髪の毛を溶かして流す〜危険な合成洗剤
最近、たまにテレビで放映されているCMが気に入りません。それはジョンソン株式会社が売り出している「パイプユニッシュ」です。下水管に詰まった髪の毛を溶かして分解させる商品だそうです。ジョンソンのHPに、以下のようにあります。
新しいパイプユニッシュは強粘度ジェルの威力で、髪の毛ヘドロを粘り強く溶かす!
(ファイル:MPEGデータ 2.5MB/15秒)
また、この商品のCMとしてアマゾンに掲示されている文言は
パイプユニッシュ濃密ジェル 1本(800mL) ジョンソン
新品: ¥ 3994 新品 ¥ 348より
18点在庫あり。ご注文はお早めに。
私が注意を喚起したいのは、そのように便利な合成洗剤が環境中に排出されたときのインパクトです。タンパク質である髪の毛を溶かしえるのは、強酸か強アルカリの洗剤でしょう。たとえば、このパイプユニッシュを含む廃水が魚に触れたとき、その鰓(えら)が溶かされて、呼吸ができずに魚は死ぬでしょう。
私たちは、目先の便利さを求め、その結果他者に及ぶ災難について鈍感なのだと思います。昨今は、福島第一原発の事故においては被害者ですが、こういった洗剤という身近な物質で他の生きものへの加害者であることを考え合わせなければならないでしょう。そして、洗剤の世界は、「百鬼夜行」のなんでもありの世界です。
以上の論理のもとになったのは、槌田劭(つちだ・たかし)氏の本「共生の時代:樹心社」の一くさりで、彼が合成洗剤についてのプロモーション映画を高校生の時代に見せられて考えたことです。それについてのブログが以下です。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070828 「沈むアヒル」
氏が言うには、水槽で泳いでいるアヒルがいて、その水槽に合成洗剤を入れると、洗剤の界面活性作用によって、羽に水が沁みこんでしまい、アヒルは溺れる・・・「どうだ、スゴイ作用を持つだろう、この商品は!」・・・と言った感じの映画だったのですが、槌田さんは「アヒルが可哀想だと思った」というのです。ここに2つの価値感が生まれたわけです。「便利なものが出来てよかった」という価値観と「アヒルがかわいそうだ」という価値観ですね。
槌田さんは、ここに2つの価値感があったとき、世の中が1つの価値感に流れることは危険だとの警告をしています。これは極めて本質的な洞察であり、世の中の人たち、なべて共有するべき卓見だと思います。
今日のひと言:なんて言いつつ、正直に言えば、私も「カビキラー」を使って浴室の掃除をすることがあります。ほんとは使わずにいたほうが、外部環境には迷惑をかけないのですが(てか、外部に出るときは酸化・還元反応がおわっているようにも思えます。)・・・比較的に、パイプユニッシュよりましか、という程度の違いですね。「洗う」という行為については、もう一度見直すときにきているのかも知れません。
合成洗剤 買わない主義使わない宣言―衝撃的データが示す危険性と恐怖 (危険警告Books)
- 作者: 坂下栄
- 出版社/メーカー: メタモル出版
- 発売日: 2002/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 槌田劭
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コンニャクを
縄文土器と
見間違い
コンニャクは、太い幹の上で葉を広げますが、これらはあくまで一枚の葉です。その燃えるような様子を縄文式土器の炎文様に例えました。
(2012.09.09)