環境問題研究家、詩人、エッセイストの森下礼が1999年に出版した災害・戦争エッセイ集。1000円(消費税込み)、500部発行。現在は絶版だがもったいない本舗による査定では30000円程度の値をつけている。
内容は、老子、易経、陰陽五行論などの中国哲学を独自に解釈して、災害、戦争などを考察している。
以下は、陰陽五行論についての独創的な解釈。
言葉の素朴な意味として、「行」は「行動する」ということであり、「元素」という意味ではないことに注意してください。五行とは、「働き、機能」のことであり、元素や素粒子のような「粒子」のことではないのです。(*1)もしそうなら、五行ではなく、「五物」でも良いはずです。例えば「鉄」は金の1つです。古来からの有力な武器であり、「人を切って傷つけます」。ところで、原水爆の落とし子、「プルトニウム」。これは猛毒で、わずかでも吸い込めば肺ガンになります。現象は異なっても、「人を傷つける、攻撃する」点では鉄と同様です。
これらの「働き」を「金」と呼ぶわけで、五行論は世の現象の間に、相似性を見出す理論なのです。どんな現象も、五行の要素に分類され、その過不足によって災害が起こります。そして、木は甲(陽)、乙(陰)、火は丙(陽)、丁(陰)という具合に、2×5=10通りに分けられます(十干:じゅっかん)。これで陰陽五行です。