虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「理系クン」マンガと著者の男女差

アメバニュースによると、現在「理系クン」マンガが静かなヒット商品であるとのこと。
それで私は最近「理系クン」のマンガを3冊ほどまとめてAMAZONで買い、読んでみました。


ここで俎上に載せるのは「理系の人々」(よしたに作・中経出版)と「理系クン結婚できるかな?」(高世えり子・文藝春秋)いずれも小売価格1000円です。


「理系の人々」は、シリーズ100万部突破(!)の作品群のひとつで、実際の職業がSEである方が作者であり、あくまで自分も理系であることを意識したうえで、出来る限り「客観的」に描こうとしているのが解ります。理科系である主人公およびそのほかの理系の人々の「ユニーク=変わった」特質が読み取れます。


たとえば、女の子と電話に関するトラブルが起きたとき(男性3人いて)
「でも、言うとおりに電話省いたら『たまにはちゃんと電話しろ!』って言われるんスよ」
「あーなるほど  最初から言ってくれればいいのになー」
「で、どうしたらいいか分からなかったんで
『結局、週に電話は何回必要なの?』
って聞いたらまた怒るし・・」
「なるほど―」
「いや、お前それはどうかと・・・普通怒るぞ それ」

「理系の人々」第1巻より(ページは失念)


 女性という存在はあくまで「アナログ」な生き物であり、男性は「デジタル」である気がします。あくまで、そんな気が。上の事例はそのすれ違いのような感じ。男性は「分析的過ぎて、」全体像を見失うこともあるかと思います。


一方「理系クン結婚できるかな?」は、あくまで文科系の女性の目で、理系の彼氏と結婚するまでの経緯がかなり冷静に(!)描かれています。結婚式での常識たとえば「結婚指輪」の是非についても、「Googleで検索し、納得するまで」調べ、納得しなければ前に行かないという頑固さが表現されています。女性は途中大変頭に来たこともあったのでしょうけど。そこは「綜合的な」女性、うまくやり過ごしますね。すったもんだの末、めでたく二人は結婚します。


「文科系」の「文」というのは「描き出された図形、かざり」を意味し、「理科系」の「理」は「玉のすじめの意、またすじをつけるようにおさめる意。」(現代漢語例解辞典:小学館)より。文様をかたどっている点では似ています。なお、昔は文理ではなく、文武という言葉がありました。「文」官は文書の作成と保持をする役目なのに対し、「武」官は戦争を司る役目だったのですね。「武器を司る・工学部」と言うのは、今でも「戦争」に直結する学部です。


今日のひと言:「理系の人々」の主人公は、目があるけど、いつでも白目です。瞳がないのです。これはかなり不気味ではあります。

 普通のオタクが、顔の半分も目が占める女性キャラクターを溺愛するのに対するカウンターアタックですかね。



それから、これは大きな疑問なのですが、「よしたに」さんのコミックスは、全ページカラーであるのに、なんと1000円に収まっていること。出版社にとって、この予算オーバーは大変なはずですが、なにかその損失を埋める儲け道があるのかな、と考えるのです。(ネット上のなにかのシステムで・・・)「理系クン結婚できるかな?」は、中身は一切カラーページなしでおなじ1000円です・・・

理系の人々

理系の人々

理系クン 結婚できるかな?

理系クン 結婚できるかな?



過去ログより、マンガ、アニメに触れた記事(抜粋)

忍風カムイ外伝
   http://d.hatena.ne.jp/iirei/20080913
MW
   http://d.hatena.ne.jp/iirei/20080918
デスノート
   http://d.hatena.ne.jp/iirei/20080923
バビル2世
     http://d.hatena.ne.jp/iirei./20090116
デビルマン
     http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090121
あさりよしとお木星ピケットライン
     http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090401
犬夜叉の最終回
     http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090403
ヘウレーカ
     http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090710
江戸むらさき特急
     http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090715
聖☆おにいさん
     http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090720
お茶にごす。
     http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090725
らんま1/2
http://d.hatena.ne.jpiirei/20100307
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20100312