サン=テグジュペリの小説、「星の王子様」は、超有名な作品ですが、実際に読んだ人は少ないのではないか、と思います。(女性のほうが男性より読者が多い気がします。なぜならこの作品は「童話」であるという偏見があるから。)
「星の王子様」は、サン=テグジュペリ・一流の寓話であり、飛行機乗りとしての経験に裏打ちされたものだと思います。童話として放置するのは勿体ないですね。なお、「星の王子様」という邦題は内藤濯(ないとう・あろう)氏がつけた斬新なものですが、原題は「Le petit prince 」・・・「ちいさな王子」です。1943年、彼が43歳のときに発表されました。そして翌年、彼は飛行機事故で44歳で亡くなります。早い死とは言え、円熟した作風を「星の王子様」は体現していたと思います。
一方、「パパラギ」とは太平洋に浮かぶサモアの島々の間で「白人」を指す言葉でした。ヨーロッパ人の文明を目の当たりに見た、酋長:ツイアビが、いかに白人たちが文明に冒され、変な行為をしているかを批判・演説する体裁の本になっています。原文のドイツ語訳:エーリッヒ・ショイルマン、その日本語訳:岡崎照男(立風書房:1981年初版)
「星の王子様」の場合、王子が故郷の星から地球に至る前、いろいろな星を訪問しますが、一人の国民しかいない孤独な王様の星とか、うぬぼれ屋の住む星とか、なんでも数字に置き換えるビジネスマンの星とか・・・とくにこのビジネスマンの発言が面白いです。
もちろん、ダイヤモンドをみつけたとする。だれのものでもないなら、それはきみのものだ。だれのものでもない島を見つけたら、それはきみのもの。人より先になにかを思いついたなら、特許をとればいい。そうすれば、それはきみのものだ。わたしは星を所有している。なにしろ、星を所有しようと思った人間は、わたしの前にはだれもいなかったからさ。
光文社版 「ちいさな王子」 72P
・・・このような現代物質文明に毒された現代人を痛烈に批判しているように思います。(これらのエピソードは、「星の王子様」の前半にでてきます。)その意味では、「星の王子様」から半世紀ちかくあとになって刊行された「パパラギ」も同じようなテイストを醸しだします。特に、物、時間(時計)にまつわる考察が優れています。
そう、彼は日々の新しい一日を、がっちり決めた計画で小さく分けて粉々にすることで、神と神の大きな知恵を涜してしまう。柔らかいヤシの実をナタでみじんに切るのとまったく同じように、彼は一日を切り刻む。切り刻まれた部分には、名前がついている。秒、分、時。秒は分よりも短く、分は時より短い。すべてが集って時間になる。分が六十と、それよりずっとたくさんの秒が集って一時間となる。
「パパラギ」 60P
「時間」に縛られる人の姿に異常さを見出すツイアビでした。
今日のひと言:両作品とも、文明批評の書として優れていると思います。文明の最前線にいる人と、文明の洗礼を受けたばかりの人とが、似たような見解に至るのが面白いです。「数字は人を幸せにしない」とは、計量経済学の大家、故・宇沢弘文さんの言葉です。
そのテイストからして、
「星の王子様」=(「不思議の国のアリス」+「パパラギ」)÷2
のように思います。
なお、本当に「パパラギ」という作品が、サモアの酋長・ツイアビの演説集かどうか、定かではありません。
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パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集 (SB文庫)
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今日の一品
@「マツタケの味お吸い物」の混ぜご飯
永谷園のロングセラー商品で、混ぜご飯にしてみました。この商品、スパゲティ・ソースなどにも使えるとされるように「汎用性」のあるもののようです。そこで今回は炊飯時に一人一袋を鍋にいて、ブナシメジも足して炊飯しました。いくぶんか塩辛かったですが、美味しく食べられました。
(2016.10.22)
@TSG(卵敷きご飯)
卵掛けご飯がお好きな人も多いでしょう。頭文字で略してTKG。ただこの食べ方の場合は、どうしても白身のぬめぬめ感が気になります。そこで、お茶椀に水を適量入れて、茶碗を温めて水は捨てるか、卵と醤油を混ぜて入れて電子レンジに40秒弱掛けます。その処置のどちらかをした茶碗にご飯を盛り、かき混ぜます。美味しいTSGの出来上がり。余熱で白身を硬くするのです。
(2016.10・23)
@羅帝の収穫
サカタのタネから購入した激辛唐辛子を収穫しました。今年のナス科植物は栽培したのがこれだけでしたが、アブラムシもカメムシも付かず、順調に生育しました。
(2016.10.23)
@手羽元のタイム風味
弟作。アイディアは私。ハーブのタイムを使いたいので、塩コショウした手羽元をフライパン、電子レンジで加熱したあと、タイムをまぶします。男性的なタイムの香りが活きます。タイムは小灌木、サイモン&ガーファンクルの「スカボロ・フェアー」で「♪パセリ、セージ、ローズマリー、&タイム」と歌われていますね。
(2016.10.24)
@レタスとミニトマトのポン酢和え
茹でて減量したレタスにミニトマトを配し、ポン酢で和えた簡単料理。レタスは茹でてもシャキシャキ感は残ります。茹でるに際し、レタスの葉は手でちぎります。
(2016.10.26)
今日の詩
@チャリを漕ぐ
リユックの中に
木の苗が
ああ
君も
緑を守るのか
犬の散歩をしていた際、ここで書いた若者を目撃しました。
(2016.10.22)
今日の二句
夕陽浴び
落ちたマルメロ
芳しく
(2016.10.24)
天高く
燃ゆるか籾(もみ)の
ピラミッド
(2016.10.25)