虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

現在の大河ドラマは書き下ろしが多い(失敗作も)


黒田官兵衛特集 その1


むかしのNHK大河ドラマは、原作である小説を脚本化していたものが多かったです。第一作・昭和38年の「花の生涯」は船橋聖一さん、二作目「赤穂浪士」は大仏次郎(おさらぎ・じろう)さん、第六作「竜馬がゆく」は司馬遼太郎さん、といった具合に、ほとんどが原作の小説から取ってきて、脚本にしていたのです。


その傾向が変わったのは、昭和55年放送の第18作目の「獅子の時代」からで、山田太一さんが原作・脚本を手がけていました。これ以降は、脚本家による書き下ろしが多くなっていきます。女性が主役のドラマには特に橋田寿賀子さんが目立ちます。


それはそれで良いのですが、脚本家による作品には、当たり外れが多い、あるいはもっと言えば、失敗といえる作品が多いと考えます。たとえば、私が全く評価していない脚本家の竹山洋さんの「秀吉」、「利家とまつ」は、噴飯物の惨めな作品ですし、最近では、脚本家の田淵由美子さんの2作品、「篤姫」は評判になりましたが(この作品は宮尾登美子さんの原作つき)、それに味をしめて作った、「篤姫」と同じように徳川将軍家に主人公が嫁ぐお話の「江―姫たちの戦国」については、時代考証がいい加減な駄作として、週刊新潮だか週刊文春だかでこき下ろされていて、ついでに主役を演じた上野樹里さんもこてんぱんにやられていて、少々気の毒なくらいでした。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090829#1251523673

  :竹山洋・日本サイテーの脚本家



これらは、脚本家の力量のなさが露呈した典型的な例ですが、脚本家の問題以前に、題材をどうするか、という点でNHKはすでに手詰まりかと思います。というのは、2013年の「八重の桜」について言えば、確かに新島八重は、会津若松城の攻防戦で、鉄砲を撃ちまくり、派手な戦闘行為をした点ユニークですが、後半、新島襄の妻になってからは、特に目立つ活躍はしていません。むしろ、盲目の兄・山本覚馬新島襄の交流のお話にしたほうがすっきりしたのではないかと思います。


特に、女性を大河ドラマの主役にするのには、一か八かの賭けが必要なのかと思います。2014年の「軍師官兵衛」は、かつていろいろな大河ドラマで登場してきたので、ちょっと手垢がついたという感じですが、それなりに主役になれるキャラクターだと思います。


ところが2015年の「花燃ゆ」では、なんと主人公が吉田松陰の妹で、なんでも長州藩士の「某」と結婚し、「某」が初代群馬県令(今でいう群馬県知事)になるのに付いていくというお話らしいです。


以前私は、「功名が辻」について、山内一豊とその妻があたかも「狂言回し」のようだと形容したことがありますが、「花燃ゆ」の主人公とその夫「某」が、主人公の「卓越した兄である」吉田松陰の巻き起こす幕末の大騒乱についての案内役でしかない・・・「狂言回し」である可能性が極めて高いと考えざるを得ません。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20060930

  :狂言回しとしての夫婦――大河ドラマ功名が辻


この2015年の大河「花燃ゆ」について言えば、おそらく小説でこのような「妹」を扱った作品はなさそうですから、脚本の書き下ろしになるのでしょう。それにしても、こんなドラマの作り方をすれば、ある意味いくらでもドラマが出来るでしょう。でも、それはドラマの密度を低くし、おいおいは大河ドラマの不要論に繋がっていくのでしょう。(もう見ないと決めた人も現在、多いでしょう。)


以前の日テレの人気番組「知ってるつもり?」という番組でも、長寿番組であったのですが、お終いのころには「**の母」とか「**の妻」とかいった重箱の隅をつつくような番組を組むことが多くなり、番組は命を失いました。


まあ、脚本家にもピンからキリまであり、脚本家が書き下ろしをやることが、必ずしも詰まらない作品につながる、とも言い切れません。



今日のひと言:NHKは、時の権力者に擦り寄ることが多いと思います。小沢一郎が権勢をふるっていたころは小沢の地元を取り上げ「炎立つ」を製作しましたし、「花燃ゆ」については、安倍晋三の地元、長州=山口県を取り上げようとしているのです。




NHK大河ドラマ大全 50作品徹底ガイド完全保存版 (教養・文化シリーズ)

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後藤又兵衛

後藤又兵衛

特選!大河ドラマ名曲集

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今日の料理



@青パパイヤと豚ばら肉の塩麹炒め








昔、東南アジアの映画で「青いパパイヤの香り」という映画がありましたが、弟が青パパイヤを買ってきて調理しました。まず真っ二つに割り、麹カビを吹いたような白い種を取り除き皮も剥き、千切りにして、肉と合わせ、塩麹で炒めました。パパイヤのほどほどな硬さが豚肉と合っているようです。これは、完熟パパイヤを食べるより美味しいかも知れません。

 (2014.09.11)




@鶏胸肉と梅干し・オイスターソース炒め






鶏肉をオイスターソースで炒める料理は、以前書きましたが、今回はそれに梅干し(+シソ)を加えて料理しました。変わったお・あ・じ。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140811#1407753957

 (2014.09.14)





今日の二句


夜明け・映ゆ
「朝の栄光」
艶やかに







朝顔Morning Glory)の姿を讃えて。

 (2014.09.12)





もう言わず
稗を主役の
趣味につき





数年間、ある農家が稗(ヒエ)の除草をしないでいて、こぼれ種から年々稗が稲を圧倒していましたが、その状況が別の田でも見られるようになり、今時点で、その別の田でむしろ酷い状態になっていました。稲と稗を同時に写したのがこの写真。赤黒い穂を出し、稲穂より高い位置で実を結ぶのが稗です。(おそらく、農家の高齢化が進み、除草が辛くなったのだと思います。)

 (2014.09.13)




今日の園芸





9月初めに蒔いた聖護院ダイコン、水菜・紅法師に本葉が2枚、出てきました。
ただ、日当たりが悪いので、ちゃんと収穫はできないでしょう。

 (2014.09.13)