平知盛・最期の言葉「見るべき程の事をば見つ」
平知盛・最期の言葉「見るべき程の事をば見つ」
自害にあたり、知盛は碇を担いだとも、鎧を二枚着てそれを錘にし、「見るべき程の事をば見つ。今はただ自害せん」と言い残して入水したとも言われている。共に入水後遺体となるか、あるいは生きたまま浮かび上がって晒し物になるなどの辱めを受けるのを避ける心得である。
これに想を得た文楽及び歌舞伎『義経千本桜』の「渡海屋」および「大物浦」は別名「碇知盛(いかりとももり)」とも呼ばれ、知盛が崖の上から碇と共に仰向けに飛込み入水する場面がクライマックスとなっている。
知盛(Wiki)
なんとも凄惨かつ透徹した言葉です。ここに「見つ」という言葉は英語でいう現在完了形であり、彼の見た物がどんなに凄惨な現実だったかを雄弁に語るものでしょう。「コンサイス日本人名事典」(三省堂)によれば平知盛について
1151-1185
平清盛の4男。母は平時子。名乗り:新中納言。1159わずか8歳で蔵人となり、1177従三位、1178左中将・近江権守、1179丹波権守をへて、1180左兵衛督・春宮大夫・新院御厩別当となる。この年源頼政を宇治に破り、1181征夷大将軍として左中将平清盛・小松少将平有盛ら3万騎をもって源行家を尾張洲俣・美濃板倉の合戦で破る。その功により参議・従二位権中納言にすすんだ。
1183源義仲の上洛に際して粟津で戦ったが敗れ、京都をすてて大宰府に落ちた。のち讃岐の屋島を本拠地として山陽・南海両道と瀬戸内海に勢力圏をつくり上げ、源義仲の派遣した足利義清を備中水島の合戦で、また源行義を播磨室山の合戦で破った。1185壇ノ浦で源義経に敗北したとき、安徳天皇をはじめ二位尼・建礼門院など一門の女官に入水をすすめ、自らも郎等・乳母子の伊賀家長とともに入水した。「平家物語」は知盛を平家一門の尚武剛健の武将の典型として描く。
(年数については「’85」などを「1185」などと書き換えました。)
知盛は文武ともに優れた人物だったのが解ります。平清盛の正統的な跡取りであったようにも思います。ただ彼にとって不運だったのは俱利伽羅峠(くりからとうげ)で平氏を圧倒した軍事の天才・木曽義仲や、木曽義仲を凌ぐ軍事の大天才・源義経を相手にしなければならなかったこと。知盛も、源氏の軍勢を一度ならず打ち破っていたのですから、軍事にかけては秀才と言ってもよかったかな、と思います。でも、天才は時に秀才の思いもつかない(ある意味非常識な)行動を取るもので、結局は、義経が知盛もろとも、壇ノ浦で平氏を滅亡に導いたわけです。
そのなかにあっての彼の言葉:「見るべき程の事をば見つ」は、滅びゆく平氏の断末魔・および自らの運命をそこに捨てた平家一門の「遺言」だったのかも知れません。
今日のひと言:平家物語は、中学校や高等学校の古典の教材として今でも使われていると思います。なんとなく義経を主人公にした「源氏物語」のようにも思えますが、滅びの美学と言う意味で、やはり平氏が主役なのでしょう。もっとも義経も平家滅亡後、過酷な運命を辿るのは、ご存知の通りです。
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今日の一品
@ナメコのからし酢味噌和え
大株で100円弱のナメコ(キノコ)を買ってきて、作ってみました。いしづきを取って茹でたナメコをからし酢味噌で和えました。ナメコが水っぽく、調理後汁が薄くなったのが欠点です。
(2019.11.26)
@ナガイモの短冊切り・2種のドレッシング
弟作。ヤマトイモほど粘らないナガイモの美味しい食べ方。短冊切りにしたナガイモに、ゴマ・ワサビドレッシングを掛けて一品、バジルソースを掛けてもう一品。
(2019.11.27)
@チンゲンサイの漬物
中国ではチンゲンサイを小ハクサイと呼びます。では、と漬物にしてみました。タレにはあらかじめ取っておいた市販のハクサイの汁を足します。塩は控えめながら、基部の膨らんだ部分に心持ち多く振りました。
漬けた直後:容器一杯(2019.11.20)
ほぼ漬け終わり:カサが減る(2019.11.27)
食事のため切り分け:(2019.11.28)
ちゃんと塩味と酸味が軽く効いていて、食べやすかったです。
