虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

キヌアとアマランサス〜スーパー穀物と呼ばれて

この2つの作物は、ここ数年、栄養価が高いと評判で、ネット上での言及も多くなっています。実は10数年前、私はこれらを栽培したことがあります。どっちも難しかったですね。キヌアは標高3000mの高地で栽培されるものであり、海抜数十メートルでは無理で、アマランサスは種が小さいくせに、2m程度のノッポになり、風ですぐ倒れてしまい、収穫出来ませんでした。


  キヌア(wiki)

  アマランサス(wiki)


この二大スーパー穀物、キヌアがアカザ科、アマランサスはヒユ科で、全く別の植物かと思っていましたが、最近の植物学の研究の結果、アカザ科ヒユ科に包含され、同類の植物とされたようです。旧来のアカザ科は(ヒユ科)アカザ亜科とされます。(wiki:キヌアより)だから、この2つも同類の植物なのですね。


ここで、キヌア、アマランサス、白米の持つ栄養成分の表を作成しましたので、掲載してみます。ここに白米は、自明なこととは言え、玄米から栄養成分を取り去った残滓ですから、栄養価は落ちます。だからか、ここで取り上げたほぼ全項目で、白米がキヌア、アマランサスを凌ぐ項目はなく、高いレベルでキヌア、アマランサスが競っています。両者の栄養価は拮抗し、せいぜいが有効数字の違いではないか、と思われます。



以下キヌアとアマランサスについての、wikiの記述から。

キヌアは、その他の雑穀同様に栄養価が高く、キヌアと近縁のアマランサスはエンバクハトムギライ麦同様にタンパク質を13-14%と多く含む。キヌアとアマランサスは他の雑穀に比べマグネシウム、リン、鉄分など無機質(ミネラル)やビタミンB類を多く含む。特に葉酸は緑黄色野菜に匹敵する量を含んでいる。ただしキヌアや雑穀が高栄養価であるとの評価は主穀であるトウモロコシや米、小麦と比較しての事であり、キヌアを含む雑穀は、豆類ほど栄養価は高くない。
近年ヨーロッパや日本などで健康食品として注目されてきている。
1990年代にはアメリカ航空宇宙局が理想的な宇宙食の素材の一つとして評価し、「21世紀の主要食」と述べている。
タンパク質の含有率が他の穀物と較べて多く、その構成は牛乳と似ている。グルテンを含まないため、小麦アレルギーのような対グリアジンアレルギーを持つ人でも摂取できる。

(ここまでキヌア。)

古代南米のインカ文明などでは、種子を穀物として食用にしてきた。これはトウモロコシや豆類に匹敵する重要作物であった。19世紀に入るとインドなどでも大規模に栽培されるようになった。日本へは江戸時代に、主に観賞用として伝来した。東北地方では小規模ながら、アカアワなどの名前で食用にも栽培されていた。
(ここまでアマランサス。)



今日のひと言:私は以前、拙著『野草を食べる・滋味(JIMI)!!』のなかで、穀物の大きさと栄養価について考察したことがあります(↓)が、その結論でも、小粒の穀物のほうが栄養価が高い、という結論に到達しています。小さな穀物を食べましょう!!


