李商隠:晩唐の大詩人〜打ちひしがれた少年が覗く青玉
以前中国詩の本を読んでいた時(どの本だったか忘れましたが)、「この詩良い!!」と評価していき、「この詩も良い!!」という乗りで、もっとも高評価だったのは、杜甫でも李白でも白楽天でもなく、李商隠(りしょういん)でした。そんな彼の詩を一作挙げると
晩唐の詩人。博覧強記で知られ、恋愛詩に新境地を開いた。
無題
昨夜星辰昨夜風
書楼西畔桂堂東
身無綵鳳雙飛翼
心有霊犀一点通
隔座送鈎春酒暖
分曹射覆蝋燈紅
嗟余聴鼓応官去
走馬蘭台類転蓬
(上の詩の概略)私はあるとき宴席で、素敵な女性に出会った。二人のみでかわされるコミュニケーションがあった。一本の糸のような。ああ、でも私は役人、転がり行く「転蓬」のように去っていかなければならない・・・(なお、転蓬は普通の蓬ではなく、ねこそぎ転がっていく別種の植物である。)
なお、彼の読書法は独特で、本をあちこちに置いて読むというものだったので、獺(かわうそ)が獲物をあちこちに置くのとよく似ていたということで、このような読書法を「獺祭(だっさい)」と呼ぶようになった。
引用元は、私が作成した「はてなキーワード」。(出典:中国詩人選集15「李商隠」)
Wikiから概略を引いてくると
李商隠(り しょういん、812年(元和7年) - 858年(大中12年)。ただし、生年は813年の説あり)は、晩唐の官僚政治家で、時代を代表する漢詩人。字は義山、号は玉谿生。また獺祭魚と呼ばれる。懐州河内(現河南省沁陽市)の人。官僚としては不遇だったが、その妖艶で唯美的な詩風は高く評価されて多くの追随者を生み、北宋初期に一大流行を見る西崑体の祖となった。似たような婉約な詩風を特徴とする同時代の温庭筠と共に温李と呼ばれ、また杜牧と共に小李杜とも称される。
今日のひと言:李商隠は家庭的には不遇で、切ない思いを胸に押し頂き、役人のかたわら詩作をしていたのですね。高橋和巳(たかはしかずみ)さんの表現では李商隠のありさまについて「打ちひしがれた少年が覗く青玉」(確か)というのがあり、私もさもありなん、と思います。孤独な詩人が見つめる孤独な色――青い宝石。痛々しいです。筆者の私もおこがましいながら、同様な家庭内不和があり、それに悩まされたのです。その点、私には李商隠の心が解る気がします。こういった育ちの子の場合、女性の母性本能をくすぐるのですが、本人はその心的援助を拒絶する場合があると考えます。往々にして対女性的にアンビバレント(両価的)なのですから。
なお、「世界史こぼれ話」三浦一郎: 第一巻 43P に以下のような記述があります。
@剽窃せられて
宋の初めに李義山という詩人の詩が愛され、人々が争ってその詩をまねた。ある時さる俳優が、李義山に扮するのにぼろぼろの着物を着て出て来たので、人びとがいぶかって「その風はなんだね」ときくと「皆様があちらをひきむしり、こちらをひきむしなさるので、こんなになりました」
李義山 = 李商隠です。宋代初期、彼のようなスタイルの恋愛詩の人気が爆発したのですね。西崑体。でも彼の本質は理解されなかったろうと思います。
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今日の一品
@パクチー入り卵焼き
卵焼きに色々なハーブを入れて焼いて見る試みの一つ。これまでタイム、ヘンルーダ、タンジーを入れて見ましたが、どれも個性的な風味になりました。今回も成功みたいです。(焼き方は下手)
(2017.07.06)
@モロヘイヤのカツオ節炒め
栄養価の高いモロヘイヤ(シナノキ科)、通常茹でて晒し、お浸しにしますが、今回は含有するシュウ酸をマスキングするため、シュウ酸と結びつくカルシウムが豊富なカツオ節と炒めました。ゴマ油、醤油で味付け、七味唐辛子でシーズニング。
(2017.07.07)
@バイアムのお浸し
お浸し
熱帯原産のヒユ科の野菜。日本に生えるイヌビユ、アオゲイトウなどと同類。私が東京で有機野菜を扱う八百屋でアルバイトしていた頃(かれこれ30年ほど前)、夏の貴重な青物として、ツルムラサキと合わせて売っていましたが、ツルムラサキほどは普及しなかったようです。味は淡白で美味しいのですが。シュウ酸を含むので、茹でて15分ほど晒してから味付けします。今回は茎も柔らかかったので、合わせて料理しました。
(2017.07.09)
今日の詩
@竜真知子
竹内まりやが歌った名曲
「ドリーム・オブ・ユー 〜レモンライムの青い風〜」
作詞は竜真知子。
この名をカタカナ書きにすると
「リュウマチ」子。
にわかに怖い。
(2017.07.10)
拙ブログは、おおむね6日ごとにエントリーしています。