@里芋と人参のコンソメ煮
里芋はいったん茹でこぼし、ザルに受けます。人参を乱切りにし、ゴマ油にニンニクを切ったものとともに炒め、里芋、昆布、水、コンソメ2個を加え、煮ます。保温調理して、仕上げに絹サヤを加えてちょっと加熱して火から降ろします。
(2019.12.01)
今日の三句
桑の葉も
冬色しけり
寒き朝
(2019.11.27)
無人くん
今朝も買いけり
野菜二種
人参50円、春菊50円。貧乏人にとっては頼もしいスポットです。早朝の散歩のころにも置いてあるのが良いです。
(2019.11.28)
冬の陽に
当たって元気
菜の花や
(2019.11.29)
私にとっての俳句:スナップショットとしての詩
私にとっての俳句:スナップショットとしての詩
私の作る詩の多くは俳句になります。30年前に俳句を書き始めたころはいわゆる自由律俳句を捻っていましたが、ここ数年は5・7・5の定型俳句を旨としています。でも、私は「定型・有季の俳句」について複雑な感慨を抱いています。
正直言って、俳句は辞世を詠むには力不足であると思います。17文字という制約は大きいです。そこへ行くと、31文字の短歌なら、十分に意が盛り込めます。また、「季語」という制約も、辞世を詠むには大きな足かせです。自由律俳句(Free haiku)の種田山頭火(Taneda Sanntouka)の句は、その制約から自由です。それにしても、水原秋櫻子(Mizuhara Shuuoushi)の句のつまらないことと言ったら!17文字で辞世を言ってのけることが出来るのは、松尾芭蕉や良寛など、限られた人だけのようです。
季節が生まれるのは、地球の地軸が23度傾いているからで、それは地球におきる物理的現象のひとつに過ぎず、それに全面的に依拠する俳句は、表現形式としては2流の芸術であると私は思います。
:地軸の傾きが生む文芸・辞世を詠むには力不足の俳句
この見解は、鋭く俳句のあり方を問うた桑原武夫氏の『第二芸術論』に負うところが多いです。
それから、俳句、短歌、ソネット、3つとも定型詩である表現形態についても考察したことがあります。
俳句は「スナップショット」であると思います。和歌(短歌)は「動画」、ソネットは「映画」とでもいうような特徴があると思います。スナップショットである俳句は、叙景詩にもっとも合い、抒情詩ないし「恋愛」を語る俳句にはお目にかかったことがありません。なんだか恋をうたうにはカラッとしすぎているようで。そこへ行くと、和歌は恋愛歌のオンパレードですね。一種の動画です。また、しっとりしている傾向がありますね。ソネットは、イタリアで生まれた詩の一形態であり、イギリスでシェイクスピアが秀作を残していますし、なによりフランス象徴詩で花開きました。4・4・3・3の計14行詩です。この詩形は、まるで映画を見ているかのような感じです。これら三つの詩形は、みな定型詩ですね。
:俳句・和歌・ソネット――私の好きな詩形
以上で私の俳句に懸ける思いは大体言い尽くされていますが、最近思うことを追加してみます。俳句は「パッシヴ:受動的」な文芸だと思います。一方、他の詩はより「アクティヴ:能動的」なのだと思うのです。私の場合、朝早く、散歩の時間を持つのですが、そこで目に飛び込んでくる森羅万象、あらゆるものの有様を目に焼きつけ、写真も併用しながら一句捻るのです。一回散歩すると最低一句くらいは捻れます。でも、この詩生成態度は、スナップショットの撮影とさほど変わることはありません。俳句は、なにか大きな思想・観念を表現するウツワではなく、条件反射的な詩作態度であると言えますか。
俳句の改革者:正岡子規の唱えた「写生の句」、私はこれにも少々疑義を感じます。月を愛でる句を「月並み:ありふれている」と称した子規、この月の魅力をも備えた古典文学への殴りこみは、これら古典文学が、彼が目指す俳句とはなんにも関係のない・あっても有害であると彼が思っていた事実を語ります。俳句とは?・・・これを狭義に捉えると、子規のような見解も出てくるのでしょう。「古き時代の詩藻の遺物」、月を代表として排斥していたのが子規なのでしょう。ただ、俳句を含め、詩というものは、逆に大きな思想・観念に思いを致せられれば、大文学と言っても良いように私は思います。写生の句・・・ちょっと弱いです。