耳よりコーナー   穀物の大きさと栄養成分の関係のモデル考察

  ここでやるのはモデル考察ですから、相当な単純化をします。穀物の形はラグビーボール状のことが多いですが、これを球とみなします。計算が簡単だからです。このように、自然を単純化して考察することには、おおむね現象の正確な再現ができるというメリットがあるのです。
       まず、イネを直径5mmの球形とし、いわゆるヌカの層(栄養分が一杯詰まっている箇所)の厚さを0.2mmとします。もっと小さな穀物(例えばアワ)は直径2mm、ヌカの層の厚さはイネと同じく0.2mmとします。(この想定も、モデル考察です。)そうするとヌカ部分の体積は、(全体の体積)−(ヌカ部分を除いた部分の体積)になります。数学の球の体積を求める公式(V=4/3*π*r^3)に当てはめて計算すると、イネ一粒のヌカの量:アワ一粒のヌカの量=14.4:2.17となります。そして、イネ一粒の体積:アワ一粒の体積=125:8なので、同じ体積になるのは、イネ一粒に対し、アワ125割る8=15.6粒になります。だから同じ量を食べた場合、イネは14.4単位 アワは2.17*15.6=33.9単位(割合)だけヌカが摂れます。玄米であったとしても、アワはイネのほぼ2倍強のヌカを摂れるのです。因みに1mmの穀物についても同様に計算すると61.3単位となります。この結果から、粒が小さい穀物ほど栄養が効率的に摂れると思われます。もちろん、粒の間の隙間は無視して計算していますけど、隙間も粒の大きさの3乗に比例しますから、結果は同じになります。
       この考察の場合、ヌカの層の厚さは同じとしていますから、ヌカの層の体積は、ほぼ半径の2乗に比例します。そして一粒の体積は半径の3乗に比例して、同じ量の体積を計算する際は粒の小さいほうがその割合で粒の数が多いのですから、栄養成分の比率は2乗割る3乗でマイナス1乗、すなわち粒の大きさにおおむね反比例すると言えるのです。

       同じ量を摂った場合、粒の小さい穀物のほうが栄養成分が多いという結論になりますね。アワの原種のエノコログサは、とんでもなく栄養豊富であることになります。

      大体、中学の数学で理解可能ですが、いかがですか?食の考察に数学が使えるのは面白いと思います。なお、キヌアやアマランサスのような双子葉植物には適用できないかも。



おいしい!キヌアレシピ―アンデスのスーパーフード

おいしい!キヌアレシピ―アンデスのスーパーフード

アマランサスの栄養学

アマランサスの栄養学




今日の一品


@人参葉の料理2種



左:人参葉オイル  右:人参葉のフリカケ



人参の葉は、特にβカロテンが根の1.5倍と多く、栄養価的にも優れていて、積極的に料理するのが良いようです。人参葉オイルは、東南アジアで作られる「ニンニクオイル」とか「ネギオイル」にヒントを得て、人参葉をオリーブオイルで炒めて、栄養と香りを移し、次の料理に使うようにしました。フリカケはhttps://www.sirogohan.com/recipe/ninjin/ を参考に作りました。葉の香気がストレートに感じられるフリカケでした。オイルのほうは卵焼きに使ったのですが、香味はさほど感じられませんでした。

 (2017.11.21)



@アボカドのバジルソース掛け



弟作。単純にアボカドに掛ける調味料を考え、バジルソースにしたのですが、案外美味しかったです。

 (2017.11.22)



@鮭頭の圧力鍋煮



弟作。鮭の頭の骨は圧力鍋で(蒸気が定圧になって)7、8分煮ると、食べられるようになります。頭全体を食べるわけです。山椒の粉が似合います。

 (2017.11.23)



ごぼうサラダ



ササガキにしたごぼうを30分くらい水に晒し、火にかけ、柔らかくなったところを降ろして水冷。
それをマヨネーズ、ピザソース、バジルソース、塩で味付けました。単純にマヨネーズを掛けるより味が複雑です。

 (2017.11.24)



@鯛の潮汁(タイのうしおじる)



鯛の頭を使って、塩味の潮汁を作りました。鯛の頭を水から煮て、マイタケを投入、最後に天塩を加え火から降ろし、ネギ、柚子をあらかじめ用意したお椀に注ぎました。流石は魚の王、美味でした。

 (2017.11.25)





今日の二句


降り渡り
白化粧なる
霜サクラ



芝桜に霜が降りて化粧をしているようでした。

 (2017.11.22)




荒らしたり
スズメ群れなし
若葉食む


朝見るとプランターに蒔いていたセリフォンの若葉が酷い状態になっていました。そこで犯人はヨトウムシかと思い、夜中に見たのですが、どうも違う。そこでスズメの悪戯と思い当たりました。

 (2017.11・23)