虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

人名用漢字(人名に使える漢字):良いのか?こんな漢字を使って!

人名用漢字(人名に使える漢字):良いのか?こんな漢字を使って!

女性の名前で「りさ」と読む漢字2文字は結構あります。「理沙」「理紗」「理佐」「里沙」「梨沙」などなど、沢山あります。ではと、「利差」という女性の漢字があるか、考えてみますと、「まずありそうにはありません」。「利」は「利益」などの儲け話を連想させますし、「差」という減法の意味の漢字を、人名で見たことはないのです。そんな訳で、この「利・差」という漢字が組み合わされた名前は使われないのだと思います。


では、この場合を拡張し、「和・差・積・商」という四則演算の結果についてどうなのかと考えて見ますに、「和」は「和子:かずこ」「秀和:ひでかず」など、男女ともに多くの使用例があります。「差」は上に書いた通り。「積」にはボクサーの「長谷川穂積:はせがわ・ほづみ」などの例があり、「商」については、日本人の名前としてはこれもあまりないようです(中国の詩人に「李商隠:りしょういん」という使用例がありますが)。演算の結果がもとの数より小さくなる「差」や「商」は、人名としては「不吉だ」と忌避されるのでしょう。


https://iirei.hatenablog.com/entry/20170710/1499687735

 :李商隠晩唐の大詩人〜打ちひしがれた少年が覗く青玉


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李商隠wiki


このように考え、常用漢字(1945字)にプラスして、人名に使うのを許容された一群の漢字に「人名用漢字」がありますので、新追加された488字と旧来の290字、異体字205字、その一覧表を紐解いて、「こんな漢字が人名に使われるの?」という例を挙げて行こうと思います。全部の漢字を合わせて2928字が人名に使えます。(参考にしたのは『現代漢語例解辞典』:小学館の付録「新人名用漢字一覧」:2005年現在 です。)


@儲  チョ(音)  もうける(訓)  そえ(人名)  以下の例も同様

  さっそく、儲けるという意味の漢字が出てきました。どんなもんだか。(新追加)


@冥   メイ  くらい(暗い) 

   冥王プルートー。危ないし、蒙昧な人であると連想できる?猛毒プルトニウムも連想される。(新追加)


@嘩   カ

  喧嘩(けんか)の嘩。(新追加)


@尤  ユウ   とが、咎める、もっとも   もつ・もと

   罪状を意味してどうする。(新追加)


@掠  リャク  かすめる  くら

   奪い去ること。良いのか?こんな漢字。(新追加)


@烏  オ・ウ  からす・いずくんぞ・なんぞ

   黒い鳥の「不吉ともイメージされる」カラス。(新追加)


@遁  トン・シュン  のがれる

   逃げるという意味の漢字。(新追加)



今日のひと言:いくつか、問題があると思われる人名用漢字をピックアップしてみましたが、それが全部「新追加」された漢字ばかりでした!この漢字たちは、どういった基準で選ばれたのか不思議です。旧来の人名用漢字には、さほど問題のあるものが存在するとは思えませんでした。例えばほめたたえるという意味の「頌:ショウ」。


また、以前、生まれた男の子に「悪魔」と名付けた夫婦がいました。その後変更したらしいですが、「悪」という字は、しっかり人名用漢字に入っているようですし、「魔」は常用漢字に入っているので使えないわけではないようです。確かに「みどり魔子」と言ったような芸名は存在しますが、一般人でも使えるのでしょう。ただし、「悪魔」のように組み合わせると、社会通念上問題が生じる場合は、戸籍掛りの役人から、待ったがかかるのです。



新しい常用漢字と人名用漢字 漢字制限の歴史

新しい常用漢字と人名用漢字 漢字制限の歴史

人名用漢字の変遷 子の名に使える漢字の全履歴

人名用漢字の変遷 子の名に使える漢字の全履歴

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三省堂 常用漢字辞典

三省堂 常用漢字辞典





今日の一品


@皮の焼き鳥


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弟作。切り分けた皮を砂糖、醤油、コチュジャンを合わせたソースに3時間ほど漬け、オーブントースターで180度、25分焼きました。いやー、皮は美味しい。

 (2019.06.29)



@カラスカレイのムニエル


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カラスカレイの切り身に、塩、胡椒して2時間置き、小麦粉をまぶしてバターで炒めます。仕上げに電子レンジで1分半(500W)。←切り身が厚かったので念のため。

