虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

1191886786*金木犀と沈丁花(キンモクセイとジンチョウゲ)


金木犀の匂うころ
あなたと出会い


沈丁花の匂うころ
あなたと別れた





私はいまなお官能の中




    2007年10月上旬
              森下礼



(解説:詞書)
金木犀の香りがたけなわです。そもそも、その高貴な香りは中国のワイン・・・桂花陳酒(けいかちんしゅ)に使われ(ワインに金木犀の花を漬ける)女性に好まれるものですが、トイレの芳香剤にも使われることから、子どもたちに「あ、トイレの匂いだ」と言われるトホホ状態にあります。



公園などを観察すると、秋のこの頃には金木犀の匂いが多く漂っています。濃厚に、あるいは微かに。通常ではなんら目立たぬこの木は秋の一時(いっとき)にのみ、存在感を見せるのです。




春を代表する匂いは沈丁花。以前読んだことがあるのですが、刑務所の近くで沈丁花があり、囚人たちが、看守に頼みこみます。言うには「“女性”を感じる・連想する香りだから我々には、きつい。伐って欲しい。」




なにはともあれ、私はあの人が忘れられない。