虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

瓢箪(ひょうたん)の楽しみ:その実用性と装飾性

瓢箪は、なかなかにユニークなオブジェです。まるでグラマーな女性みたいに腰がくびれていること、これは装飾に使うことが大いに期待できますし、昔から酒を入れる容器としての実用性も大きいですね。この実を成らせる植物は、ウリ科に属し、干瓢(かんぴょう)=夕顔と近縁なものでありますが、残念ながら瓢箪の果肉自体は有毒なので(ククルビタシン)食べることは出来ません。また、瓢箪には大小さまざまな大きさになる品種が数多くあり、下は数センチから上は1メートル超まで様々です。そうそう、楽器のギロも瓢箪からつくられます。


瓢箪と言って、連想されるのは、まず、豊臣秀吉の馬印・千成瓢箪ですね。下記の記事のように、多くの瓢箪を自己顕示的に連ね、権勢欲が強そうな代物に思えます。あるいは、宇宙からの侵略者の頭部のようにも見えます。なお、秀吉好きの大阪府民は、県の旗として、千成瓢箪を使っています。

http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO004352/20131227-OYT8T00876.html


また、「瓢鮎図」(ひょうねんず)という水墨画があります。これは室町時代、禅の公案の一つ「皮膚が」ヌメヌメの鯰(なまず)を瓢箪で捕まえられるか?・・・といった思考実験を禅の修行者に問うたのですね。この水墨画如拙の作品で、国宝と認定されています。ここに、鮎(あゆ)という字が鯰の換わりに当てられているのは、その当時は、漢字の当て方が今とは違っていたのでありうると思われます。


 (wiki)瓢鮎図


それから、「瓢箪から駒」という慣用句があります。これは、駒(つまりは馬)が小さな瓢箪の中から飛び出してくるとして、その際の「驚き」を表現するのに適しているようです。

瓢箪から駒
1.意外な所から意外な物が出ること。主に、冗談半分で言い出したことが事実となってしまう場合などに使う。
 ★「駒」は、馬のこと。源典では、白いロバのこと。
 類:●灰吹きから蛇が出る●嘘から出た実(まこと)
2.打ち消しの形を伴って、道理上絶対に起こり得ないこと。
出典:「東遊記−張果騎驢應召」「常乗一白驢、毎倒騎之、日行数百里、休息之時、雖折畳之、其厚如紙、蔵於箱巾中」
出典:東遊記(とうゆうき) 小説。『四遊記』の一つ。中国・明代。呉元秦。二巻五十六回。八仙の起源を述べたもの。別名「上洞八仙伝」、または「八仙出処東遊記伝」。

http://www.geocities.jp/tomomi965/kotowaza10/10-50-10.html  より。




瓢箪から何物かが飛び出すように、逆に瓢箪がなにかを吸い込む話もありますね。西遊記孫悟空が、金角・銀角の兄弟に、名前を呼ばれ、ついつい答えてしまったので、瓢箪に吸い込まれ、出られなくなるという話が、よく記憶に残っています。


この瓢箪の話とは、ちょっと違うかも知れませんが、孫悟空が恐るべき容器に閉じ込められた際のお話を読んだことがあります。(中島敦の小説で、だったか)それは、孫悟空が巨大化すれは、その容器も同じく巨大化し、小さくなれば容器も小さくなり・・・と言った具合に、どんな変身をしても、孫悟空は容器から脱出できないのです。このお話は、もしかして、男女のSEXのありようを書いたかなりエロティックなものではないか、と考えています。



今日のひと言:現物の瓢箪を使ってオブジェを作るというワークショップに参加して、おおむね多数派は雪だるまを作る感じでしたが、私は瓢箪と鯰の「瓢鮎図」を書き上げ、案外好評でした。



なお、冒頭で書いた瓢箪の女性を彷彿させる装飾的形状について補足すると、コカコーラの胴がくびれた容器も、そのくびれがあったことで爆発的に売れたとのことですし、ギターにもくびれがありますね。そのためか、福山雅治さんは、ギターを買うと、ひと晩ギターを抱えて寝てギターと愛を語りあうそうです。



ひょっこりひょうたん島

ひょっこりひょうたん島

「瓢鮎図」の謎―国宝再読ひょうたんなまずをめぐって (ウェッジ選書)

「瓢鮎図」の謎―国宝再読ひょうたんなまずをめぐって (ウェッジ選書)




今日の一品


雲南百薬と筍穂先の土佐煮和え



筍穂先の土佐煮と、雲南百薬を和えてみました。あと雲南百薬が収穫できるのは1、2回かな。

 (2016.10.16)



@アジのマリネ



弟作。以前私が作った「ウルメイワシのマリネ」と同工異曲です。

(2016.10.16)
 


@レンコンのゆかり炒め



弟作。蓮根をゴマ油で炒め、終りころに「ゆかり:赤紫蘇のフリカケ」・カツオ節を投入しました。
甘くマイルドな風味。

 (2016.10.19)



@エビと野菜の天ぷら弁当



勤務先の近くの弁当屋で週一回くらいサラメシを買っています。今回は表題の弁当を買いました。具はエビ、ちくわ、ピーマン、カボチャ、かき揚げで400円なり。案外安いです。ただ出勤日の半分強は、自分で弁当を作ります。

 (2016.10.20)





今日の詩(2編)


@住友のバッジ



 ( wiki



私が電車に乗ってみると、
向かいの座席に三つ揃えのスーツを着た
人品卑しからぬ紳士が座っていた。


ちょっと左の胸元を見るに
「住友」のバッジをしていた!?
三大財閥の一翼、住友のバッジなんて初めて見る。


この人はどんな用でこの鄙びた電車に乗っているのか
それは解らぬ。
ただ左手に「濃い麦茶」のペットボトルを持ち


砕けた人柄なのかな、と思わせる。
改めてスーツを見ると、くすんだ青灰色で統一感がある。
この人、ターミナル駅で下車していった。
 
 (2016.10.15)




@無題



一面の黄色
一面の黄色

・・・・・・


セイタカアワダチソウ
花盛り。


それなりに
鮮烈な色彩。

 (2016.10.17)