スーパーのレジで。
「はい、1524円になります。」とレジの係員に言われたとき、あなたならどのように払いますか?たいていの場合、1000円札を2枚出すか、1000円札2枚と24円を出すと思います。私は、断然1000円札2枚派です。そうすると、コインで476円返って来ますね。1000円札2枚と24円では500円返ってきます。
あたりまえですよね。
ところが、この2つの選択は大違いなのです。私は以前、コインの原価計算をしてみたことがあります。その結果、原価的には小額コインのほうが高いのです。500円コインなんて、原価は5.5円、10円コインは3.6円もあります。すると、500円コイン1枚より10円50枚のほうが断然!!原価が大きいことが解かります。紙幣に至っては原価はただみたいなものです。
一国の経済が破綻するとき、通貨は「無意味」になります。でも、物としての価値だけを問えば、小額コインがベストであることになるわけですから、・・・・
つまり、私は「小額コインを貯めているのです!!」まあ、こんな意識の主婦は、皆無でしょうがね。
「地域流通貨幣」あるいは「地域通貨」という言葉をご存知でしょうか?実は私も、目論んでいるのです。コインを媒介とした「地域流通貨幣」を。その名は「ガロア(Galois)」。ガロアとはフランスの数学者で、「群論」という飛びぬけた理論を構築しながら、20歳で女性を巡る決闘で落命した、数学史上、奇跡の人と呼ばれる超天才なのです。偉大な業績を残しながらも、単位にさえなっていないので、私が単位にするのです。
ガロア着想への序曲
「エンデの遺言」(河邑厚徳+グループ現代・NHK出版)は、ここ数年出版された本の中で、傑出した本の一つです。まずはこの本を読むことをお薦めします。「地域通貨=地域流通貨幣」のアウトラインが解かります。エンデは、「モモ」とか「終わりのない物語」で名高い童話作家・ミヒャエル・エンデのことで、彼が晩年通貨について考察していたことはあまり知られていません。そこでこのような書名になりました。
この本の中で、特に注目されるのは、シルビオ・ゲゼルという経済学者です。彼は、「全ての物の価値は、時間とともに下がるのに、お金(マネー)だけは上がる(利子がつくこと)。これはおかしい!」と考えて、「時間とともに価値の下がる通貨」を考案します。この突飛な発想は実際にドイツやオーストリアの自治体で試され、大成功を収めます。使わなければお金の価値が落ちるため、人々はこぞってその通貨を使い、大不況がふっ飛んだのです。ところが、その試みは中央銀行の横槍で中止に追い込まれます。この事例が、「地域通貨=地域流通貨幣」の初の例です。現在は、世界各地、日本でも、さまざまな試みが行われています。その際の通貨になるのは、独自に作った「模擬紙幣」とかコンピュータ上のポイントなどです。何らかの形で「中央管理者」を置きます。
PS 高名な経済学者・ケインズは、「後世に与える影響は、マルクスよりもゲゼルのほうが大きいだろう」と予言していたそうです。(「エンデの遺言」より)
「ガロア」の着想
2003年春、父がアルツハイマー病(認知症のひとつ)を発病しました。森下家は、父、私、弟の、男3人の家族です。独身の息子2人で父の介護をしなければなりません。当時私は無職、弟は会社員でした。弟は会社に辞表を出したのですが、休職扱いになりました。
そうすると、「円」としての収入は、父の年金しかありません。十分な経済力のある弟に比べ、私にはそれがありません。まして、介護のため働きには出られません。男2人で、つきっきりで父を見なければならない大変な状況でしたから。
それでは私の収入はどうすればいいのか?――との難問が立ち塞がっていました。日常必要な商品はなんとかなります。でも、私の自由になるお金がありません!
そこで、父の介護のため働いた「行為」を点数化して、父の年金から貰うしかなかろう・・・ということに落着きました。言って見れば、肉親が介護施設の職員の働きをするのだから、その「行為」に父が対価を払うのはむしろ当然だと思われました。私設介護職員です。
その行為は、しかし、商品の対価の「円」ではなく、なにか別の通貨が必要だろう、とも考えました。そこで「地域通貨」の存在を思い出し、自分もそれをやろう、と決めました。これが「ガロア」着想の経緯です。
ガロアのありかた
これまで書いてきたことを思い浮かべながらお読みください。
@何人かのメンバーの信頼関係がベースになります。
@1円=1Galois(ガロア)
@1対1の取引が基本です。
@「行為」の交換のメディア(手段)として、既存のコインを使います。そして、コイン
の意味を読み替えます。たとえば、経済が混乱して、大根1本1万円になったとしても、
大根をくれるという行為に100ガロアを支払います。インフレ・デフレを回避するの
です。
@金利はありません。
@中央管理者はいません。
@誰でもやれます。
@商品化社会以前のコミュニティーをモデルとします。
@円の機能のいいとこ取りができます。遠隔者同志のガロアによる決済には、既存の円の
システムを利用し、その後ガロア(コイン)にすればいいのです。
@最低15人程度のメンバーで、完結できるコミュニティーが作れます。いろいろな能力、職能の人が集まるのが望ましい。その根拠は、15人から2人を取り出す組み合わせは15C2=105(高校数学で教わる組み合わせの記号を使いました。)。100通り以上の取引が出来るからです。
@「ガロア」と名付けた理由:経済学が「交換」という概念を中心に据えた学問である以上、ガロアの群論の初歩(たとえば「互換」という考え方)で言い尽くせるからです。
最後に、ガロアは、営利とは無関係な通貨であり、今私は考え方を開示しているのであって、会員を募っているのではないことをお断りしておきます。
そうそう、アラブのことわざに「小額貨幣は身を助ける」というのがあるそうですよ。ガロアは、行為を、コインという物質に変換する行為です。これは、アインシュタインの相対性理論の「エネルギー=質量』という定理を踏まえているのです。そして、このブログで、私はノーベル経済学賞を要求します。こんなチンピラ賞、ではなく、その億を超える賞金を、私に献上して当然ですよね。ねえ、ノーベル経済学賞を支配するシカゴ大学(2流大学)さんよ。