虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

とうとうニートが殺人事件を起した!・・・岩瀬高之の場合


 2010年4月17日、愛知県豊川市にすむニート(引きこもり)の30歳の青年が、あまりにお金をネットオークションで浪費して、200万円の借金を作ったことに耐えられず、警察のアドバイスもあり、父がネットの契約を打切ったところ、その人物――岩瀬高之が逆恨みして、同居していた家族5人を夜中に包丁で襲い、父と一歳の姪2人を殺害、ほかの家族にも危害を加え、家に放火して逃げたという事件でした。


顔を中心に狙い、家族合計44箇所の刺し傷があったとのこと。まあ、中卒後、菓子メーカーに1年ばかり勤めただけで、かれこれ15年間ニートだったわけで、そうなれば父母にすがるしかない身の上ながら、なんとこの男は、父の預金通帳を管理していて、毎月父に5万円、母に4万円を渡し、あとのお金は自分のものにして、ネットオークション三昧していたとのこと(2010年04月18日付け朝日新聞)。父親・母親もなんだか異常な感覚だったのでしょうか?それとも、高之は「俺がニートになったのはお前ら(父・母)のせいだ、その分、金よこせ」とでも言っていたのでしょうか?


 かなり開き直った犯行です。岩瀬高之いわく「父にインターネットを止められた。家が燃えてしまえと思った。家族を殺してやろうと思った」と話しているという。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2010041790090601.htmlより。
――なんとも幼稚な供述。


でも、高之を待っているのは、コンピュータにも触れられない監獄の世界。そして刑は、死刑か無期懲役でしょう。「ニートことわざ集」にいわく、「親は金なり」・・・このコトワザの意味を高之はこれから嫌でも知るようになるでしょう。同じ大量殺戮者である「秋葉原通り魔殺人事件/秋葉原無差別殺傷事件」の犯人・加藤智大(かとう・ともひろ)と比較すると、加藤は一応フリーターではあり、岩瀬高之ほどにはぬるま湯にどっぷり漬かっていませんでした。もっとも、私は加藤の犯罪をこれっぽっちも正当化するつもりはありませんが。
 

岩瀬高之は、ブログをやっていたのでしょうか?あるなら覗きたいものです。


 ニートことわざ集:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20100411

こんなコトワザも。


   「立てばコンビニ座ればPC歩く姿は穀潰し」


追記:4月22日発売の「週刊文春」・「週刊新潮」では、8年前、岩瀬家は強盗に入られていたそうで、この事実が今回の犯行に結び付いたかどうかは解りません。

 また、ほかにこの事件に言及したブログを見ると、「現実世界との唯一の接点であるインターネットを突然絶たれた」岩瀬が、精神のバランスを崩すのはある意味当然、と言った論を立てる人もいました。まあ、そうかも知れません。それにしても、情けない男です。

ニート―フリーターでもなく失業者でもなく (幻冬舎文庫)

ニート―フリーターでもなく失業者でもなく (幻冬舎文庫)