植物の分類
簡単に見えて、実は植物の分類はけっこう難しいです。いろいろな分類法が立ち上がっては消え、立ち上がっては消え・・・しています。
今回はクロンキスト体系とAPG植物分類体系を取り上げます。いずれもいわゆる「被子植物:種が皮で保護されている植物」の分類です。
まず、クロンキスト体系について
Wikipediaより
1980年代に Arthur Cronquistより提唱されたクロンキスト体系では、ストロビロイド説を採用する。 ストロビロイド説は単純な構造を出発点とするのではなく、 「花被・おしべ・めしべ等が多数に軸の周りを螺旋状に配列している両性花を出発点とし、 この原始的被子植物から種々の植物群が進化した」とする仮説である。 単純な構造の尾状花序群などは、原始的被子植物の構造の一部が退化して生成したとする。
この分類体系では、原始的被子植物の形態的特徴をもっともよく保存しているモクレンの仲間を最初に配列する。
逆に双子葉植物の最後に位置するのは、もっとも進化した形態特徴をもつキクの仲間である。
ストロビロイド説を支持する植物分類学者は多かったが、被子植物の系統は種々の学説があるため、クロンキストが唯一の体系であったわけではない。
続いてAPG植物分類体系について
WikipediaよりAPG植物分類体系(えーぴーじーしょくぶつぶんるいたいけい)は、1990年代に登場した被子植物の新しい分類体系である。 旧来分類法の新エングラー体系やクロンキスト体系がマクロ形態的な仮説を根拠に演繹的に分類体系を作り上げたのに対して、ミクロなゲノム解析から実証的に分類体系を構築するものであり、根本的に異なる分類手法である。
APG(Angiosperm Phylogeny Group: 被子植物系統発生グループ)とは、この分類を実行する植物学者の団体名である。
確かに、遺伝子レベルで植物を分類すれば、種(しゅ)の近縁性がよくわかり、植物の形質を見比べて種を決めるより確実でしょうね。
参考HP:
http://www.kyoto-be.ne.jp/kumiyama-hs/sqreport/2007seitoweb/07keitoujyu1.htm
また、APG植物分類体系の場合、モクレンの仲間を除いた双子葉植物の分類は、「バラ類:rosids」「キク類:asterids」のような感じで、きれいに2大カテゴリーに分類ができるのが最大のメリットですね。ただ、目(もく)以下の分類がいまいちごちゃごちゃしていて、よく解らないのですが・・・このレベルにおいてははいまだ研究されつくされていない?
今日のひと言:なんだか、分類学は、植物のほうが動物よりムズカシイ気がします。動物より歴史が古いからでしょうかね。
過去ログで生物の進化・分類について書いたブログ
ヒトデは人類の祖先ではない・・・動物の大分類
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20091127
ホンビノス貝・・・有益外来生物
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20091227
魚類の進化(備忘録)・・・ヤツメウナギは魚類ではない
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20100116

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