虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

糖質制限ダイエットの可否:まさかでしょ?桐山さん!

ここ2、3年、新聞広告に「糖分を摂らないで健康体に!」のような書籍の情報があふれるように存在することが目についていました。糖質は自然からの、人間に対する最大の贈り物なのだから、随分非科学的な運動だな、と思っていました。


ところで、2016.02.15のハフポスト日本版において、以下のような訃報記事が踊っていました。

桐山さんは、1954年愛知県名古屋市生まれ。学習院大学法学部卒業後、雑誌記者を経てフリーランスに。『ホテル戦争』などの著作で知られる。2010年に糖尿病と診断されたことをきっかけに「糖質制限食」を実践し20キロ超におよぶ減量に成功。その体験を著作などで発表し、「糖質制限の伝道師」として知られていた。

確かにそのニックネームに間違いなく、殉教なさったのですね。フルネームでは桐山秀樹さんとおっしゃいました。ちなみにこのメソッドを提唱しているのは高雄病院(京都市)の江部康二理事長です。


それで、「糖質制限ダイエット」についていろいろ検索を掛けてみました。案外良かったのが以下のブログです。

http://yuchrszk.blogspot.jp/2016/02/blog-post_17.html

:「糖質は必須栄養素じゃないから必要ない!」の嘘(パレオな男)



このブログに書かれていることが非常に参考になります。3点ばかり挙げると、1)糖質は脂肪とかたんぱく質が「必須脂肪酸」とか「必須アミノ酸」などと言われるように「必須糖質」というのがないし、「脂肪酸とかアミノ酸から生合成されるので摂取する必要がない」、という糖質制限ダイエットの主張に疑問符を投げかけています。


2)また以上に述べたように、糖質が脂肪酸とかアミノ酸から生合成されるから、一段劣った栄養素であるという見方は皮相的だとも。それほど体にとって重要だから、他の2つを分解して糖質を作り出す、というのですね。


3)また、このような食生活を無理に続けると、コルチゾールとか甲状腺ホルモンなどの内分泌系の乱れを招く、としています。3大栄養素はそれぞれ対等なものであることを戒めにしないといけないようです。



なお、糖質がないと、体内で生合成されるいくつかのアミノ酸が、作れなくなるという事実もあるようです。Wikiによれば「タンパク質生合成」

アミノ酸は、分子量100強程度の低分子であり、重合することによってタンパク質を形成する。生物はアミノ酸自身を合成するための代謝経路を持ち、一連の生化学的プロセスにおいて、グルコースアンモニアといった単純な化合物からアミノ酸を合成する。 但し、全ての生物が全てのアミノ酸を合成できるわけではなく、例えばヒトでは9種類程度の必須アミノ酸が知られている。



そんなわけで、今回桐山さんの著作「知的おやじダイエット3週間実践日誌」(講談社:2012年初版)を借りてみました。記述によると、食事から糖質を排除した食事を始めたら、1日で1kg減量でき、3週間で20kgの減量!!・・・スゴイ成果です。また、各種メタボ指標:血糖値・HbA1Cγ-GTP中性脂肪・総コレステロールHDLコレステロール・LDLコレステロールなどが改善されたとしています。そうした成果から、この本は、驚きの実践記録満載ですが、気になる記述がありました。それは「ブドウ糖=グリコーゲン系」という正規のエネルギー放出回路を止め、「脂肪酸=ケトン体系」という「傍流の」エネルギー放出回路を使うという変則的な回路選択をしている点でした。


そのケトン体についてwikiより


ケトン体(ケトンたい、英: Ketone bodies)とは、アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)、アセトンの総称。脂肪酸ならびにアミノ酸の不完全代謝産物である。


一般に、解糖系やβ酸化で生産されたアセチルCoAは速やかにクエン酸回路により消費される。しかし、肝臓において過剰のアセチルCoAが産生されると、肝臓のミトコンドリア中でアセチルCoAは3-ヒドロキシ酪酸あるいはアセト酢酸に変換される。3-ヒドロキシ酪酸酵素的にアセト酢酸に変換され、βケト酸であるアセト酢酸は不安定な物質で容易に非酵素的に脱炭酸してアセトンへと変化する。このようなケトン体が過剰な状態ではケトン血症やケトン尿症を引き起し、呼気中にアセトンが発せられ、尿中にケトン体が含まれるようになる。このような病状をケトーシスと呼ぶ。単胃動物ではケトン体は肝臓でのみ合成される。

なにやら、ケトン体には危険な臭いがプンプンしますね。その一種のアセトンは、人工的なお菓子に似た独特な香りで、とても外部から体内に入れていいとも思えません。体内で生成するのだから大丈夫と言えるでしょうか?無条件に「グルコース=グリコーゲン系」より合理的とは言えないようです。



今日のひと言:私は桐山秀樹さんに恨みを持っているわけではありませんし、ホントのところ、「糖質制限ダイエット」が無効であるとする積もりもありません。実際糖質を制限されている糖尿病患者にはある程度有効なのかも知れません。ただ、私も糖尿病の気がありますが、「糖質制限ダイエット」をやってみる積もりはありません。桐山さんの死因は心不全でしたが、「彼の死は糖質制限ダイエットのせいではない」、というダイエット実践者たちの声も、どっちだか可否は私には解りません。


知的 おやじダイエット3週間実践日誌

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よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法

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高雄病院 Dr.江部が食べている「糖質制限」ダイエット1ヵ月献立レシピ109

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今日の一品


@切れてる!炙り焼きしめさば



このような商品を買ってきました。本日が賞味期限だったので2日に分けず今日平らげました。サバは「下魚」とされますが、北朝鮮の人民は「高級魚」とします。・・・案外当たっているかも。なぜなら日本の美味しい駅弁でもポピュラーな「五左衛門寿司」(鳥取・米子)とか「柿の葉寿司」(奈良)も、サバを使い、この上ない味にサバを仕立て上げているからです。

 (2016.03.29)



@鶏ムネ肉とエバラ焼肉のタレ・オーブントースター焼き・コリアンダー風味



弟作。これまでで最も長い命名になりました。コリアンダーは種をすり潰した市販品。爽やかな風味がつきました。

 (2016.03.30)



カラスノエンドウの玉子炒め


(上の写真が草姿)




カラスノエンドウは、園芸作物のエンドウと類縁の野草であり、植物体がちょうど豆苗と同じくらいの大きさなので、代用できます。マメ科植物で、油との相性がよく、炒め物が向きます。今回はオリーブオイルを敷いて炒め、塩を振り、卵一個を入れてかき混ぜ、コリアンダーの粉をまぶしました。


なお、今回使ったカラスノエンドウは数年間、自宅の庭で「栽培」したものです。道端の野草には農薬が掛かっているオソレがあるからです。

 (2016.03.31)



@刺身湯葉(さしみゆば)



豆乳の中に柔らかなプリンが泳いでいるような食感の湯葉。ワサビ醤油で美味です。シロップを使えば、ほんとにプリンの如くでしょう。

 (2016.04.01)



お知らせ


これまでほぼ5日に一回、更新してきた拙ブログ「虚虚実実――ウルトラバイバル」ですが、仕事の都合もあり、これまでのように更新できなくなってきました。そこでとりあえず、次回のブログから、6日に一回の更新を目指してブログを継続する積りです。よろしくお付き合いくださいませ。