虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

DNAと原形質:男と女、どっちの情報が子に多く伝わるか?+メビウス(随想録―23)

DNAと原形質:男と女、どっちの情報が子に多く伝わるか?



「それは、対等に伝わるんじゃない?」・・・DNAで言えばその通りですが、実際は、女(母親)からの方が多く伝わるのです。父からの精子卵子の外壁を破って進入して、精子がわずかに持っていた原形質(ミトコンドリアなど)は、卵子のなかで排除され、消えてなくなるという作用が起き、母由来の原形質だけが、子に伝わるのです。


原形質・・・細胞の本体で、ミトコンドリア、ゴルジ体などの集合体のことですが、この雑多な遺伝子情報の働きは、DNA研究の陰で、未知の分野だと思います。ミトコンドリアは、もともと宿主の細胞に寄生する小生物だったのが、取り込まれ、細胞の一部になったと考えられていますね。



瀬名秀明のSF:『パラサイト・イブ』は、エネルギー代謝に係わるミトコンドリアを拡大解釈して、エネルギーを炎に変えて武器にする女性がテーマになっていました。


 (2022.05.19)






メビウスカーボンナノベルトという人工の化合物




数学上、「メビウスの輪」(ないし「メビウスの帯」)という図形は有名だ。細い長方形の紐に一回ねじりを入れて上下逆に貼り付けると、表も裏も区別がつかないものが出来上がる。これを「メビウスの輪」というのだが、これを名古屋大学北海道大学の研究チームが化学合成したというのだ。
5月20日つけの東京新聞の記事だった。



wikipedia


こういった超絶的な化合物、だいたい研究者や一般国民が思い描くのは、「有効利用」であることがほとんどだ。だが「夢の新物質」が「悪夢の新物質」になり得ることを、人間は銘記しなければならない。人体に与える悪影響など、過去にも例がある。やはり「夢の新物質」と謳われたが、今や全面的に使用が禁止されているPCBなどがそうだ。今度の特異なこの化合物、人体とは相性が悪いだろうと思慮される。


(2022.05.20)
 







今日の5句



力なく
枯れたるナズナ
毒盛られ



ナズナは美味しいスープに出来る野草ですが、除草剤には勝てません。

 (2022.05.08)



若いころ
だけは可愛い
栴檀




 (2022.05.10)



麦秋
麦一斉に
黄化せり



麦秋(ばくしゅう)は、春に麦が熟する候。

 (2022.05.10)



キクの苗
今一(はじめ)から
育てけり



 (2022.05.10)



子どもネギ
整列させて
育つ待つ




 (2022.05.10)