犬のウンチと農家
ウチのタエコ(犬)が散歩をする際、つきものなのが、「ウンチ」です。タエコのお決まりのルートは2つあるのですが、そのうちの一つのルートでは、道すがら耕作している農家が4軒あり、「犬のウンチお断り!」とか「放置一回3万円!!」というプラカードを立てかけています。それは、田畑の中でなく、あくまであぜ道の話です。
でも、「ウンチ」は肥料になるはずなので、彼らの態度は自己矛盾している気がします。まあ、イヌのウンチが「エキノコックス原虫」をかなりの頻度で含むようになったら、考えることになるのでしょうが。
昔、西武鉄道は糞尿をつめたタンクを車両に連結してもっていき、郊外の農家が高額な値段で買い上げていました。田舎の香水を運ぶ糞尿列車ですね。
それを思うと、件の農家たちの態度は、「汚いものを排除する」と言う意味で、ぜんぜんエコではありませんね。
私の進路を決めた本の一つとも言える「福岡正信」さんの「わら一本の革命」では、人の屎尿(うんちとしょうべん)をどうするのか、という記述が見当たらず、不思議でしたが、これは使用せず、「鶏糞」を田んぼにまくという代替肥料を使っていたのですね。
なんだか、肩透かしをされた感じです。
福岡さんにして、人の屎尿がうまく処理できないとは・・・
大体、いわゆる「有機農業」にせよ、人の屎尿は使わず、化学肥料と控え目の農薬で作物を作っているのでしょう。
でも、畑ないし田んぼの「物質収支」を考えれば、人が排泄したものは、畑・田んぼに返すのが本当だとは思いませんか?現にリン肥料のもとになる「リン鉱石」はほぼ枯渇状態にあるとのこと。これを水に流すと、リンは水質悪化の原因物質になります。リン鉱石を無理やり使って農業をし、糞尿のなかのリンは垂れ流しにする・・・おなじく窒素も。
こう考えると、下水道になにもかも一緒くたに流すライフ・スタイルは見直すべきでしょう。その際、コンポスト・トイレとか、コンポスターが有力な資源再生設備になるでしょうね。そして、糞尿のことを考えに入れない「エコ運動」は、偽物です。よく台所のゴミ(厨芥)をコンポスターとか発酵機械にいれて悦にいっている人がいるようですが、もっと進んで自分の糞尿をも世話する人になってほしいと思います。
関連過去ログ:コンポスト・トイレと水洗トイレ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20080804
NHK朝のテレビ小説 企画書「ヴァキューム」
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051226
自然農法家・福岡正信さんの2つの死
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090307
今日のひと言:それにしても、日本人、特に都市民の「キレイ好き」は度を超えていると思います。それは、田舎でも同じでしょうね。「気分は都会人♪」
そうそう、犬のウンチは、大体家に持ち帰り、庭の片隅に撒いています。そこだけ雑草の繁茂がいいようです。ウンチを、通常植物を育てる区域に撒かないのは、我が家の限界です。そういう意味ではウンチにうるさい農家のことは批判しにくいですね。ただ、言い訳をすれば、あぜ道のイヌの糞にめくじら立てるのも、どうかと思いますが。

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