虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

福島県は2度凌辱(レイプ)された:只見川と水力発電

尾瀬沼に流れを始める只見川(ただみがわ)は豪雪地帯を流れることから、水量豊富で、利水、とくに発電に利用する動きが戦後間もなくありました。


1951年(昭和26年)に国土総合開発法に基づく只見特定地域総合開発計画の対象地域に指定された後は電源開発がすすみ、水力発電によりこのエネルギーを有効に活用できるようになった。それまでにも水力発電所の計画は東京電燈や日本発送電により行われていたが、電源開発東北電力等により田子倉より下流に相次いで只見ダム、滝ダム、本名ダム、上田ダム、宮下ダム、柳津ダム、片門ダムといった多数のダムが完成し、上流には田子倉ダム奥只見ダム、大鳥ダムという特に大きなダムが作られている。
ただしこれらのダムは何れも発電専用ダムであり、治水ダムや多目的ダムは全く建設されていない。かつて1960年代には支流の伊南川に大桃ダムという多目的ダムが建設省によって計画されてはいたが、立ち消えになっている。

只見川(wikipedia)より(抄)


そのうち、最大のダムである「奥只見ダム」について(wikipedia)より(抄):

奥只見ダム(おくただみダム)は、福島県南会津郡檜枝岐村新潟県魚沼市に跨る、一級河川阿賀野川水系只見川最上流部に建設されたダムである。


只見川はその包蔵水力の豊富さから当時電力不足が慢性的に続いていた首都圏への送電を図る為特定地域に指定され、「只見特定地域総合開発計画」事業の一環として「只見川電源開発事業」が動き出したのである。


奥只見発電所は、完成当初の認可出力は360,000kWと下流田子倉発電所 (380,000kW) に次ぎ一般水力発電所としては全国第2位の出力だった。発電した電力は送電線を通じ東京電力東北電力に送られている。 この360,000kWの電力は東芝製発電機3基により発電されていた。


だがその後も首都圏の電力需要は増え続ける一方であり、夏季ピーク時の電力消費量は供給量の限界近くに達する事が度々あり、放置すれば大停電という事態を招きかねなかった。この問題に対し電源開発は首都圏のピーク期電力の需給安定を図る為、奥只見発電所の増設を計画した。だがこれに対し、既に釣りのメッカであった奥只見湖が水質悪化したり周辺地域の自然が破壊されるとして、地元住民や釣り客等から懸念の声が上がった。


ダム近傍には電源開発によって入場観覧無料のPR施設である奥只見電力館が備えられ、ダム・発電所の役割や構造、歴史などをわかり易く学ぶ事が出来る。また奥只見発電所で実際に使われていた水車の部品なども展示している。


東京都を始めとする首都圏の電力需要に答えるために計画・建設・運用されてきた只見川水系とダム群。この構図は現在の首都圏に電力を供給するために作られた原発と、二重写しでありまして、特に首都圏にとって利用価値(!)のある福島県に割を食わせているのですね。このブログの題名のように、水力発電原子力発電と、2度も福島県は凌辱されているのです。この一方通行的な、首都圏が福島県片利共生的に寄生する姿は、寄生虫であるだけに醜いと思います。なお、なにかの施設をPRするというのは、ほとんどがその施設が問題を抱えているから、知らない人をミスリードするためになのだと考えます。



今日のひと言:1)今回引用したwikipedia の記述に出てきますが、この大ダムに取り付けられた発電機3基はあの福島第一原発の設計・施工・運営に深く関与した「東芝」であり、やはり歴史は繰り返す、というか、腐った企業はあくまで腐っていると。


2)戊辰戦争で敗北した会津藩が、福島から極寒の青森に移され、斗南藩になったのも考え合わせると、3回の凌辱があったとも言えますね。



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今日の一品


@アマランサス炊き込みご飯


アマランサスヒユ科の植物で、その小さな種を食料とします。栄養価はちょっとアカザ科のキヌアに劣る気がしますが、レベルの高い穀物のように思います。ただ、炊飯すると米に紛れて、入っているのかいないのか解らなくなるのが玉に傷ですね。


左アマランサス、右コメ


 (2016.10.09)



お好み焼


どんな具を入れてもよいお好み焼き。たまに作ります。今回は、小麦粉・卵・水のほか、キャベツ、長ネギ、クコの実、小エビ、キリイカなどを入れ、ゴマ油で焼きました。あとはカツオ節、アオサ、オタフクソース、マヨネーズを掛けました。



 (2016.10.10)



@鮭の三者三様焼き



弟作。塩を振った鮭に小麦粉をつけてオリーブオイル+ゴマ油でフライパンで炒め@パクチーソース@ケチャップ+オレガノ(ハーブ)@マヨネーズ+赤みその3つをそれぞれ一枚ずつ側面に塗り、完成。

 (2016.10.12)



@菊花甘酢和え



今年はスーパーに並ぶのが遅かった菊花。ジャパニーズ・エディブルフラワー(日本の・食べられる花)としてあまりに有名ですね。今回はガクを取り、軽く茹でて、梅サワー漬け、醤油で和えました。美味。

 (2016.10.14)





今日の一句


漆黒の
翼広げる
オキザリス



カタバミにはいろいろな葉・花のものがありますが、ここで取り上げたのは園芸品種として普通なものです。

 (2016.10.10)