「♪戦(いくさ)がやってきた」:何故アメリカ軍と言わない?
表題「♪戦(いくさ)がやってきた」は「さとうきび畑」(森山良子)の一節ですが、私にはよく解らないです。戦とは「人間」なのでしょうか?常識的には、戦争は人間や物ではなく、「事柄」「事態」なのではないでしょうか?まあ、これを擬人化して「戦争の神」「死に神」とすれば、戦争は人格を持つでしょうが、このブログではその種の解釈はしないことにします。
そのように戦争を扱ったアニメ映画作品もあります。「クロがいた夏」。これは「はだしのゲン」の作者:中沢啓治さんがプロデュースした佳作です。原爆から飼い主の女の子を救った子猫:クロのお話でしたが、このアニメ映画の終わりに「戦争のバカ野郎!」と叫ぶシーンが出てきます。原爆を落とされた広島、そしてカケガエのない子猫:クロの命を奪ったのは戦争(という事態)ではなく、アメリカ軍なのですから、この場合「アメリカのバカ野郎!」と叫ぶのが妥当なのだと思うのです。
一昨年、中ヒットしたアニメ映画「この世界の片隅に」では、もちょっと進んで、アメリカ軍の飛行機(爆撃機)について「敵機」と呼んでいます。「アメリカ軍機」と呼ぶのにもう一息ですが、敵国を明示していません。
https://iirei.hatenablog.com/entry/20181027/1540572077
:「この世界の片隅に」:戦争が人を成長させる??
このように、アメリカを戦争に置き換える心性はどこから来たのでしょうか?ある方の説として、日本の下層階級は、国防・軍事についてよく知らされておらず、「アメリカが」と言われても、よく理解できなかったのだろう、と言うのですね。
この見解については、異論があります。『ミカドの肖像』(猪瀬直樹)によると、右翼の男が農夫2人の会話を小耳に挟んだお話として、「いよいよアメリカと戦争だな。」「やればいいさね。もし勝ったら一杯ふんだくる。負けたって、アメリカはロシアほど酷いことはするまい。」「日本は、アメリカの属州になったら良いではないか。」・・・と言っていたというのですね。
知人の説を覆すほど、この「下層階級」の2人は、対アメリカ戦に冷静な視点を持っていたことに驚きを禁じ得ません。庶民の視点は、これほど透徹していたのです。「鬼畜米英」というキャッチ・フレーズにしても(まあ、これは日本の上層部の造語なのでしょうが)、額面どおり受け止めて「国を憂う」といったような人たちばかりではなかったと考えられます。
ところで、日本にとってアメリカとはどんな国なのでしょう。帝国主義的膨張を続ける日本は、ある意味、アメリカにとって、「目障り」な新興国家でした。逆に言えば、アメリカは日本にとっても、「目障り」な先進国だったのでした。一触即発な両国・・・太平洋戦争は不可避な事態であったと言えると思います。
ただ、そのあと、日本が敗戦してからが問題だと思います。日本人はアメリカに対する敵愾心を失い、GHQの言いなりになりました。その長のマッカーサーが「日本人は精神年齢が13歳だ」といいように放言しても、卑屈で柔順になった日本人は、その侮辱的な言葉をも甘受したのでしょう。大物ぶっていた吉田茂も、結局はGHQには卑屈な態度を取りました。吉田の進める戦後復興は、つまりはアメリカを利する枠のなかで行われたものでした。その意味で、戦後生まれた芸術作品にも、このブログの劈頭に挙げたおかしな言葉使いを使うという風があるのだと思います。「名前を挙げるのさえ、恐れ多い」という自主規制なのですね。アメリカ様にはノータッチ。アンタッチャブル。
今日のひと言:アメリカは、その後も、日本に圧力を掛けてきました。だいたいアメリカ通商代表部から「命令」が降りるのですが、本来1本でよい「本四架橋」を3本も作ったのは、「内需を拡大せよ」(アメリカは日本との貿易摩擦でいらいらしたころです)という絶対服従を迫る「神の声」が下ったからです。今日本では、あのような馬鹿げた大工事を行ったツケもあり、首が回りません。
今回のブログは、「アメリカ→戦、戦争」の言いかえの奇妙さに思いを馳せて、その異常さを書いたもので、私はもう一度、(アメリカないしそのほかの国)と戦争をすべきだ、などと言っているのではありません。この辺、「第二次日露戦争」を口走った維新の丸山穂高衆議院議員とは違います。仮にロシアと日本が戦争したら、日本は北海道はもとより本州北半分を失うでしょう。
参考過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090322#1237699341
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20120424#1335262538
:GHQは何をしたのか、しなかったのか?
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070530#1319948325
:3つのルート
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今日の一品
@シイタケのアヒージョ
アヒージョはこれまでも作りましたが、シイタケは盲点で、作ったことがありませんでした。オリーブオイルをフライパンに敷き、刻みニンニクを軽く炒め、いしづきを取り半分に切ったシイタケを投入、塩、刻みトウガラシを入れて仕上げます。まずまずの味。
(2019.05.31)
@麦門冬(ばくもんどう)のホワイトリカー漬け
自宅に生えるリュウノヒゲ(またの名:ジャノヒゲ)(:キジカクシ科)の根かいを漬けたことがありますが、今回は漢方薬局から乾燥品を360円(30g)で買ってきて漬けました。味が良く、また喉の疾患に効くらしいです。麦門冬30gに、15gくらいの砂糖、3倍の量のホワイトリカー(35度)。
Wikiでは「バクモンドウ(麦門冬)は、ジャノヒゲの根である。所々太く、紡錘形である。
日本薬局方に収録の生薬である。鎮咳・強壮などに用いる。麦門冬湯(ばくもんどうとう)、清肺湯(せいはいとう)などの漢方方剤に使われる。 」・・・とされます。
(2019.05.31)
@大根スプラウトとシラスの和え物
近いうちに自家製スプラウトについてアップしますが、今回は中国野菜(江都青長大根)をスプラウトにし、シラス干しと和えました。ピリっとくる辛みが美味しい。
(2019.06.02)
@鶏モモ肉の味噌ソース掛け
弟作。茹でたモモ肉に、「味噌、砂糖、すりごま、バター」の合わせソースを掛けました。味噌とバターが効いています。
(2019.06.02)
今日の四句
もっとも、徳川家の家紋は、アオイ科ではなくウマノスズクサ科の植物がモデルです。
(2019.05.30)
今年また
畑返えせる
農夫あり
地主から畑を借りて耕作に勤しむ人たち。高齢のため止める人が多く、淋しいです。
(2019.05.31)
用水路
流すは他に
人や花
ちょっとこの写真に不吉さを感じました。流されていたのは「クサノオウ」。
(2019.06.01)
麦と稲
ツートンカラー
期せずして
麦を刈り取るのが早い農家と、遅い農家で、麦と稲が混在するのです。
(2019.06.02)