まず、こんなお話から
御手打?
ある日伊達政宗は家宝の名器、天目茶碗をあやうく取り落としてハッと冷汗をかいた。ところが彼は取りとめた茶碗をしばらく眺めていたが、やがてわざわざ庭石にほうりつけて「たかが小茶碗のくせに、わしの心臓をどきつかせるとは生意気!」
『世界史こぼれ話(1)』三浦一郎(角川文庫) 84P
本来審美的に見なくても問題ないカワラケのようなものが陶芸の産物に過ぎないと思います。伊達政宗もそれに気づいたのでしょう。焼き物は焼き物、それ以上でも以下でもないでしょう。次に私の過去ログ2本。
以前、南方熊楠の民俗学の本を読んでいたら、ある老農夫からの聞き取りとして、
「陶芸は不吉だ。土を減らすから。」という短い1文があったのが、とても印象に
残っています。そう、陶芸という技術は農業の敵と言ってもいいのです。廃棄した「か
けら」も、なかなか土には返りません。数万年はかかるでしょうね。その辺は、理屈
上、全て土に返る紙漉きとは事情が違います。それなのに、自分の名を汚したくないという理由で、作品を壊して「捨てる」陶芸家のイメージは、むしろ定着しているのでは?
だから、「陶芸家」を気取る連中も気にいりません。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051218 陶芸を過大評価するなあ!
@水はよごれる、
土はなくなる。
案外軽視される土(土壌)は、水よりも希少です。ちょっと試算してみました。理科年表(1993年版)で、陸地と海洋の面積比は1:2.42。また海洋の平均水深は
3795m。陸地の1/3が農地ないし林地とし、その深さを1.5mとします。そうすると土壌の量(体積)は
1*(1/3)*1.5=0.5(単位)
海洋水の量(体積)は
2.42*3795=9184(単位)
圧倒的な差があります。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070124#1169585730 人間活動は土を減らす
人間は大地、土の上でしか生きていけません。その貴重な土を取ってきて、火にくべるという営為は、人類にとって危険な事だと思うのです。
今日のひと言:私が以前訪れた細川紙の伝承者のかた、それまで伸ばしていたヒゲを剃っておじゃましたところ、「(陶芸とはちがって)紙漉きにはヒゲを延ばす奴はいないな」と言われました。陶芸家は「我が儘」の世界で遊ぶ特権階級の人達なのかも。以前私が暮らしていた山里の人が、廃校となった小学校に住んで焼き物をやっていた人を称して「皿屋:さらや」と呼んでいましたが、確かに陶芸家という呼び名より的確でしょうね。
関連過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090106#1231221041
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今日の一品
@イベリコ豚オリーブ・味噌漬(滝沢ハム)
弟作。新製品。豚肉はもともと味噌漬が合う食肉ですが、オリーブオイルも加味されていて美味でした。
(2017.11.27)
@セロリとエノキダケの炒め物
弟作。セロリの強烈な風味が鼻腔をくすぐります。プラス鉄分豊富なエノキダケ。
(2017.11.27)
@残り油を使った焼うどん
昼食。前日の豚料理でフライパンに残った油を使い、焼うどんにしました。廃物利用。案外美味しいです。
(2017.11.28)
@冬フキ
庭に冬のさなかに出て来たフキ。小ぶりで細いですが、料理すると、春先と同じ味が楽しめます。葉を切り落とし、茎の皮を剥き、草木灰で茹でて一晩このまま晒して、翌朝洗って調理しました。
(2017.12.01)
今日の雑感:最近話題の『漫画 君たちはどう生きるか』。wikiによると
児童文学者であり雑誌「世界」の編集長も務めた吉野源三郎の小説。
当初、『日本少国民文庫』の最終刊として編纂者山本有三みずから執筆する予定であったが、病身のため代わって吉野が筆をとることになったとされる。1937年に新潮社から出版され、戦後になって語彙を平易にするなどの変更が加えられてポプラ社や岩波書店から出版された。
児童文学の形をとった教養教育の古典としても知られる。
2017年には羽賀翔一により漫画化され、『漫画 君たちはどう生きるか』のタイトルでマガジンハウスから出版されている。宮崎駿が久しぶりの新作アニメに使用すると発言し話題になった。
もともとこの小説作品は、児童対象に書かれたもので、最近その漫画版が思春期を過ぎた(と思われる)若者に受けいれられているとか。でも、冷静に考えてみると、むかしの児童は活字の小説を読んで足りていたのが、現在の若者は漫画というメディアで感動しています。いかにも現在の若者が活字のリテラシー(おおむね読書能力のこと)が低いかが垣間見えます。絶対むかしの人のほうが知的レベルは高かったのではないでしょうか?
(2017.11.27)
今日の詩
@ビオラ
職場の前
道路沿いの花壇のビオラ。
北風に震える姿が
寒そうだ。
私が植えることを
任されたことから
この花々に
目を掛けている
開いた花ありツボミあり
見るたびごとに
愛着が湧く
――可愛い!
(2017.11.29)
今日の一句
犬を連れ
朝霧の中
警笛が
電車も、朝霧で警笛を鳴らす必要があったのでしょう。
(2017.11.29)