2013年に公開されたアニメ映画「風立ちぬ」をレンタルショップで借りてきて見てみました。
ここで取り上げる「風立ちぬ」の表題は、そのポール・ヴァレリーの長詩の一節から採られています。(「海辺の墓地」)
Le vent se leve, il faut tenter de vivre.
(風立ちぬ、いざ生きめやも。=風が立つ!・・・いまこそ生きなければならぬ!)
(フランス詩集 浅野晃 編:白凰社 より)
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20130315#1363342581
さて、今回の映画は宮崎監督自身が「長編アニメとしては、私の最後の作品だ」と語っています。元々、マンガとして描いていた作品を、@鈴木敏夫がその後、映画化を提案したが、宮崎は本作の内容が子供向けでないことを理由に反対していた。宮崎は「アニメーション映画は子どものためにつくるもの。大人のための映画はつくっちゃいけない」と主張していたが、鈴木は戦闘機や戦艦を好む一方で戦争反対を主張する宮崎の矛盾を指摘し「矛盾に対する自分の答えを、宮崎駿はそろそろ出すべき」と述べて映画化を促した。@
@@間はwikiからの引用
この映画の主人公・堀越二郎(声優:庵野秀明・「新世紀エヴァンゲリオン」の監督)は、実在の人物で、ゼロ戦の設計者です。彼は、幼少時から飛行機に憧れていて、イタリアの有名な航空機設計者・カプローニ氏と「夢を共有し、・・・これはとても不思議な現象ですが・・・、航空機に関する情熱をお互いに伝え合います。
ただ、堀越二郎は、民間機であろうと軍用機であろうと、「設計」がもっとも大事だと仕事をわき目も振らずに行います。・・・単純な人生。ところがそこに、女性の影が差します。その彼女こそ、里見菜穂子(声優:瀧本美織・女優、NHK朝ドラ「鉄板」のヒロイン)、結核を持病にもつ薄幸の女性でした。
彼女を物語に登場させることにより、話に微妙な陰影が生まれますが、この設定は、一部堀辰雄の小説「風立ちぬ」を拝借しています。その中では、主人公も恋人もおなじく結核を病んでいて、2人は婚約しますが、この小説のなかではその女性は主人公の目の前で見取られながらはかなく命を散らすように亡くなるのです。「節子」という名前でした(その実在の女性の名は矢野綾子さんです。)
この小説に比べると、アニメ版の「風立ちぬ」は、いかにも菜穂子の存在が「取って付けた」ように思われます。菜穂子(堀の作品のひとつの題名でもあります)は醜さ(と自分で思う)を二郎に見せたくないと、一人淋しく高原のサナトリウムに出向き、そこで一生を終えるのです。綺麗事のように思います。
結論を言えば、宮崎アニメの「風立ちぬ」は失敗作だと思います。話の作りが、これまで述べてきたように平板で薄っぺらなのです。
今日のひと言:私自身は、宮崎アニメの最高傑作は「千と千尋の神隠し」であろう、と思っています。これこそ、子供も大人もこぞって楽しめる作品ではないか、と。「風立ちぬ」は、むしろ「適合する」世代がないように考えます。
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今日の料理
ブロック状のもも肉を切り分け、水茹でしたあと、ゴマ油を敷いたフライパンで少々炒め、仕上げにオイスターソースを絡めました。弟の評判もまずまず。
(2014.08.07)
@金時草の酢の物
金時草(きんじそう)は、奄美大島、沖縄本島などが原産のキク科植物で、葉の裏がムラサキ色になるのが特徴です。特に酢の物にすると、味が冴えます。日本本土では熊本で水前寺菜、金沢で金時草と呼ばれます。その名称は、サツマイモの「金時(きんとき)」の皮とこの植物の葉の裏の色が似ているからだとか。
過去ログ:金時草はいかがですか?
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20091007#1254919782
(2014.08.07)
@笹カレイのムニエル
産地はスコットランド。舌ビラメのようにムニエルにしました。御頭が長いので切り落とし、塩はあらかじめ振ってあるので、表に胡椒、ナツメグ、裏にタラゴンを散らし、片栗粉をまぶしてバターで炒めました。十分矯臭はできたようです。
(2014.08.08)
@ゴーヤの和え物
「今日の料理ビギナーズ・8月号」(NHK出版)に載っていた料理。ゴーヤを2、3mmの厚さに薄切りし、塩一つまみいれて30秒ほど湯をくぐらせ、冷水で冷やします。一方塩蔵ワカメをかるく茹で、両者をあわせ、オリーブオイル小匙1杯を加えて和えます。もとの料理は塩昆布を使っていましたが、なかったのでワカメを使ったのです。
(2014.08.09)