表題の作品集は、中国の行く末を憂いた魯迅(ろじん)が、中国人への警鐘を鳴らす意味で、作家自身と作品が見事に呼応したものです。
中国文明の素晴らしさを十分知った上で、その文明を貶めることを書くのです。
収録されている作品は、老子出関の逸話の「妥当な新解釈」のお話、原始女神・「女媧(じょか)」の天の補修のお話、伯夷・叔斉のワラビを食べるお話の裏話、などなど、全8話、ヴァラエティに富んでいて、読んでいて飽きません。
老子の話の場合、老子は軽薄に(?)描かれており、関所を抜けて西国に行ったという逸話自体が茶化されます。関守は、老子が去ったあと「なに、また舞い戻ってくるさ」と断言し、さきほど老子が書き残した本を「無造作」に机の上に置くのです。ここには、伝説にあるような、関守(尹喜:いんき)が老子に「国をお出になるのなら、本を書き残してください」と懇願した話は、どう読んでも出てきません。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20180308#1520450702
これらのお話のなかでも興味深いのは、堯・舜・禹(三帝)のひとり禹(う)王が、必死に治水の事業をしていた際に、中央政府に繋がる学者・役人たちが禹とはなにか、漢字の世界の出来事としてしか見られず、禹とは虫のことだったかなどと無意味な議論をしていて、なにもしない有様が描かれます。そのうち、泥まみれの禹たちが帰還し、彼ら中央のものどもを軽蔑しあざ笑う・・・こんな話でした。
魯迅がこの話を書いた内的動機としては、当時、科挙という役人発掘制度が無意味になり、漢字のことしかよく解らぬ科挙受験生のなれの果てが、子供たちに、いまや無意味になった漢字の講釈を垂れるという情けない実情を目にした魯迅が「憤り」(だれに対してかは解らぬながら)を原稿用紙に書きつづった有様が目のあたりに見えるようです。禹の説話の場合、主人公を茶化さずに有り得た蓋然性の高い禹の姿を書ききり、むしろ漢字に縛られ、無能集団と化した学者や役人を槍玉に挙げることによって、中国文明の批判にしたのでしょう。
かれこれ30年前くらいに出版された集英社版「中国の思想」といった意欲的な叢書のひとつに魯迅もとりあげられていて、副題で「花のため腐草となる」とついていました。
・・・「この題(コピー)を考えたひとは頭がいいな、」と思ったものです。まさに魯迅の生き方を綴って余りあるものです。
今日のひと言:今となっては笑い話なのですが、ある学生、新聞社の入社試験で「Rodin」について説明せよ、と問われ、フランスの彫刻家:ロダンのことなのですが(フランス語では「母音+n」をだいたい「アン」と読みます。)これを「ろ・じ・ん」と読んでしまい、魯迅の説明を書いてしまったのです。この学生が採用になったか否かは聞いていません。(三浦一郎さんの「世界史こぼれ話」より。)
魯迅は、この作品集、最初の作品から10数年かけてまとめた『故事新編』を1935年に書き上げています。正に中国と日本が戦争状態になっていた頃、魯迅は、「これではダメだと」中国人のかたくなな中華思想の元となった中国文明を破壊するような作品を書いていたのです。
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今日の一品
@モーカのムニエル風味噌だれ和え
弟作。モーカはサメの肉。塩を振って片栗粉をまぶしたモーカをオリーブオイルで炒め、別に味噌、砂糖、クラッシュ・クルミをレンジで加熱して、最後にたれを掛けました。
(2018.09.05)
@鶏モモ肉のレモン・ペッパー焼き
弟作。S&Bの製品、レモン・ペッパーを掛けて180度12分、オーブントースターで焼きました。
(2018.09.05)
@金時草の酢・醤油和え
ことしも栽培した金時草(きんじそう)。初の収穫です。この野菜は奄美大島あたりが原産で、金沢で愛好されます(キク科)。酢と和えると抜群の風味を発揮します。特に、我が家では「梅サワー漬け」(梅:酢:砂糖=1:1:1で漬けた調味料)を使います。
(2018.09.05)
@ガンモドキのシソはさみ焼き
これまでもガンモドキを切って(完全には切り離さずに)ハーブ類を挟んで焼いたことがありますが、今回はガンモ一個につきシソの葉一枚をはさんでみました。レンジでチン。焼けてしばらくすると、香りが弱くなったのが残念。
(2018.09.06)
@水菜のシーチキン和え
弟作。これまで、春菊、ホウレンソウでこの料理を作りましたが、水菜の場合、独特の「爽やかさ」が生きて、なかなか良いです。(もっとも美味だったのは、春菊でした。)なお、この種の料理で使う野菜は、茹でてから使います。
(2018.09.07)
今日の四句
サトイモに
土寄せしたる
重さかな
この重さがサトイモを大きくするのでしょう。
(2018.09.06)
台風の
ローズマリーを
薙ぎ倒し
台風21号、恐るべき威力でした。
(2018.09.06)
某所を自転車で走っていたとき、ふっと香りが漂って。
(2018.09.07)
ああ正に
写真撮れない
虫の声
真夜中、秋の虫の声がしとやかに耳に入ってきます。
(2018.09.08)