今日のひと言:とは言いつつ、今日も私は俳句に勤しみます。なんでも出来る人はいませんから。あ、それから、俳句では恋愛を語るのは難しい旨書きましたが、黛まどかさんなどはかなり大胆な恋愛句を書いていますね。
なお、私が20代の後半、山暮らしをするに当たり、過酷な結果になるだろうと予感して一句詠みました。
螳螂の 空に祈るや 百舌の糞
:螳螂(とうろう:かまきり)が、百舌(もず:鳥)に捕まえられて、木の枝に串刺しにされた姿を見て、我が身に当てはめたのです。・・・悪い結果になったことは的中しました。
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今日の一品
@切干大根
乾物の定番料理。水に20分ほど乾燥細切り大根を晒し(同じく吸水させたクコの実もあわせ)、ゴマ油を引いたフライパンで炒め、キビ糖、醤油を順に加えてさらに炒め、仕上げにユズを散らしました。
(2019.11.23)
スプラウトは、今年の5月ころ作りましたが、今回は最も有名なスプラウトを作ってみました。容器にセットして、6日後くらいの収穫で、サラダにして食しました。
(2019.11.23)
レシピはハウス食品のもの(変更あり)。100円で買えるハウスの複合調味料を使いました。芽を取ったジャガイモ中4個を7分、500wで電子レンジ。冷水で冷やし、皮をむいて切り分け、ハム、長ネギと炒め、最後に複合調味料。ジャガイモの質感が味わえる料理。調味料は、ニンニク、塩、胡椒で間に合いそう。
(2019.11.24)
今日の詩
@畏友を悼む
私の畏友・B君が亡くなった。
お互い年齢は近く20代初めに知り合った。
私が某自然食レストランで食事中、
「トリハロメタン(*1)が・・」と話すのを耳にした。
それは私の専門だったので、背後から声を掛けた。
それがB君との出合い。
彼は鍼灸師の卵で、同席していた彼の恋人も
植物を仕事にしていた。最強のカップル。
彼はでも、1つの職業に収まらない人で
関わったほとんどの仕事で
プロ以上の仕事が出来るようになった。
彼は私を「天才」と呼んだが彼こそ「超天才」だった。
彼を動物に喩えると、「能ある四脚獣=熊」と言えた。
いろいろあった、楽しい時が悲しい時より多かったか。
でも私は2回、彼に別れを告げた。
私は植物、中でも野草を尊いと思っていたが、
彼には野草を蔑む空気が濃厚だった。
「僕は、君が思うほど万能ではない、
生まれ変わるならハコベになりたい」
と彼への手紙に書いた。
それから数年、私のほうから連絡し、再び交遊関係が復活した。
ところが数年後、私が拙著『野草を食べる・滋味(JIMI)!!』
書こうとした時、サンプルとしてコンフリー(*2)の項目を
送って、意見を求めたところ、
「コンフリーは毒草だ、無責任に本にして、食べた人が
毒に当たったら、責任は取れるのか?」と。
(同じ毒を持っている野草でも、過食しなければ当たらない)
と私は思ったのだ。そのB君が繰り返す言葉を聞いて、
「もういいよ」と電話を切った。
以後、こちらからは連絡しなくなった。
「青いね、森下さん」と言われればそれだけのことなのだが。
私は「ハコベの時」と、B君はなにも変っていないことに
気付いたのだ。失望したのだ。
それで付き合うのを止めた。それでも年賀状をくれていた
B君はこの世を去った。
「B君、お疲れさま。どこかの世界でまた会おう。」
BGM:Self-Portrait (坂本龍一)
(*1)トリハロメタン:塩素処理の結果、水道水に含まれる発がん性物質。
(*2)コンフリー:ロシア原産のハーブ。ビタミンB12を含む。
(2019.11.21)
今日の三句
木枯らしに
回され落ちる
銀杏(いちょう)の葉
(2019.11.20)
信楽の
焼き物・塚で
埋まる家
大きな狸の信楽焼きと塚。この家、持ち主はかなりの趣味人と見ました。下を這うのはツワブキの黄色い花。
(2019.11.22)
倒れかけ
アカメガシワは
とどまりぬ
アカメガシワは、毒草の多いトウダイグサ科の樹木で、葉で餅などを包むことがあります。
(2019.11.22)