虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

マーガリンの危険性:シス脂肪酸とトランス脂肪酸の悪戯

「高価な」バターの代わりに生産・発売された「廉価な」マーガリン、実は案外危険だという事実をご存知ですか?それは、マーガリンの持つ「異性体」の製造過程にさかのぼります。異性体とは、単純に分子を構成する原子をつらつら並べただけでは同じで、区別できず、示性式構造式のレベルになって初めて区別できる分子同志を言います。


このマーガリンにはシス脂肪酸トランス脂肪酸が混在し、トランス脂肪酸に問題があるのです。この2つのようなものを幾何異性体と呼びます。

19世紀末に、ニッケル触媒を用いる水素添加反応が発見され、さらにこの反応により植物油が硬化すること(硬化油)が見出された。20世紀に入るとこの硬化植物油を用いる“合成”マーガリンの製造が始められた。第二次大戦中のアメリカでは牛脂等の逼迫から“合成”マーガリンが本格的に製造され、戦後はマーガリンといえば普通これを指すようになった。近年問題となっているトランス脂肪酸は上記の水素添加反応によるものである。

(中略)

水素添加によって作られる通常のマーガリンはトランス脂肪酸を7%前後、ファットスプレッドは5%前後含む。過度なトランス脂肪酸批判のためメーカーが使用を低減させたことにより、逆に飽和脂肪酸の使用量が増加しており、飽和脂肪酸での健康被害(肥満、動脈硬化など)が危惧されるという主張もある。2011年10月1日にデンマークでは、肥満の原因となる飽和脂肪酸の多い食品への課税を世界で初めて導入している。飽和脂肪酸も心臓疾患との関連からWHO/FAOはトランス脂肪酸の10倍の許容量である10%を上限とし、どちらも低減を目標とすることが示されている脂肪酸である。たとえば、子供の健康を考えた加工食品の指針をアメリカ政府関連機関が合同で提案したとき、以下のような基準が示された。


2011年4月28日、食品医薬品局 (FDA)、疾病対策センター (CDC)、アメリカ農務省 (USDA)、連邦取引委員会 (FTC) の4機関は、肥満増加の対策として子供に販売する飲食品の指針として、加工食品1食品あたりの上限を、飽和脂肪酸1グラム、トランス脂肪酸を0g、砂糖を13g、ナトリウムを210mgとした。


2015年6月16日、FDAは「加工食品中に使われる工業的に生産されたトランス脂肪酸の主原料である部分硬化油(PHO: Partially Hydrogenated Oil)が人間の食品に使われても安全だとする一般的な合意はない」として、3年の猶予期間の後、部分硬化油を加工食品に用いることを禁止する最終決定を行った。

Wikipedia より マーガリ


シス型とトランス型の違いは、エチレン分子の炭素同士の二重結合はそのままで、両脇の2つの基(R1、R2)との結合の手がエチレン分子の「同じ側」にあるのが「シス」、「別の側」にあるのが「トランス」です。トランスの場合、重合した分子が直線状になり、細胞膜の構成分子とならない点が問題です。エチレン分子の2つの炭素原子の二重結合(=)があるので、エチレンの軸は回転せず、「シス」「トランス」は固定されるのです。



そして何よりの問題点は、そのマーガリンの製法です。「ニッケル触媒を用いる水素添加反応が発見され、さらにこの反応により植物油が硬化すること(硬化油)が見出された。」
     (引用部から)


まさしく製法からして、工業製品を作る発想でマーガリンは作られていて、このような工程を経たものを食品であると考えること自体、異常です。エチレン分子からみれば、酸化反応でしょうか。


製造工程で触媒を必要とするような化学反応を伴う製品を、食品として扱うこと、ひいては食べることは止めた方がいいですね。繰り返せば、トランス脂肪酸は、体の細胞膜を作る際、それを阻害するとも言われます。鎖状(直線状)に伸び、平面的な脂肪酸の結合に悪影響があるのです。動脈硬化心筋梗塞の原因になるとも。


思えば、大学生のころ、聴講した生物の講義、講師がまさにこの問題・・・自然界にはトランス脂肪酸はほとんどない。でもそんなのを食べる文化があること・・・を憂慮するような話をされていました。



今日のひと言:マーガリンに類似の食品もあるので、要注意です。ファットスプレッドショートニングなども同じ工程で作られる「食品」ですから要注意です。



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今日の一品



@コク旨!胡麻坦坦豆乳湯とうふ



弟が買ってきた市販の「おぼろ豆腐」のようなもの。胡麻と坦坦香辛料のタレが美味しい。
相模屋の製品。

 (2017.01.10)



タタキゴボウ



正月の一品になることが多いですが、まあ、いつ食べたって良い。ゴボウの皮をカネダワシで剥き、10cmくらいに切りそろえ30分ほど水で晒し、熱湯でゆでて芯まで熱を通します。その後、まな板の上で麺棒でたたき、傷を付け、(味噌+ヤマサの昆布だし+砂糖+スリごま)で和えます。

 (2017.01.11)



@ある日の弁当



職場の近くの弁当屋の一食。唐揚げ、野菜天ぷら(カボチャ、ナス)、タコウインナー、しば漬け大根、それにご飯に散らしたヒジキで、360円なり。「ヒジキ弁当」。けっこう良心的な値段だと思います。

 (2017.01.12)



@節分豆ご飯



炊飯の30分くらい前に、鬼うち豆を容器に入れて炊き込みます。生の大豆より加熱時間を大幅に短くできます。

 (2017.01.13)





今日の詩(2編)



@タエコ、上向き


昨年から丸一年
肝機能障害で
苦しんできたタエコ


直近のデータではGPTが300位まで落ちた
一時は1000を振り切っていたので
改善のあとが見られる。


足元はまだおぼつかないが
まずは朗報。
朝晩、高価な薬を投与した甲斐があった。



(タエコは我が家の飼い犬。薬は4週間で1万円は飛びます。)

 (2017.01.10)




ボンネット
太陽光パネル付けたる
自動車だ
ユニークな外観。
発電した電気は
どう使うのだろう?

 (2017.01.13)




今日の二句


底冷えの
地より見上げる
雪赤城



(本日は、うすら寒い天気でした。)

 (2017.01.14)




赤い服
ほどなく着るさ
我だって



友人の一回り上の女性がくれた最近の葉書(私はこの人とかれこれ3、4年詠んだ句を文通しあっているのですが)で、古希になった句を頂き、返礼として詠んだのがこの句です。私の場合、「赤いちゃんちゃんこ」を着る還暦が近くなっているのです。

 (2017.01.18)