 (2019.06.30)



@深川皿


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弟作。むき身のアサリ、ネギ、卵、クコの実を醤油、コンブ汁(ヤマサ)で煮ました。ショウガが隠し味。

 (2019.07.02)





今日の詩


@私と酒


子供のころ試しに酒を飲まされた。
日本酒やビール。
こんな不味いものはない、と思った。


だが大学生になりいちはやくビール好きになった。
友人のススメでワイン好きに。
また別の友人のススメで日本酒好きに。
「菊水」がワインのようにフルーティー


その後またもや友人たちの影響で焼酎好きに。
さらにはまたしてもや友人の影響で中国酒好きに。
竹葉青酒:チューエイチンチュウ」の美味。


さて、それまでの傾向と違ったのが
フランスのリキュール「シャルトリューズ」。
これはハーブの勉強をしつつ出会った言葉だった。
友人の影響から脱して自分で探し当てたので価値がある。



過去ログ

https://iirei.hatenablog.com/entry/20170512/1494572724

 :これまで私が飲んで来た酒:芳醇な一滴(主にシャルトリューズ


 (2019.06.30)





今日の五句


重き香の
シルクジャスミン
目を覚ます


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シルクジャスミンは、ミカン科の香木。花がやや重い香りを放ちます。

 (2019.06.29)



保育園
門扉の前に
ヘンルウダ


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ヘンルウダは、ミカン科の香りの強いハーブ。たぶんネコ除けなのでしょう。

 (2019.06.30)



朝散歩
あいさつ返さぬ
翁(おきな)たち


朝すれ違う人に挨拶しても、男性の老人は返さぬ人が多いです。

 (2019.07.01)



列をなし
噂しけるか
小アリかな


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 (2019,07.03)



ベニバナの
黄花・赤花
競い咲く


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紅花からは、赤と黄の染料が取れます。

 (2019.07.04)

『豆腐百珍』と『蒟蒻百珍:こんにゃくひゃくちん』~百珍本の世界

豆腐百珍』と『蒟蒻百珍:こんにゃくひゃくちん』~百珍本の世界


世に名高い『豆腐百珍』は、天明2年(1782年)出版された豆腐料理100種の料理本。以下の引用はwikipedia豆腐百珍)より。



豆腐百珍では、豆腐料理を以下の6段階に分類・評価している。


@尋常品:どこの家庭でも常に料理するもの。木の芽田楽、飛竜頭など26品。

@通品:調理法が容易かつ一般に知られているもの。料理法は書くまでもないとして、品名だけが列挙されている。やっこ豆腐、焼き豆腐など10品。

@佳品:風味が尋常品にやや優れ、見た目の形のきれいな料理の類。なじみ豆腐、今出川豆腐など20品。

@奇品:ひときわ変わったもので、人の意表をついた料理。蜆もどき、玲瓏豆腐など19品。

@妙品:少し奇品に優るもの。形、味ともに備わったもの。光悦豆腐、阿漕豆腐など18品。

@絶品:さらに妙品に優るもの。ただ珍しさ、盛りつけのきれいさにとらわれることなく、ひたすら豆腐の持ち味を知り得るもの。湯やっこ、鞍馬豆腐など7品。


この本が大成功を収めたあと、蒟蒻(こんにゃく)、甘藷(サツマイモ)、鯛などでも100種の料理法を集めた本が相次ぎ発刊されました。実際どんな料理だったのでしょう?


豆腐の基本的な製法は wiki(とうふ)の記載では



豆腐(とうふ)は、大豆の搾り汁(豆乳)を凝固剤(にがり、その他)によって固めた加工食品である。

東アジアと東南アジアの広範な地域で古くから食されている大豆加工食品であり、とりわけ中国本土(奥地を含む)、日本、朝鮮半島、台湾、ベトナムカンボジア、タイ、ミャンマーインドネシアなどでは日常的に食されている。加工法や調理法は各国ごとに異なるが、このうち日本の豆腐は白く柔らかい食感を持つ「日本独特の食品」として発達した。


