虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

凄い家族の持ち主たち:湯川秀樹からバッハまで(山脈と独立峰)

物理学者の湯川秀樹という人は、中間子理論によって、ノーベル物理学賞を受賞したので有名ですが、漢学者の家に生まれた彼には、家族に優れた学者が多く、以下のような家族がいます:

兄:芳樹(冶金学者・東大教授)、貝塚茂樹東洋史学者・京大名誉教授、文化勲章受章)
弟:環樹(中国文学者・京大名誉教授)、滋樹(ますき・第二次世界大戦で戦病死)

wikipedia

特に小川環樹氏は、『老子』(中公文庫)の訳注者として優れた業績を残しています。

海外に目を転じると、超有名な家族がいます。(wikipedia)ダニエル・ベルヌーイを巡って:

スイス・バーゼル出身の数学者・物理学者である父のヨハン・ベルヌーイが、オランダ・フローニンゲン大学在任中に、同地で生まれた。


3人兄弟の2番目で、兄ニコラウス2世、弟ヨハン2世も後、数学者・物理学者となった。ダニエルが5歳のとき、バーゼル大学にいた伯父の数学者ヤコブ・ベルヌーイが死去し、父ヨハンがその後任となり、家族でバーゼルへ帰って来た。


ダニエルはベルヌーイ家の中では最も才能があり有望であった。そのためか彼と父との関係には緊張が絶えなかった。ヨハンは当初ダニエルを実業家にしようとしたが、ダニエルは数学・物理学に強い関心を持ち、13歳でバーゼル大学へ入り、15歳で学士試験に受かり、16歳で修士号を取得した。


しかし、ヨハンの反対で数学へ進むことができず、ハイデルベルクシュトラスブルクバーゼルで医学を学んで、1721年に、エネルギー保存則を応用した呼吸のメカニズムについて博士論文をまとめた。


父ヨハンは、ダニエルの才能に嫉妬していたのでしょうね。


楽家のJ.S.バッハも、優れた家族を産み出したことで有名です。(wikipedia

バッハは生涯に2度結婚し、十一男九女の20人の子供をもうけたが、10人は夭逝し、成長したのは男子六人と女子四人の10人に過ぎなかった。


最初の結婚は1707年にヴァイマルでマリア・バルバラと結婚したもので、1720年にマリア・バルバラが死去するまでの間にカタリーナ・ドロテーア、ヴィルヘルム・フリーデマン、マリーア・ゾフィア、ヨハン・クリストフ、カール・フィリップ・エマヌエル、ヨハン・ゴッドフリート・ハインリヒ、レオポルトアウグストゥスの五男二女をもうけた。このうちマリーア・ゾフィア、ヨハン・クリストフ、レオポルトアウグストゥスの3人は夭逝したものの、長男のヴィルヘルム・フリーデマン (Wilhelm Friedemann、1710 - 1784、通称「ハレのバッハ」)と次男のカール・フィリップ・エマヌエル (Carl Philipp Emanuel または C.P.E.、1714 - 1788、通称「ベルリンのバッハ」、「ハンブルクのバッハ」) は音楽家として大成した。


J.S.バッハは生前、このなかの子供たちのほうが評価の高かった時代もあり、現代になって再評価されたみたいです。


日本では、ダダイスト吉行エイスケの子供たち、吉行淳之介(小説家)、吉行和子(女優)、吉行理恵(詩人)の3兄弟が有名なところでしょうか。



今日のひと言:素晴らしい家族・係累を持たなかった天才たちもいます。ゲーテやベートーベンは、家族がろくでなし、箸にも棒にもかからない人ばかりだったようで、喩えれば、大きな果実を実らせるために、他の果実は摘果するような仕儀になっていたと、某書で読みました。(どの本だったかは思い出せません。)ベルヌーイ一家が山脈ならば、ゲーテたちは独立峰です。



古代中国 (講談社学術文庫)

古代中国 (講談社学術文庫)

目に見えないもの (講談社学術文庫)

目に見えないもの (講談社学術文庫)

湯川秀樹 詩と科学 (STANDARD BOOKS)

湯川秀樹 詩と科学 (STANDARD BOOKS)

ベルヌーイ家の遺した数学 (MATH +)

ベルヌーイ家の遺した数学 (MATH +)

ゲーテ格言集 (新潮文庫)

ゲーテ格言集 (新潮文庫)





今日の一品


@マイワシのマリネ



弟作。マイワシの開きをオリーブオイルで炒め、自家製マリネ液に3時間ほど漬けました。酢は千両役者です。

 (2017.11.08)



シルクスイートの焼き芋



弟作。新品種のサツマイモ、シルクスイートを焼き芋機能付きのパン焼き機(MK社製)で焼いてみました。肉の柔らかさがシルク(絹)のようにこまやかで、感動しました。安納芋にも負けない。

 (2017.11.09)



@ハンペン・チーズ乗せ・オイスターソース



弟作。ハンペンを裏表フライパンで焼き、オイスターソースを一面に塗り、チーズを乗せ、少々フライパン。最後に擂りエゴマを振り完成。

 (2017.11.10)



@間引きチャービル味噌汁





チャービルはフランス料理に使われる繊細な香りのハーブ。間引き菜を刻んで味噌汁に入れました。仄かに香る優しくて力強い芳香。

 (2017.11.11)



@キクラゲのポン酢・ワサビ掛け



キクラゲは美味なキノコですが、原産地の中国で、色よく見せるため、塗料を塗ることもあると聞き、冷凍庫に寝かせていたのですが、在庫整理のため料理してみました。吸水させてふやかした後、茹で、冷やしてポン酢・チューブワサビで和えました。美味しいのです。

 (2017.11.12)





今日の詩


@タエコ、老いたり


若い頃、我が家のタエコは
機敏な犬だった。
人間に直せば今85歳。
ここ半年で老いが目立つようになった


まず、排便は散歩先でするのが常だったが
最近は家の庭、
はなはだしくは小屋の中で
用を足すようになった。


また、散歩自体キツイので、
散歩距離も減るほど足腰が弱い。
前に行くことしか頭にないので
引き返せない。


そうしてブロックに頭を挟んで
身動き取れず、弱弱しい声で助けを求める。
夜中に救急車両が来た時も雄叫びを上げない。
タエコは認知症になっている。

 (2017.11.11)





今日の二句


気品ある
媼が二人
語る道



八瀬川沿いに朝の散歩を楽しむ二人の媼(おうな)=年配の女性。

 (2017.11.10)





菓子のごと
美味そうに咲く
サザンカ


和菓子ですね。

 (2017.11.13)