虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

黒船来航の真の政治的意図


 私が購読しているメルマガに「JOG-Mag 国際派日本人養成講座」があります。作者は伊勢雅臣さんです。なかなか鋭い視点を持つ方かと思います。今回取り上げるのは2011年10月2日号(716号:黒船来航の舞台裏)。


 私は、アメリカの提督・ペリーが4隻の黒船を引きつれ、暴力的に日本を開国させたということは知っていました。まあ、これは常識ですね。その理由が、クジラ漁をやって鯨油を取る際の補給基地が欲しかったのであると、学んだ記憶があります。ところが、2,3年前、アメリカは、沖縄が欲しいという野心を持っていた、とも聞かされました。(その意味では、アメリカは現在でも沖縄を支配しています。)


 ところが、この認識にも欠陥があり、本当のところ、アメリカは中国に進出したかったのだ、との視点をこの「国際派日本人養成講座」は主張しています。イギリスと同じように、中国でアヘン取引をしたい、というのが本音だったようです。そして無理やり日本を開国させる・・・

1849年9月17日、ニューヨークの法律家アーロン・パーマージョン・クレイトン国務長官に『改訂日本開国提案書』を提出した。5ヶ月前に提出した提案書の改訂版である。この3年後に、ペリーの「黒船」が日本にやってきて、武力をちらつかせつつ開国を迫るが、その発端となったのがこの提案書だった。


 パーマ−は、日本政府への要求事項として、漂流民の人道的保護、捕鯨船の緊急避難と補給修理を挙げ、これらの条件を最後通牒として突きつけること、そして日本が要求に応じない場合に備え、特使には江戸湾封鎖の権限を与えることを提案している。


  (中略)

 当時の清国との貿易は英国が中心的な地位を占めていた。特にアヘンの販売では、清国政府の年間歳入の三分の一以上の売上をあげており、膨大な利益を得ていた。清国はアヘンの輸入を止めようと、1840-41年に英国と戦ったが、このアヘン戦争に敗れ、イギリスの半植民地に転落していく。


 そのイギリスの陰に隠れて、実はアメリカの商社もアヘン貿易で膨大な利益を上げていた。

(中略)

 当時、イギリスは、アフリカ大陸の南端ケープ植民地、インド洋のセイロン、そして太平洋に出るマラッカ海峡シンガポールを押さえて、中国へのルートを確保していた。


 アメリカが中国に出ようとすると、大西洋を横断してから、イギリスが押さえているルートを使わざるを得ない。距離も長く、いったんイギリスと事が起これば、すぐに締め出されてしまう。


 そこでアメリカが考えたのが、太平洋沿岸まで領土を拡張し、そこから一気に中国をめざすというルートだった。

JOG-Mag  716号より引用



今日のひと言:政治というのは、腹芸の世界で、表向きのやんわりした仮面の裏で、とんでもないことを考えるものだな、と思います。JOG‐Magによる知見でも、アメリカの真の狙いは2重、3重に隠されていたのです。その真意を知らない者は、盲動して、政治の犠牲者になるのか、と思います。


関連過去ログ  「狂」の時代・・・一枚の写真(天皇マッカーサー

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090322#1237699341



今日の映画


 ブログ仲間の方たちより「天使にラブソングを・・・SISTER ACT」を薦められたので、図書館にあった本作を借りてきて観てみました。クラブ歌手だったデロリスが、愛人のギャング・ヴィンスの殺人現場を見てしまい、付け狙われた末、刑事のアドバイスにより修道院に潜り込み望んでもいない「メアリー・クレメンス」というホーリーネームをもらい、大嫌いなストイックな日々の末、コーラス隊の指揮者を命じられ、へたくそだった聖歌隊に喝をいれ、隊の実力をメキメキと上げ、ついでに通俗的な曲(ソウルやロック)などもレパートリーにするに至り、その評判はローマ法王にも例のギャングにも知られて・・・


 という粗筋の映画です。でもこのデロリス、幼少のころにカトリック系の学校にいて、先生が「12使徒の名前を挙げなさい」と言ったとき、臆面もなく「マッカートニー、レノン、ジョージ、リンゴ」(もちろんこれはビートルズのメンバーたち)だと名前を挙げるひねくれもので、教師には「あなたの将来は祝福されませんよ」と言われる始末だったのですね。それが成人してまたキリスト教に関わるようになり、また彼女の居場所も見つけるに至り、なんとも幸せそうに見えました。主演はウーピー・ゴールドバーグ。監督はエミール・アルドリーノ。1992年、アメリカ映画。



今日の二句

なんで伐る
せっかく植えた
プラタナス


良く行く街角の、街路樹たちが、一斉に伐採されていました。なんの為に植えたのでしょう?



まな板の
上で死ぬハエ
大往生


まな板の上で動かないハエ、たたいても揺らしても動かぬハエ、よく見たら死んでいました。このハエにとっては極楽往生だったのかも。

    (2012.06.07)

黒船 (中公文庫)

黒船 (中公文庫)


クマツヅラ科の植物・ランタナの写真です。この花は花びらの色とその配列がユニークで、ガーデニングでも人気があります。(私のはてなアイコンに使っています。)