・・・となっています。一方、wiki コンニャクの製法は

通常、コンニャクと呼ばれる食品はコンニャクイモに含まれるコンニャクマンナンという多糖を糊化し、アルカリ液(通常は水酸化カルシウム水溶液が用いられる。かつては灰を水で溶いた汁を使った)を用いて凝固させたもので、ぷにぷにとした独特の食感を持つ。一旦凝固させたコンニャクは水溶性を持たず、強い弾力を示す。

アルカリによって凝固するのですね。


どちらも色々な意味で、ヘルシーな食品です。ここで、具体的に料理のレシピを取り上げ、実際に作ってみようと思います。種本は『翻刻 江戸時代料理本集成 第五巻』(吉井始子:編  臨川書店)です。


@礫(つぶて)でんがく


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とうふを八分方(よほう)あつさ四五分に切ひと串に三つづつさし  雉子やき田楽の如く狐皮色に炙(やき)串ぬきて其のまま楽焼の蓋(ふた)茶碗に入れ辛子(からし)酢みそかけ罌粟(けし)ふる也

21P


これは最上級の「絶品」の一つです。2019.05.02に作ってみましたが、これは難しい。串に刺した豆腐がオーブントースターのなかで崩れて落ちます。仕方ないので網の上に乗せて焼きました。網に引っ付く、引っ付く。出来上がりはとても見てくれが悪く、失敗の部類でしょう。味はまずまず、豆腐が締まり、食感が重厚になり、それがタレと調和していたようです。へたくそな料理でしたが、絶品の片鱗は見えたようです。なお、1分=3.03mm(ミリ)。


@昆布巻


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八まんごんにゃくを細長くきり昆布または荒和布(あらめ)のるいにてまき酒醤油にて煮る

320P


『蒟蒻百珍』の場合、料理に「階級差」はありません。これは2019.04.14に作ってみました。昆布から蒟蒻がはみ出しやすく、成形に苦労しました。味はまずまず。



今日のひと言:今の時代ならありふれた食材である豆腐、蒟蒻になんと真摯に取り組んでいることか、現代人も見習う点があると思います。料理を楽しんで作り食べるという姿勢が良いです。なかには終日調理に時間を費やす、という料理もあるのです。



江戸時代料理本集成 第5巻―翻刻

江戸時代料理本集成 第5巻―翻刻

豆腐百珍 (とんぼの本)

豆腐百珍 (とんぼの本)



今日の一品


@ナスの三五八漬け


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ナスを縦に半分に切り、筋状に皮を剥き、床に漬け込むこと5時間弱で取り出し、切り分けました。床は数年前から作ってあり、冷蔵庫で保存しています。塩気が強いので、カビは生えません。

この漬物についてwikiから拾ってきますと


「三五八漬け(さごはちづけ)とは福島県山形県秋田県の郷土料理で、麹で漬けた漬物のこと。名前の由来は漬床に塩、米麹、米をそれぞれ容量で3:5:8の割合いで使うことからである。」

 (2019.06.23)


子持はたはた 三五八漬け

子持はたはた 三五八漬け



@ベビーコーンのコチュジャン炒め


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中華料理の材料の一つとして使われることが多いベビーコーン(若いトウモロコシの穂)を塩、コチュジャンで炒めました。野趣あふれる?

 (2019.06.27)





今日の詩


びじゅチューンソネット


源頼朝像↓


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源頼朝の似せ絵(肖像画)は
国宝である。
なにやら描かれた衣服が
折り紙に見えたのか


色色とその衣服を折っていたのが
面白かった。頼朝が自分の体(折り紙)で
折り鶴を折ってみたり
箱を折ってみたり。


折る前のぺらぺらな折り紙で
凧を作って頼朝自身を飛ばしてみたり。
ヘタな歌に乗せて奇想天外なデフォルメ。


いやー、笑った、笑った。パクパク。
この番組はNHKEテレで夜
7:50-7:55放送のミニ番組。

 
https://www.youtube.com/watch?v=IXZaMG1NVKc

 :おりがみのよりとも(短編アニメ) 作者:びじゅチューン

 (2019.06.26)





今日の三句


放射状
コニシキソウ
艶姿


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これ、毒草です。

 (2019.06.23)



大振りの
稲に見えるや
マコモタケ


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マコモタケ(真菰茸)はイネ科の草で、秋に菌が寄生して幹が白く膨れます。炒めて食べると美味。

 (2019.06.25)



緑色
こんなに違う
イネとネギ


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 (2019.06.26)