真に謙虚な者は傷つくという傲慢さがない:キリスト教の言葉?
真に謙虚な者は傷つくという傲慢さがない:キリスト教の言葉?
これはある女性から伺った言葉ですが、一聴、意味が取りにくかったです。この女性はキリスト教の信者らしかったので(日系ブラジル人)、その線の言葉かと思いました。(すなわち聖書起源)
表題の言葉で言えば、「謙虚」と「傲慢」という相反する要素が綯い交ぜになっている人格を批判する言葉なのだと思います。本当に「謙虚」なら、何か人にしてあげて、相手がその意図に反する行為をしても、特に傷つかないはずですが、「傲慢」な要素が混じっていたら、大いに傷つく、と言った具合になるのだと、例の女性は言っていたのだと考えます。
考えるに、この言葉の核心は「傷つくという傲慢さがない」というあたりでしょう。この言葉に酷似している表現が、『老子』に出てきます:「仁や義を振りかざして」人を教化しようという態度が鼻につき、もし他人が聞かないようなら、振りかざす人の自尊心は大いに傷つき、その傲慢さが際立つ、といった主張です。(『老子』小川環樹:訳注:38章↓)
高い「徳」のある人は、何の行動もしないでしかも何事もなされないということはない。低い「徳」の人は何か行動しても、しかもなされないことがある。高い仁愛の人は行動をしても、動機があってするのではない。高い道義の人は行動するが、動機があってするのである。もっともよく礼儀に習熟した人は行動するが、これにこたえるものがないとき、袖をまくりあげて相手を引っぱろうとする。
『老子』の説では、徳>仁>義>礼というように、徳目の優劣があり、特に「礼」は最下等のものと見なされます。
これら「徳・仁・義・礼」の特質を一覧にしたのが以下の表です。
では実際にこの言葉は聖書に出てくるのでしょうか?検索してみると、マタイ伝、ルカ伝あたりに有りそうだったので、聖書を紐解いてみましたが、残念ながら行き着きませんでした。そこでクリスチャンであるブログ友(id:hatehei666)さんに出典の確認をお願いしました。速報・結論と2回に分けて回答を下さいました。それを引用してみようと思います。
まずお尋ねの「真に謙虚なものは傷つくという傲慢さがない」というフレーズですが、今のところマタイ、ルカ伝などの福音書になく、ほかも探していますが見つかりません。
明日似た言葉で再度検索をしてみます。(初日のメール)
いろいろ調べてみましたが、やはり見つかりませんでした。仰るとおり、聖書的な言葉ではあります。
私の教会にも似た人がいます。結構プライドが高いので、他人から何かひどい事を言われると、「傷ついた」という証をします。
でもそれは間違いで、真にイエス・キリストにつく人なら、何を言われようと自分はそのような者ですと、嗤って受け答えする事が出来るはずです。(2日目のメール)
hatehei666さん、さまざま調べて頂いて、ありがとうございます!
今日のひと言:聖書の専門家からみても、この話題の言葉は、聖書にはないということが結論になるようです。それにしても聖書的、あまりに聖書的なこの言葉、どこからきたのでしょうね。謎は深まります。その言葉を残した彼女はすぐ辞めたので、真意は訊けず仕舞でした。
ちなみに、聖書のマタイ伝と老子の類似点、その他をまとめたのが以下の過去ログです。
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今日の一品
@ターメリック(ウコン)の掘り上げ
立ち姿
葉を切ったあと
掘り上げたあと
ここ30年近く、毎年育てているターメリック。おおむね香りの良い葉をお酒として楽しむためホワイト・リカーに漬けてきましたが、今年は根を漬けてみます。
(2019.11.03)
@豚ソテー・ナツメグ風味
ハーブの世界では、豚肉にはセージが合う、と言われますが、セージは現在切らしているので、香りの傾向がよく似ていると、ナツメグにしてみました。美味しいですね。ちなみに、「ソーセージ」は、塩(ソー)とセージを調味料として豚肉を加工するので、こう呼ばれるようになりました。
(2019.11.04)
@カリフラワーのトマトとケチャップ煮(療養食)
弟作。適当な大きさに切ったカリフラワーを、トマトとケチャップで煮、塩を足しました。柔らかく出来上がっています。
(2019.11.06)
今日の三句
群菊の
三々五々に
咲き競う
(2019.11.02)
木々の間に
沈みかかるや
初冬の陽
(2019.11.02)
赤い旗
フェンスに括り
威嚇(いかく)する
(2019.11.07)
酸性雨とアルミニウム:ホントは怖いこの元素
酸性雨とアルミニウム:ホントは怖いこの元素
アルミニウムは原子番号13の金属元素、軽くて丈夫なので、チタン合金、ジュラルミン合金として、いろいろな工業製品に使われます。軍事利用も多いですね。この金属、発見・単離されたころは、「光輝く」と言った意味で、「光の金属:アルミニウム」と呼ばれました。(ルミエールが光と言った意味。)その手続きがなかなか難しかったので、金(ゴールド)よりも高かった一時期がありますが、大量に得られる方法(ホール・エルー法)が発明されたため、金属としての価格は暴落しました。
ところで、この金属元素は、地球にある元素では、酸素、鉄についで3番目に多いものです(→クラーク数)。多くは酸素と反応して酸化物として、地球の骨組みになります。大変安定した姿です。ところがこのアルミニウムがイオン化してAl3+(3価の陽イオン)になると、この元素は恐るべき姿を見せます。
ボーキサイト(アルミニウムの鉱石):wiki
