長沢芦雪(長澤蘆雪:ながさわろせつ)は、1754−1799年、江戸中期の画家です。自由奔放な彼の筆致は、
伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう) http://d.hatena.ne.jp/iirei/20110505
伊藤若冲・・・万物斉同の視点
曾我蕭白(そが・しょうはく) http://d.hatena.ne.jp/iirei/20120628
曾我蕭白とピカソ〜美しくないアート
と並び、江戸期の「三大奇想画家」と呼ばれます。(辻惟雄さんの評)
彼は、当時画名の高かった円山応挙に入門し、最初は師の絵画を模写していましたが、その内に独自の画風を確立します。ただ、
応挙の画法にこだわらず、芦雪独特の個性の強い画風を生み、そのため破門されたとも、また豪放磊落(ごうほうらいらく)な性格のため破門されたともいわれる。
作品は屏風絵や襖絵のような大画面に縦横に才筆をふるい、奇抜な発想と大胆な画面の構成で傑作が多い。
コンサイス日本人名事典(三省堂)より
それでは、実際の彼の絵画を見ていきましょう。ソースは「別冊太陽 長沢芦雪」(2011年・平凡社:監修:狩野博幸)三枚。
@蛸図(たこず) 水墨画で、一気呵成に描きあげた作品。でも一見ダルマにも見える蛸を描く筆致の的確さはどうでしょう。解説する狩野氏は、この絵が上手すぎることにむしろ危機感を覚えています。
@富士越鶴図(ふじえっかくず) これほど、富士山をとんがった山に描いた絵画は、他に知りません。どうやら、中国の伝説にある「蓬莱山:ほうらいざん」を意図したようです。
@蹲る虎図(うずくまるとらず) 師匠の円山応挙も虎の絵を得意としていましたが、芦雪もそれを受け継ぎ、虎の絵をいろいろ描いています。この絵の虎はユーモラスですが、毛筆の筆法は達者です。
今日のひと言:水墨画というジャンルは、筆法をマスターした画家なら、たいてい傑作が残せる気がします。今回取り上げた「蛸図」のように。それにしても、狩野博幸さんは江戸期の絵画に詳しいですね。
- 作者: 狩野博幸
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2011/03/28
- メディア: ムック
- 購入: 1人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
別冊太陽150 江戸絵画入門 (別冊太陽 日本のこころ 150)
- 作者: 河野元昭
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2007/11/20
- メディア: ムック
- 購入: 3人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
- 作者: 小学館
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/02/15
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
側溝工事中の「占有空間」を示すために、パイプを立て掛ける台が、可愛いウサギちゃんになっていました。
(2013.02.26)