フロンガスの脅威は去ったのか?
炭素原子(C)に直接塩素原子(Cl)が結合した形の化合物で、自然界にはほとんど存在しない。唯一、微生物のある種のものが有機塩素化合物をつくってしまったという事例はあるが、この生物は「抗生物質として」再利用しているのである。それほど毒性が強いのが有機塩素化合物である。有名な毒物として、PCB、トリハロメタン、ダイオキシン、DDTなどがある。
これは、私が編集した「有機塩素化合物」に関する「はてなキーワード」です。有機塩素化合物は塩素(Cl)だけでなく、ハロゲン元素にも拡張して、フッ素(F)、臭素(Br)も反応に寄与するとして、「有機ハロゲン化合物」と拡張できます。これらの化合物は大体人体に有害です。
フロン(フロンガス)も、有機塩素化合物ないし有機ハロゲン化合物の一種です。この化合物のある種のものが、オゾン層を破壊して、有害な紫外線が地上に降り注ぎ、皮膚がん、白内障を起すという危惧があります。さらには、紫外線は、人間以外のすべての動植物にも甚大な被害をもたらし、ある意味地球温暖化よりタチの悪い代物です。
フロン全般の理解の助けとして以下のHPが参考になります。
http://homepage.mac.com/hary/a-fron.html :フロンについて(Haryのページ)
一口にフロンといっても、その種類は広汎で、用途もいろいろあります。今、とくに問題と思われるのは、いわゆるクローズド・システムで、ICチップの洗浄用に「フロン」を使う作業が引き続いて行われていることでしょう。ここで使われるフロンはオゾン層にとって有害な種類のものです。・・・クローズド・システムであるという説明には、眉唾で構えるのがいいと思います。たとえば、むかしの公害問題「カネミ油症事件」の場合、食材がながれるライン(管)に、PCBがながれるライン(管)から、PCBが流れ込み、食材が汚染されたのです。「クローズド・システム」と言って、さも安全な風に喧伝するのは、ふざけた行為です。
参考HP http://www1.ocn.ne.jp/~k-reiki/5furon.html :北見冷機工業のHP
ここで問題にされているのはHCFC−R22というフロンであり、水素(H)、塩素(Cl)、フッ素(F)が炭素(C)原子に結合された化合物です。この化合物は今年年内に生産中止というのが日本の方針らしいですが、問題は中国です。中国はこれまで、フロンを沢山製造してきましたが、HCFC−R22のような便利な冷媒、かつ洗浄剤を素直に使うのを止めるでしょうか?この国の存在が、地球の全生物の脅威になるとも考えられる気がするのですがね、私は。フロンは眼に見えないから、環境中に排出されても気がつかないだろうし、クローズド・システムにしても、「なぜクローズだかわからん」バカな中国人も多いでしょうね。あるいは確信犯的にフロンを排出するとか。オゾン層破壊については、これ以上進まないとの希望的観測を学会がしていると思うのです。
なお、従来から使われていたCFC-R12は、「塩素―フッ素―炭素」の化合物で、オゾン層破壊効果が大きく、これは全廃されている様子です。HCFC-R22は「水素―塩素―フッ素―炭素」の化合物、これはオゾン層破壊係数(ODP)がCFC-R12より格段に低いです。それからHFC 134a「水素―フッ素―炭素」 は、オゾン層破壊係数が0であり、これにフロンは順次置き換わっていくものだと思われます。また、フロンには温室効果(温暖化係数:GWP)もあり、環境に対する負荷という点ではHFC 134aが最も優れているようです。
今日のひと言:フロンの構成物質に臭素(Br)を含むと、オゾン層破壊効果は、一段と強くなるそうです。私は有機ハロゲン化合物の「トリハロメタン」が卒論のテーマでしたが、トリハロメタンの毒性について、やはり臭素(Br)を含むトリハロメタンに毒性が強いという論文を読んだことがあります。
(注:トリハロメタンとは、メタン(CH4)の4つの結合の手のうち、3つがハロゲン原子と結合した、比較的簡単な化合物です。塩素3個なら(CHCl3)でクロロホルムになります。臭素が一つはいるとCHCl2Br となります。)
なお、2011年4月6日の朝日新聞によれば、オゾン層破壊はさらに進んでいて、北極圏のオゾン層のうち、40%以上が破壊されたとしています。やはり中国の協定無視があるのか、と思われてなりません。
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今日の一句
立夏なり
吾桑採り
彼クレソン採り
私の近くの川沿いで桑の葉が採れ、川ではクレソンが採れます。クレソンはフランス料理の付け合せとして利用でき、桑の葉は天ぷら、茶として利用できます。私が桑の葉を採取していたとき、川のなかではクレソン採りをしている人たちがいました。
(2011.05.08)
もう一句
ギボウシや
奥から三株
お目見えし
ギボウシはユリ科の山菜。我が家ではここ3年ほど育てています。半日蔭で湿ったところを好むので、適切な環境で栽培しています。擬宝珠、またウルイといいます。淡泊なお浸しにできます。いつもは手前から芽がでるのに、今年は逆になりました。
(2011.05.08)
また一句
雨ふりて
嬉しげに鳴く
かわずかな
(2011.05.10)