以前取りざたされたことですが、3価のアルミニウムイオンは、認知症の一つ・アルツハイマー病の原因物質になるという説です。アルミ製の鍋を使うことから引き起こされるというのでした。現在では否定されていると言うか、劣勢です。私は、というと、この説についてどこか賛成する気分があるのです。私の父はアルミニウム2次精錬の会社(アルミ缶・アルミサッシの廃棄物などを集めて溶かし、再び地金にする会社)の工場長で、仕事上、たしかにアルミニウムに曝露された頻度・深度は大きいように思えるのです。むろん、父はアルツハイマー病が命取りになりました。
それで、問題は酸性雨とアルミニウムと植物(の根)。酸性雨は窒素酸化物(硝酸前駆体)、硫黄酸化物(硫酸前駆体)として葉などにダメージを与えますが、その強酸が大地に落ちて、アルミニウムが土壌からイオン化して遊離すると、今度は根に悪影響を与えるのです。
そのメカニズムは完全には解明されていませんが、どうやら根にとって大切なカルシウムの働きを、直接的でないながら、アルミニウムイオンが阻害することがあるようです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/37/3/37_3_186/_pdf/-char/ja
それにしても、酸性雨で思い出されるのは、日本の公害の原点:足尾鉱毒事件です。銅の精錬をするために発生した強酸性のガスを、なんの処理もせずに、環境に飛び散らかした末、足尾山地の豊かな森林を枯らし、爾後100年以上経っても、森林は生えませんでしたね。いや、不屈の努力で植林する人も多いとは思いますが、多分土壌でさえ強烈なダメージを受け、土壌から正常なpH域にもどさないと完全な回復は望めないでしょう。
ところで、3価のアルミニウムは、身近なところにあります。ひとつは明礬、もう一つは硫酸バンドです。
明礬について、wikiから
ミョウバン(明礬、英: Alum)とは、1価の陽イオンの硫酸塩 と3価の金属イオンの硫酸塩 の複塩の総称である。
(中略)
単にミョウバンといった場合、硫酸カリウムアルミニウム十二水和物 を示すことが多いが、このほかにも鉄ミョウバン、アンモニウム鉄ミョウバンなどがあり、混同を避けるためにしばしばカリミョウバンまたはカリウムミョウバンと呼ばれる。特に、カリミョウバンの無水物を焼きミョウバンといい、食品添加物として乾物屋などで販売している。
硫酸バンド(硫酸アルミニウム)について(wiki)
硫酸アルミニウム(りゅうさんアルミニウム、Aluminum sulfate)はアルミニウムの硫酸塩で、化学式 Al2(SO4)3•16H2O で表される無機化合物。
(中略)
水の浄化剤(凝集剤)、食品添加物、皮なめし剤、媒染剤、レーキ顔料の製造、製紙用の定着剤(歩留向上剤)やピッチコントロール剤、医薬(収斂剤)などに広く用いられているほか、化学泡消火器、コンクリートの硬化促進剤や殺ナメクジ剤などにも使用される。
製紙用薬品として重要であるが、硫酸アルミニウムを使用した紙には硫酸根が残り、これによって紙の酸性度が高まるため酸性紙と呼ばれ、数十年で劣化しやすく、長期保存上の問題が生じることがあるほか、塗工紙をリサイクルして原料とした場合、表面に塗工されている炭酸カルシウムと反応して硫酸カルシウムが生じ、装置にスケールと呼ばれる石膏状の付着物を生じさせる問題もある。
明礬はナスの漬物に鮮やかなムラサキ色を残させる食品添加物であり、硫酸バンドは、浄水場での水処理過程で、原水に含まれる懸濁物を沈殿させるために使用されます。いずれの物質も、3価のアルミニウムを含む点、私は気になるのですが――(私だけかな?)
今日のひと言:日本の通貨の最小額面の通貨は、言わずと知れた1円玉、材料はアルミニウムで、ほかの硬貨にはアルミニウムは使われていません。この1円玉、描いてあるのは「招魂の木:うがたまのき」で、これは先の戦争で亡くなった人たちの霊魂を呼び寄せ、鎮魂すると言った意味があるようです。通貨の発行者は、なにも考えずに発行するというタワケではないようです。
ちなみに、私と弟の代から無宗教にしましたが、とりあえず亡くなった父のため、神道風の贈り名を考えました。「光兼の命:ひかりかねのみこと」、アルミニウム工場に人生を賭けた父へのオマージュとして、この「光る金属:アルミニウム」を意味する贈り名を捧げました。ついでに、私と弟は、贈り名さえ要らず、大学病院の「献体」に「むくろ」(死体)を提供することになっています。
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今日の一品
@チリメンジャコの大根おろし
定番料理。チリメンジャコのたんぱく質、大根の消化酵素(ジアスターゼ)を同時に摂れる料理。弟の療養食としても最適です。
(2019.10.27)
@エゴマ穂乗せ豆腐
シソの穂(穂ジソ)とおなじようにエゴマの穂を取ってきて、とうふに乗せ、醤油。
その簡単さには感嘆します。
(2019,10.28)
@焼きうどん
昼食。シイタケ(冬菇)、キャベツ、豚肉細切れ(少々)を炒め、うどんも加え、炒めて、仕上げに中濃ソース、ゆず、七味唐辛子。簡単で美味しく、腹がくちくなります。
(2019.11.01)
今日の四句
パンケーキ
焼く香りあり
平和知る
(2019.10.27)
いつの間に
赤くなりしか
ピラカンサ
(2019.10.27)
既に早
花の準備か
ヒガンバナ
花後、いちはやく生えてくる葉っぱたち。
(2019.10.27)
針のごと
天を衝くなり
マッソニア
この植物(マッソニア・ロンギペス)はヒガンバナ科の草ですが、葉っぱが2枚だけの植物です。かれこれ20数年栽培しています。
(2019.10.29)