虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

野田佳彦の愚挙

この政治家の政策は、ことごとく民意に反し、落第政治家と言ってもよいでしょうが(消費税増税、TPP参加問題、原発の再稼働)、最近もトンデモな決定をしました。それは、ドルを介さずに日本円と人民元を交換できるようにしたことです。ドルを介することをなくすれば、手数料が浮くといった理由からだそうですが、これはアメリカにとって、大変に困る、というか激怒するような決定なのです。


 アメリカドルは、世界の基軸通貨決済通貨)です。これによって、どんなにアメリカが貿易赤字でも財政赤字でも、ドル紙幣を刷りましするだけで切り抜けることができたのです。よりによって、世界GDP2位の中国と3位の日本が、ドルを介さずに貿易をすれば、ドルはお呼びでなくなるので、アメリカ経済に深刻な影響をあたえます。アメリカが没落してしまいます。


 実は、アメリカがイラク戦争を始めた真の理由は、サダム・フセインがドルを決済通貨から外す決定をしたからです。大量破壊兵器を持っていたからではありません。アメリカが北朝鮮を攻めないのは、北朝鮮基軸通貨でなにかしょう、という意図がないからです。


 野田佳彦がなにを考え、こんどの決定をしたのかは不明ですが、以上の背景を知っていてやった(確信犯)のなら、アメリカが日本を見捨てるという(軍事力という面で)事態を望んでいることになりますし、世界の覇権国家をめざす中国からみれば、願ったり叶ったり、という事態でしょう。日本の併合も視野に入れている中国にとって極めて有利で、かの国の首脳たちはほくそ笑んでいるでしょう。この決定は、日本とアメリカとの離間策です。それも知らないで、ただ手数料が浮くという理由から決定したのなら、野田佳彦はただの馬鹿ですね。


 一方、メディアの報道を見ていると、この暴挙について、「手数料」の問題としていたのが民放の限界、6月1日のNHK[ニュース7]では、中国が人民元を決済通貨にしようという意図があることと、ドルの不安定化による資産目減りを回避するという意味があると報じていたのが、まあ、ましだったようです。6月2日付けの朝日新聞もだいたいNHKの報道と同じでした。この愚挙は、野田佳彦首相が昨年12月に中国に行った際、合意したものだそうですが、したたかな中国に、いいようにあしらわれた、との感想を持ちます。・・・鳩山由紀夫と同じく、バカは外遊するな、と野田佳彦には言いたいですね、私。


 以上の記述は北野幸伯さんのメルマガ「ロシア政治経済ジャーナル」の記述を参考に書きました。私は、基軸通貨の重要性を、このメルマガで学びました。

中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日―一極主義 vs 多極主義

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隷属国家 日本の岐路―今度は中国の天領になるのか?

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人民元が基軸通貨になる日

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今日の一句

いざ種を
飛ばさんとする
神輿草


神輿草:みこしぐさ」とはいわゆる「ゲンノショウコ」のことであり、実った種(一つの花について5個)が綺麗にはじけ、そのはじけた後の姿が神輿に似ているのでこの名が付きました。

    (2012.05.31)