を強化 7.老化防止 8.免疫力アップ 9.がん予防 10.足のむくみ解消 11.歯周病予防 12.高脂血症治療薬の副作用抑制 13.パーキンソン病改善
など、なんと13もの効用が列挙されています!!
このように万能であるかのように喧伝される商品には距離を置くのが賢明だと私は思います。こんな触れ込みのインチキ健康食品は、これまで掃いて捨てるほど登場しているのですからね。
ちなみに、Wikipediaで調べてみると、コエンザイムQ10の別名「ユビキノン」で解説があり、「1970年代から医療用医薬品として軽度及び中等度のうっ血性心不全などに用いれらてきた。」とあり、医薬品として認識されていたようです。そして加齢阻止を標榜した健康食品とか化粧品が氾濫していることについては「しかしながら、そのような薬効を臨床的に検討したデータはまだ乏しい。」と結ばれています。臨床実験を経ずに空想でコエンザイムQ10は効果が語られていると考えるのが事実だと思います。
今日のひと言:健康食品は、ウソがまかりとおる伏魔殿じゃあないだろうか。コエンザイムQ10にしても、コレステロール類似物質であり、オーバードーズ(過剰投与、過剰摂取)の恐れもあるのではないだろうか。心臓病治療薬としては1日30mgとして食品安全委員会によって承認されている(06.7月6日・朝日新聞の記事による)が、この許容量を超えて使用している人もいるのではないか。